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やあ
ようこそ
いらっしゃい

道に迷われましたね
夜道を憶測で
近道しようとするのは
賢明ではありません

ほら
このように
黄昏の通りに出てしまう

なれど良いでしょう
お求めの品なら
ここにもございますとも

ご安心なさい
店構えは骨董店でも
当店には
ないものはございませんよ

手持ち花火も
打ち上げ花火も
線香花火も
なんだって

この麻袋が
出しましょう

きらびやかも
威勢のいいも
ひっそり儚い
ものだって

この麻袋に
ありましょう

お持ちになって
仲間のもとへ
宴の席へと
戻りなさい

なれど
お一つ
ご注意を

花火というは
一瞬の
光を映す闇の花

燃えて弾けて
光り輝き
あっという間に消えるもの

刹那の光に
照らされ出した
夏の恋なら
一瞬で

燃えて弾けて
光り輝き
瞬くうちに消えるでしょう

それでも良ければ
慕人のいる
宴の席へと
お持ちなさい
2007.08.07 Tue l 黄昏通り l コメント (0) トラックバック (0) l top
ようこそ
お越しくださいました

お望みの品があれば
なんなりとどうぞ


朝の光を抜けて
夜の帳を越えて

夢のまどろみのように
恋の幻術のように

騙されたと思って
口に出して御覧なさい

雨の紗幕を潜り
風の静止をかわし

時の曖昧のように
背なの向こうのように

信じる振りをして
覗き見つめて御覧なさい


ようこそ
お越しくださいました

ここはいつでも黄昏の町
ここはいつでも夕闇の街

お望みの品が
ないならば

とあるお客の話をば
お土産話と致しましょう
2007.07.26 Thu l 黄昏通り l コメント (0) トラックバック (0) l top
これはようこそ
いらっしゃい

此度は何を
お求めで

なるほど
疑念を持て余し

渦巻く心の
愛憎と

それなら
こちらはいかがでしょう

これなる品は
深海に

堕ちて眠れる
美神の手

恋しい人の
心をば

映して姿を
誘(いざな)う手

腕より他は
恋人の

姿と心を
連れてくる

心変わりも
恋情も

寸分違わず
映し出す

ただしおひとつ
ご注意を

これなる腕の
持ち主は

愛を束(つか)ねる
美の女神

誰の姿に
なろうとも

その腕だけは
神のもの

年に一度の
逢瀬より

その手に溺れて
しまうやも

愛する人との
睦みより

その手が搦めて
縛るやも

それでも良ければ
さあどうぞ

それからも一つ
ご注意を

かの美女神は
戦にも

長けて司る
軍神(いくさがみ)

もしも心が
割れたなら

女神と姫とで
揺れたなら

腕はたちまち
刃(やいば)持ち

その首先を
刎ねましょう

それでも良ければ
さあどうぞ
2007.07.05 Thu l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top
これはようこそ
いらっしゃい

此度は何を
お求めで

なるほど
妬心を持て余し

焦がるる心の
手慰み

それなら
こちらはいかがでしょう

これなる品は
深海に

堕ちて眠れる
火花の杼(ひ)

炎も凍らす
冷たさで

嫉妬の心を
鎮ませる

ただ一日(いちじつ)に
出会うため

残る日数(ひかず)を
恋いもがく

募る想いを
糸にして

ただひたすらに
織られませ

織って綴れし
布ならば

逢瀬の宵をば
輝かす

美妙の調べと
なるでしょう

ただし
お一つご注意を

これなる品は
火花の杼

抑え切られぬ
嫉妬なら

氷も溶けて
燃え上がる

夜空も想いも
燃え尽くし

天の川まで
干上がせる

それでも良ければ
お持ちあれ

2007.07.04 Wed l 黄昏通り l コメント (0) トラックバック (0) l top
これはようこそ
いらっしゃい

お二人揃いとは
お珍しい

そう
ここはただ
黄昏の街

季節も日にちも
存在せぬ街

一年一度の逢瀬の約も
忘れてしまえる街なれば

してお求めは
何のお品で

人目を逃げ出す
目くらましの品と

年に一度の逢瀬では
互いの愛が苦しいと

年に一度の睦みでは
恋が募って切ないと

なるほどそれなら
良い品が

天の人なら
一年(ひととせ)も
千年(ちとせ)も

瞬く刹那のことなれど
それにも勝るが恋なれば

ここにあります手鏡は
おのが空蝉を映し出す

鴛と鴦との透かし彫り
対の妙なる手の鏡

これを使えば今宵より
二人はどこなとご自由に

さあさあどうぞ
お持ちあれ

ただ
人の目は晦ませど

天帝の目は定かにあらぬ

それでもよければ
さあどうぞ
2007.07.03 Tue l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top
これはようこそ
いらっしゃい

6月の花嫁が
雨に濡れて
お越しになるとは

ええ
ここは黄昏の街
やがて服は乾きましょう

けれど
涙に濡れた心は

なるほど
それをお売りになると

なんと見事なオルゴール
硝子の屋根の下
翡翠の馬が駆け
水晶の馬車が廻る

螺子を巻けども
舞曲は鳴らぬ
馬は走れど
一頭足らぬ

ようございます
その想いごと
こちらでお受け
致しましょう

言うに言われぬ
人への恋も
叶うに叶わぬ
恋の行方も

全てお受け
致しましょう

これで今日より
あなたはただの
祝福される花嫁だ

さあさ
どうぞ
お行きなさい


さて
先ほどの客が
置いていった
翡翠の馬と
螺子一つ

どうやらぴったり
合うようだ

想いを告げぬ恋人達は
互いが互いの馬に乗り
同じところをくるくる廻る
追いつくことさえ出来ぬまま

黄昏の街に曲を奏でて
彼らの未来を笑おうか
2007.06.22 Fri l 黄昏通り l コメント (0) トラックバック (0) l top
カタカタカタカタ

カタカタカタカタ

眠気を誘う

優しい音で

あなたの夢を

紡いでいくわ

かたかたかたかた

かたかたかたかた

魔法のように

囁きながら

あなたの夢を

かたちにするわ

カタカタカタカタ

かたかたかたかた

黄昏の町の

足踏みミシン

あなたの夢の

姿を見せる

かたかたかたかた

カタカタカタカタ

迷い込んだら

ここへいらして

あなたの夢を

創ってあげる


2007.05.03 Thu l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top
ようこそ
いらっしゃい

おや
藤の薫りを
纏わせておいでだ

そう
ほら
あなたの肩に

花弁が連れし
黄昏通りに
これはようこそ
お客人

さて
お望みのものを
なんなりと

それではこれなど
いかがかな
芽実蔓文様紫檀衝立

蒔絵の蔓に
螺鈿の藤花
翡翠の葉
紫檀に薫れる
藤の色

ただの衝立では
ありませぬ

あちらとこちらを隔てしは
夢と現を分ける如
悲哀と歓喜を分ける如
此岸と彼岸に分けまする

藤を降らせしその人と
隣に憑き添うその人と
隔ててしまいたいならば

窶れ細りし己が身と
恋を捨てにし我が罪と
別つことをば望むなら

どうぞこれをば
お持ちあれ

ただし
お一つ
ご注意を

これなる衝立の
絵の中に
隠れ潜みし
実が一つ

実に抱かれし
秘密をば
知りたくあらば
裏手にぞ
その答えこそ
ありにける

ただ
裏手には
別たれた
彼岸のものが
手を招き
待ち受けつると
思し召せ

それでも
良ければ
さあ
どうぞ
2007.05.02 Wed l 黄昏通り l コメント (4) トラックバック (0) l top
ようこそ
いらっしゃい
おや
あちらは雨でしたか

此処は黄昏
茫洋とした時刻
目を覚ます如き
雨など降りは致しません

さて
如何なる品をご所望ですか
なるほど
思い煩い事がおありですね

愛も恋も
夢も希望も
思い過ぎれば辛くなる
想いは重いに通じましょう

やがて
身動きできなくなって
押しつぶされるも
また一興

ええ
もちろん
うってつけの品が
ございますとも

これなるは
懸封と呼ばれし巻紙
雲よりも軽い綿毛を
漉いて紙となしたもの

心を占めた物事を
書き連ねたなら封をして
あとはどこへと
仕舞えば良い

心にかかった
靄も霧もすっきりと
心悩ませた物事が
雲散霧消と消えまする

ただしおひとつ
ご注意を

封をしたらばもう二度と
毛ほども掠りは致しません
封を切ったらもう二度と
心を覆って晴れません

それでも良ければ
お持ちあれ

これであなたも
ほらすっきりと
笑顔で帰っていけましょう
笑顔を保っていけましょう


あちらの世界は雨とやら
紙に綴りし墨は溶け
滲んで解けて崩れ落ち
二度と戻りはせぬだろう

己の心を占めていた
狂おしいほどの感情も
滲んで解けて崩れ落ち
二度と還りはせぬだろう

時折心がざわつけど
束の間心が騒げども
もはや
掴めはせぬだろう


おやおや
どうやら次の客
はてさて
なにをご所望か
2007.04.18 Wed l 黄昏通り l コメント (6) トラックバック (0) l top
これはようこそ
いらっしゃい
いやはや
なんとも賑やかな

分かりますとも
望みのものを
ご用意いたして
ございます

これなる品は
鳳凰の
尾羽で作った
羽根のペン

こちらの品は
桃源の
蜜を集めた
玻璃の壺

またさらに

これなる品は
仙境の
匠が漉きし
和綴じ帖

それからこれは
皆様を
まとめてみせる
相い鏡

欠片の如く
湧き出でて
破片の如く
散らばった

皆様の如き
夢うつつ

皆様の如き
まぼろしを

まとめて
束ねて
縒り合って

語りと成せし
美技の品

騙りと為せし
児戯の品

想像の先の創造を

妄想の先の構想を

カタチと生せし
お品です

埋もれたままが嫌ならば
生まれたままが厭ならば

さあさどうぞ
お持ちあれ



彼らも
我らも
夢ならば

品さえ
此処さえ
嘘なれど

此処なる店は
斯様なる
夢間の
通りに
御座います

求むる品が
おありなら
貴方もどうぞ
お越しあれ
2007.03.27 Tue l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top