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いらっしゃいませ
お求めの品は何でしょう
ないものはございませんよ

なるほど
それならば
これがよろしいでしょう

夜を写す写真機です
無骨でありながら繊細な
まさに夜に相応しい一品

赤ら引く朝のひと時も
茜さす昼の微睡みも
玉かぎる夕方の感傷も
すべて烏羽玉の夜に変えてしまう

懐かしく思える旧友も
狂おしく焦がれる恋人も
何気なく行き交う他人さえ
すべて射干玉の夢に変えてしまう

針で穿ったような小さな星の光が
針を落としたような遠い列車の音が
ただ夜の闇でのみ見つかるように

写された光景もまた
夜に変じてこそ分かるものが
あるのやも知れません

ただし一つご注意あれ
これは
光ある世界を夜に遷すもの

被写体がいるべき光を
夜に捕らえて写すならば
その光はさて
どこへ消えますものか

写真機を通して
それはあなたへと

あなたを通して
それは夢の中へと

けれど
これを求むるあなたの心は
光を拒み夜を求める

夢が忍び寄り
闇が侵蝕し尽くせば
かそけき光は呑み込まれましょう

最後の光が消えたならば

夜にすら映らぬ
あなたの影が残るだけ

それでも良ければ
さあ
どうぞお持ちなさい


42:夜写
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2006.09.29 Fri l 黄昏通り l コメント (4) トラックバック (0) l top

コメント

深い・・・
光を求めつつ、闇へ・・・
でも光を求めるけど・・・
なお闇へ・・・
詩の前で沈黙したのはひさびさです。
感謝
2006.09.29 Fri l きぼう屋. URL l 編集
コメント、ありがとうございますv
深く考えてくださって、ありがとうございます。
書きたいことが上手くまとまりきってない気がしていたのですが、そう言っていただけたのなら、多少なりとも言葉が言葉として機能してくれたのでしょう。

光と闇。並び立つからこそ、世界は存在するのかもしれません。
2006.09.29 Fri l あーるぐれい. URL l 編集
心の鐘が鳴り響く
読み通し、”うーん”と声が出ました。
妖しく、危険な、感じ・・・・・。
自分の中の、光と闇を見つめさせられました。
どちらか、片方では世界が成り立ちませんものね。
文章の長さが、引きずり込まれるような
感じがしたのは、私だけ?
引きずり込まれる
そんな感じ
でした。
2006.09.30 Sat l ダヤン. URL l 編集
コメント、ありがとうございますv
妖しく、危険。
まさに、そういう品々をご紹介するのが、このカテゴリなので、そう言っていただけると嬉しいですvv

光と闇、どちらも持っていて、うまく調和させたり対比させたりすることが出来たなら、世界も自分も、もっと上手く生きていけるんだろうな、と思ったりします。

引きずり込まれるようでしたか。
嬉しい褒め言葉ですねvv
2006.09.30 Sat l あーるぐれい. URL l 編集

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