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何もかもを欲しがって
何一つ手に入らなかった
男が最後に見たものは
倒れた彼を受け止めた
ずっと一緒にいた影法師


何もかもを諦めて
何一つ手にしなかった
男が最後に見たものは
目と鼻の先にある
ずっと欲しかった存在感


ずっと一つを追いかけて
ようやくそれを手に入れた
男がそのあと見たものは
追うべき光がなくなって
あやめも分からぬほどの闇


たった一つを追いかけて
結局それを掴めずに
男があるとき見たものは
視野が狭くて見なかった
思った以上の広い世界


それでも一つを追いかけて
とうとうそれでも手に取れず
男が最後に見たものは
不意に口からこぼれ出た
一途な想いの美しさ


適度にものを欲しがった
そして適度に諦めた
男が思わず見たものは
ほんの一滴で傾きそうな
どっちつかずの欲しいもの


何か一つを欲しがって
それを求めて旅をした
男が探してみたものは
男のためには囀らぬ
どこかの誰かの青い鳥


どれか一つを選べずに
それでもずっと悩んでた
男が最後に得たものは
つまずき転んで倒れ臥し
たまたま手にしたただの石


だれか一人を選べずに
結局すべてを手に入れた
男が最後に見たものは
均等な愛に愛想を尽かし
皆で去ってくその背中


その一瞬を欲しがって
叶えてそれを手に入れた
男がその後見たものは
時計の針が過ぎ去って
途方に暮れた明日だった


(2008/09/04)



貪婪で強欲な王が
戦争の末に全てを失った
倒れ臥した男を
受け止めたのは彼自身の影法師だったが
その地はもはや彼の領土ではなかった


いつでもその他大勢の一人だった男が
今しがた倒れた王の骸を見つけた
なるほどこれが存在感というものか
身ぐるみはいで歩いていると
王と間違われて射殺された


簒奪者は玉座を得た
誰もがひれ伏し
何もかもが足元に広がった
足の踏み場がなくて身動きがとれず
天を仰いで嘆こうとしたが
天もまた足元に落ちていた


お城の皇女に恋をした男は
彼女のために戦い傷ついたが
所詮身分違いの恋は届かず
彼女は隣国へと嫁いでいった
だが心は傷つかなかった
男は幼馴染の女の腕の中で死んだ


恋して焦がれて身を焼いた男が
鳥になって女のところへ飛んでいった
女は恋人と二人で鳥を見上げた
悲しみの嘆きは喉を引き裂いたが
その澄んだ啼き声は女の耳に死ぬまで残った


身の程をわきまえた男が
ある日二人の女に言い寄られた
少し気になっている女と
少し裕福な女
どっちとも決められないまま
時間だけが過ぎていく


幸福を探し続けて
星をいくつもめぐった男
薔薇にフラれ狐に笑われ
見かけた青い鳥は誰かの元で囀っていた
幸福は探すものではないのだと気づいた男は
どこかの星で蕾を抱いた花になった
誰もまだ彼の元を訪れていない


とんでもない大金を手に入れた
使っても使っても使い切れず
やがてだんだん虚しくなった
ある日酔いどれた男は道端で転んだ
手にしたただの黒い石を家宝にすると言い残して
あとは全部人にやってしまった


口も頭も腰もすべて軽い男が
たくさんの女を渡り歩いた
誰もが彼をそんな男だと認識していたが
認識してたが故に変わらぬ現実に気づき
月日が経つにつれて夢から覚めるように去っていった
急激に男は老いて道端に倒れた
もう誰も彼を見向きはしなかった


合わせ鏡に迷い込んだ男が
探し続けた恋人の面影を見つけた
手を伸ばして捕まえたはいいが
時計の針が呪力を解いてしまった
それで彼の腕は彼女の影の中で
今日も生きている


(2008/09/08)


最初書いた時に、「ああ、これ夢十夜っぽいな」と思い、どうせなら10連にしてみよう、と思ったのがきっかけですね
それで、それなら、いっそ、夢十夜にしてしまえ、と改めて数日後に呼応するようなものを書いたわけです。

夢十夜。正確にはうちでは「千夜一秒」という呼び方をしているのですが、実はこれ、カテゴリーが作られていません。
作ろうとは思ってるんですけど、つい…(笑)

現在二百数夜の夢を描いています。千にはまだまだだなぁ。
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2009.09.06 Sun l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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