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こんな夢を見た


白い手が夜空からこちらを招いている
応えようとして気付いた
嗚呼
あれは自分の右手だ



真夜中の砂漠に佇んでいると
駱駝を連れた行商人が
何処に行くのかと問う
何処へも行かぬと答えると
水の入った袋をくれた
酷く渇いていたが
持っていた種を蒔いて水を与えると
見る見る伸びて太陽を咲かせた
すっかり乾涸びながら
飲めば良かったと思った
遠くから
駱駝の嘶きが聞こえていた



ラムネを飲んでいたら
壜の中で転がるビー玉が喉を滑った
ああ俺はいま地球を飲んだと
暗い宇宙で思った



河原を掘り返すと
赤い金魚が眠っていた
掌に載せると
牡丹になって
水の中を泳いでいった
そこで自分は
掘り返した穴の中に寝た



埃くさい古書店で
一冊の本を見つけた
開こうとすると
笑い声がして
手には何もなかった
店の主は鴉の顔をしていた



迷ったので
托鉢の僧に道を訊いた
教えてやるから目を返せと
隻眼の僧は私の左眼を刳り貫いた
目的地は目の前にあった



死んでしまった私は
海原を漂っている
繰り返された昼夜の果てに
空に大輪の花火が咲いた
火花が身を焼いて
私は骨になって
沈んでいった



濁った川を
大きな橋の上から見下ろしている
数え切れないほどの子供が流れてきて
夕日の方へと行ってしまった
私は一人
橋の上に取り残された



黒い蝶が
血を流して嘆くので
羽根を毟ってやった
女が有難うと言って
羽ばたいて行った
月夜の晩だった



こんな夢を見た

三十年近く生きてきた女は
ある日呟いた
嗚呼此れも夢だ
途端に
何もかも消えてしま

・・・残るは夢の残滓のみ


                      (2005/05/25)


タイトル縛り、数字篇の「十」

これが最初の夢十夜作品です。
いつか、書き溜めて「千夜一秒物語」と名付けよう、と密かに思っていたりします(笑)
まだ、三十とかそのくらいしかありませんけどね…。
なにげに、どの夢も微妙に暗いのが気になりますが、私個人としては好きです(笑)
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2006.06.24 Sat l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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