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一振りの剣と
一冊の書物
それから僅かの路銀のみ

父はそれを俺に与え
出て行けと
扉を示した

一通りの剣技と
ひとかどの知識
それから僅かの望み

父はそれを俺に与え
さあ行けと
背中を叩いた

そして二度と
戻ってくるなと
扉を閉めた


一振りの剣には
異国の銘文
一冊の書物には
世界の不思議
それと一通の手紙

手紙の中には三つの包み
困ったときに開けよとの文

しばらく俺は考えて
三つの包みを書物に戻した


剣を振り振り
旅に出て
世界の不思議を追い求め

ある夜
俺は孤独に耐えかね
一つ目の包みを開けてみた

もう開けたのか情けない
そこには叱咤の手紙が一枚
それから僅かの路銀があった

しばらく俺は憤り
残りの包みを書物に戻した


剣で斬り裂き
旅をして
世界の全てを見んとした

ある日
俺は希望に敗れて
二つ目の包みを開けてみた

そろそろいつでも帰って来い
そこには憐憫の手紙が一枚
それから僅かの路銀があった

しばらく俺は泣き通し
最後の包みを書物に戻した


剣で拓いて
旅をして
世界の在り処を手に入れた

ある時
俺は故郷を想って
最後の包みを開けてみた

死んでもお前を愛しているよ
そこには慈愛の手紙が一枚
それから乾いた種粒があった

しばらく俺は抱きしめて
それから種を世界に植えた


ご覧これがその樹なのだ
親父はオレにそう告げて

一振りの剣と
一冊の書物
それから僅かの路銀をくれた
それと一掴みの種粒

親父はそれをオレに与え
お前の世界に植えて来い
そうして家の扉が閉まった


(2007-08-22)


当時、リンク先のブログで、父と子のことについての記述があったんですよね。
母子の方がテーマとして用いられることが多いとか、そういうことだった気もしますが覚えてません(笑)
それに触発されて書いたものです。

私は時々「詩小説」というカテゴリのものを書きますが、小説にしてしまったら多分そんなにうまくできあがらないだろうな、と思えるものだったりします。
時々SSに仕立て直したりしてますが(笑)
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2008.09.15 Mon l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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