fc2ブログ
雨や雪や氷は
ただの水となって
ただの流れとなって
その地を駆けた

時に乾きつつ
時に溢れつつ
低きを求めて
その地を駆けた

鳥が集い
獣が寄って
命が巡る

草が茂り
木々が生えて
緑が満ちる

やがてそれは川と呼ばれ
やがてそこは岸と呼ばれた

そう名付けたものが
岸辺に集い
住み着いた

草木を育て作物と呼び
獣を馴らして家畜と呼んだ

たくさんの血を流し
たくさんの争いを生んで
それらの多くを川に流した

たくさんの血を交わし
たくさんの子を産んで
それらの多くを岸で育てた

雨や雪は氷は
ただの水であり
ただの流れとして
その地を駆けた

時に乾きつつ
時に溢れつつ
多く潤しながら
その地を駆けた

自由に奔放に
あるがままに
その地を駆けた

やがてそれは固められて
やがてそこは固定となった

そう仕向けたものを
ただの水の流れは
ただ静かに受け入れた

その水底で爪を研ぎ
その漣で咆哮を消し
いつか竜となる日まで

やがて再び吠えるまで

岸辺の歴史はそうして
今日も流れに刻まれていく
スポンサーサイト



2008.05.27 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://tearoombergamot.blog55.fc2.com/tb.php/1420-5ce13533
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)