どこか遠くで花火の音が聞こえる
夜の空の彼方がほんの少し色づく
あれは海辺の町の花火
それとも
山を越えた隣町
ぼやけたような花火の音に
夏の夜の空気を知る
どこか遠くで夜汽車の音が聞こえる
星を震わせ踏切の音を添えて
あれは誰かが帰る電車
それとも
夢を乗せた貨物列車
眠気を誘うリズムに揺られて
夜の風の気配を知る
どこか遠くで朝日が待ちぼうけてる
夏の夜は早くに過ぎるから
あれはセミの鳴き始める声
それとも
誰かの目覚まし時計
暑くなりそな予感をつれて
今日も夏の一日になる
あなたが帰ってこない夜は
少しさびしい
束縛するつもりはないけど
どうしているのか気になって
あなたが帰ってこない夜は
少しかなしい
早く帰ってくるよと言った
言葉を信じはしないけど
あなたが帰ってこない夜は
少しせつない
いっそ忘れて寝ちゃえばいいと
思ってみたりもするけれど
あなたが帰ってこない夜は
自分と時間を持て余す
夢の中では
すべてが意のままにならない
嵐は一向にやまないし
ブレーキは踏んでも利かないし
あなたは呼んでも帰らない
アップルパイは食べ損ねるし
お茶はちっとも沸かないし
欲しかった本は読み損ねてる
でも夢の中では
想像もしないことが起きてる
南の空の青空にいるし
車はなぜか漕がなきゃだめで
知らない誰かを知っている
ケーキの中に埋もれてみたり
デパートの中に住んでたり
からくり屋敷の本屋にいたり
夢の中では
ちっとも意のままにならないけど
意外とどんな悪夢も良夢も
目を覚ましたら楽しい夢かも
風が強いので
花は散らされてしまう
甘い恋の香りごと
赤い愛の花弁ごと
風があまりに強いので
花は舞い散ってしまう
淡い恋の予感ごと
熱い愛の余韻ごと
散らさないで
揺らさないで
愛の果実が実るまで
恋の果実に色が付くまで
甘い香りの南国の果実
滴り落ちるヒミツの蜜
優しく冷たいアイスに添えて
二人で仲良く食べましょう
長い柄をした銀のスプーンで
あなたの口に運ぶから
甘い香りの南国の味の
優しいキスをしましょうね
熱い空気の中で
私たちは夏を知る
渇く喉を潤し
流れる汗を拭い
暑さの中で夏を知る
熱い空気の中で
私たちは夏を知る
歪む町がゆらめき
道は幻に濡れる
景色の中で夏を知る
眩しい白さの中
溢れる光の中
青い空の下で
私たちは夏にいる
どんなに大雨でも
どんなに大風でも
雲の上は
天の彼方は
澄み渡っているの
太陽に遮られても
流星が降り注いでも
空の上は
天の彼方は
星が輝いているの
二つの星の間が
本当は遠い距離でも
ここからなら
地上からは
ほんの僅かに思えるの
見方を変えれば
空はいつでも晴れてるし
見方を変えれば
星はすぐそこにある
眠りに就くあなたの横で
あなたの寝顔を見てる
眉をしかめて夢を見るなら
その頭を撫でてあげる
うなされながら夢を見るなら
あなたをそっと抱きしめたげる
楽しそうに夢見てるなら
私も隣で眠りに就くわ
だからおやすみ
いい夢を