キレイだね
あなたにそう言わせたかったの
たとえば星降る夜の空
たとえば見上げた大花火
たとえば一面の花畑
たとえばせせらぐ澄んだ川
たとえば囀る朝の鳥
たとえば小さな飴細工
たとえば桜の色の貝
たとえば木陰に降る光
キレイだね
あなたにそう言われたかったの
たとえば私
(2009-07-23)
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苦しくってつらくって
全部あなたのせいだよ
好きだから好きだから
あなたを手放せなかった
欲張っちゃいけないって
知っていたのに
頑張らなくてもいいって
気付いてたのに
苦しくってつらくって
全部あなたのせいだよ
好きだから好きすぎて
あなたを諦められない
腹八分がいいんだって
知っていたのに
食べ過ぎたらダメだって
気付いてたのに
じつはさ
パパの机の引き出し
あそこに僕の秘密があるんだ
だめだめ
覗いちゃダメだよ
だってさ
パパが言ってたんだよ
昔はオレも男の子だった
そうとも
お前みたいにな、って
だからさ
パパの机の引き出し
一つだけ借りてるんだ
だめだめ
開けちゃダメだよ
そうとも
ママにはナイショなんだよ
君もママも女の子だから
きっとさ
悲鳴を上げちゃうんだ
ダメだよ
パパの机の引き出し
そこには男のヒミツがあるんだ
だめだめ
ゼッタイにダメだよ
あなたが好きだから
あなたの好きな長い髪
あなたの好きなメガネ
あなたの好きなスカート
あなたが好きだから
あなたの好きなスタイル
あなたの好きな仕草
あなたの好きな表情
あなたが好きだから
あなたの好みに合わせたい
あなたが好きだから
あなたの好きなテレビ
あなたの好きな歌
あなたの好きな料理
あなたが好きだけど
全部あなたには合わせない
突然髪を切ったり
コンタクトにしてみたり
あなたが好きだけど
あなたと合うとは限らない
テレビや歌には付き合うけれど
ホントはちっとも興味がないよ
あなたが好きだから
あなたの好みを知りたいけれど
あたしのことはあたしが決めるの
お砂糖で出来たお城にいるの
甘い甘い夢を見ているのよ
ホイップされたクリームの上で
微睡みながら
明日のことを考えてるの
甘やかしてもいいのよ
たくさん抱いてくれていいの
でも
私はケーキの上に乗せられた
砂糖菓子の少女じゃないし
大人しく並べられて微笑む
真っ赤なベリーの粒でもないの
お砂糖で出来たお城にいるの
甘い甘い夢を見ているのよ
コーティングされたチョコの上で
目を覚ましたら
お城を食べて抜け出すわ
可愛いだけのコドモじゃないのよ
独楽鼠のように働く
そんな日だってあるさ
ケータイのバッテリさえなくなる
そんな日だってあるさ
くるくる回るのは
世界かオレか
目を回しそうなのは
オレか世界か
働きアリのように動く
そんな日だってあるさ
手帳もびっしり黒くなる
そんな日だってあるさ
くろぐろ埋まるのは
手帳かオレか
予定に埋もれそうなのは
オレか明日か
一人じゃないってこと
誰かに教えてもらったとき
自分を少し好きになった
だからあなたにも
教えたい
あなたもまた
一人じゃないこと
(2009-07-17)
七月のある日
僕は世界を見たように思った
バーのカウンターの片隅で
煙草吹かしながら酒を飲んでた
そいつは自分は世界だと言った
世界とは存外小さいんだな
酒を酌み交わしながら言うと
世界は大きくて小さいものさ
そう言ってそいつは煙草をぷかり
お望みならば大きくなろうか
そいつの言葉にバーテンダーが一瞥
お客さん店を壊すのはご勘弁
不貞腐れた世界は酒をぐびり
今宵はお前が奢ってくれよ
そいつは僕にそう言って笑う
お前らのツケを払う代わりにさ
たまには逆も悪くないだろ
七月のある日
僕は世界に出会った
倣岸で不遜で不健康な世界は
それでも瞳は澄んでいた
(2009-07-16)
花火を見に行こうよ
ちょっと遠くまで
帰ってこれなかったら
そのままこっそり朝までいよう
花火を見に行こうよ
赤や青や緑の
たくさんの火花の下で
誰よりこっそり近くにいよう
花火を見に行こうよ
どんなだっていいよ
花火を見上げる君の頬に
時々こっそりキスしていいかな
夜中に狐の鳴き真似がしたら
こっそり窓から抜け出るんだ
お祭りに行こう
空飛ぶ金魚を掬ったり
霧を集めた綿飴舐めたり
線香花火を提灯にして
参道の脇の秘密の通路
そっと抜けたらそこにある
お祭りに行こう
狐になれるお面をかぶり
星屑集めたラムネを飲んで
射的で当たった天狗の団扇
一番鶏が鳴くまでのあいだ
夜と現実の境目にある
お祭りに行こう
どんなに小さな虹も
気付くことが出来る人だった
噴水の中
雲の切れ端
シャボン玉
太陽を丸く縁取るわっか
わずかに歪むガラスの中
水たまりの中にまで
七色の光を
とても愛していた人だった
夕方の空の色を
飽くことなくいつまでも見ている
澄んだ目をした人だった
だから一人になっても私は
どこにだって七色を見つける
あの人を思い教えに行きたくなる
どんな小さな虹にも
気付くことが出来る人だった
だから私も今日もまた
どこにだって七色を見つけて
あの人を思い出して微笑むことが出来る
始まるものがあれば
終わるものもある
そんなことは自明の理
誰かの努力や
誰かの我慢が
ほんの少しあれば
もう少し続いたかもしれなくても
始まることがあれば
終わることだってある
そんなことも当然のこと
だからこそ努力や
愛情や希望を
ほんの少しでも持って
出来るだけ続けようと思うのだ
お月様に恋をした
黄色い黄色いヒマワリは
夕暮れ時の半月に
思いの丈を打ち明けた
お月様は苦笑して
お前は太陽の子供だろう
草木は夜には眠るもの
どうにも世界が違うのさ
それに私が好きなのは
真白い真白い雪の花
世界の全てを白にして
私の光を受ける花
お月様に恋をした
黄色い黄色い夏の花
雪というのが分からずに
空のお日様に頼み込む
私は夏の花だけど
どうにも雪が見てみたい
枯れて種実をつけたなら
どうか冬まで起こしてて
明るく優しいお日様は
よしいいともと引き受けた
木枯らしからも雨からも
冬までお前を守ろうぞ
花はしおれて色褪せて
幾つの種実のその中に
ひときわ大きな種を付け
ヒマワリ想いを託したと
やがて夏が去り秋が来て
落ち葉の布団で冬を待つ
そしてある晩待ち侘びた
真白い雪に巡り合う
お月様に恋をした
小さな小さな花の種は
ああこれこそがあの月の
恋しい愛しい雪なのか
やがて冬も去り春が来て
まばゆい夏が訪れた
恋する恋するヒマワリは
芽を出し葉を成し花咲いた
お月様に恋をした
かつての黄色いヒマワリは
恋い慕うあまりその色を
真っ白な色に染め上げた
ある夕暮れの満月は
真白い花弁のヒマワリに
ほんの小さく笑み浮かべ
その花弁に接吻した
(2009-07-14)
目を閉じれば思い描くことが出来る
バラ色の朝もやの中で君が生まれた朝を
雨上がりの虹の下を駆けていく幼い君を
君の睫毛に降る星屑が煌きながら揺れるのを
まだ硬い桃の実のような初恋に匂い立つ君を
ひめやかに唄う小鳥のようにキスする君を
小悪魔の笑みで誘いをかける魅惑の君を
今私の部屋の窓辺で外を見ている君の背中を
耳元で囁く忍び笑いの君の声を
揶揄うように髪を引っ張る君の指を
目を閉じれば思い描くことが出来る
だから私は信じない
君がいないなんてこと
(2009-07-09)
誰かと見た遠い昔の花火
丸く開いた恋の花
幾つも咲いては散った
鮮やかな恋の花
あなたと見るこの空の花火
どうか
瞼の裏の思い出にしないで
深い深い森の中で
ハンモックに揺られて
梢の間から降る星を見ながら
ゆっくりと眠りに就きたい
蒼い蒼い森の中で
静けさに包まれ
都会の暑い夜を忘れて
ひそやかに眠りに就きたい
ただそこにあるだけの
自然が齎す清涼と
夜が降り注ぐ静寂の中
ひたすらに眠りに就きたい
寝てればいい
ずっとずっと
いやなことも
つらいことも
忘れたままで
寝てればいい
ずっとずっと
くるしくても
かなしくても
眠れば忘れる
眠れる美女や
冬眠みたいに
ずっとずっと
夢の中ならば
良かったのね
寝てればいい
ずっとずっと
いつかやがて
春や朝が来て
接吻するまで
落ち込んでいるときは言って
あなたの話を聞いてあげる
聞くだけよ
聞くだけしか出来ないけど
それでもあなたの役に立つなら
泣きたくなったときには言って
あなたのところへ駆けつけてあげる
抱いたげる
抱きしめるしか出来ないけど
それでもあなたの涙を拭くから
たいした役には立たないことも
涙の理由の解決さえも
出来ないことはわかってるけど
それでも
一人が苦しいときには言って
あなたの隣にいてあげたいから
そばにいる
そばにいることしか出来なくても
それでもあなたを大好きだから
あいつらも仕事なんだよ
あなたがそう言って笑う
中にはバイト生だっているさ
あなたはそう言って笑う
見習いだからね
時々間違うのさ
僕にも経験があるよ
届け先を間違ったこと
あなたがそう言って笑うから
届けられた風のウワサは
間違いだったことにしてあげる
いつかベテランの配達夫が
同じウワサを運んでくるまでは
一人で星を眺めてた
幾つもの夜
報われない恋も
上手くいかない仕事も
不安なままの明日も
置いてきたままで
ただ星空を眺めてた
時折流れる星屑を見て
遠くで響く夜汽車を聴いて
ただ静かに眺めてた
寄り添う孤独さえ
置いてきたままで
あの時私は
空と二人きりだった
(2009-07-08)
君は一人じゃないよ
そう言ってくれるのは
鳥篭の中で歌う鳥
君の世界は広がってる
来ては過ぎるときの中で
恐れて立ち止まってないで
できるところまで走ってごらん
夢を探しながら自由を求めて
風の向こうまで見えたなら
君もきっといつか気付くだろう
自由なんてものはどこにだって
あるんだって
あの頃見た太陽が今日も
君の上で輝いてるように
君は一人じゃないよ
そう言ってくれるのは
額縁の中で咲く花
君の未来は雨にも似ている
降っては晴れる気まぐれの中
隠れて怯えたりしないで
心行くまで味わってごらん
道に迷いながら答えを呼んで
昨日の足跡を見つけたら
君もきっといつか分かるだろう
描いていくものはどんなにだって
変化するんだって
あの時見た月がいつか
満ちては引いていくように
(2009-07-06)
私が欲しいものは
真っ白い革のバッグ
花柄のワンピース
華奢なサンダル
極上のスウィーツ
柔らかなベッド
秘密の温室
あなたの腕の中
愛してるの言葉
十年後の二人
木で出来たおもちゃの汽車に乗って
テーブルの上を走ってく
クッキーの山を登って
ミルクティーの池を見下ろす
目指すのは君の描いた絵の中
二人の描く未来の中
ブリキで出来たおもちゃの馬車に乗って
階段の手すり走ってく
額に入ったお城を見上げ
打ち鳴らされた時計に驚く
目指すのは君の眠りの只中
二人を描く予想図の中
子供騙しの恋みたいだと
夢見がちな戯言だねと
誰かが笑って言ったとしても
おもちゃで作った世界の中でも
僕らは真実を知ってく
ガラクタの中の愛を見つけ
イミテーションに本物を知る
目指すのは君と選んだ世界
二人で作る地図の中
手を伸ばして空を掴む
雨雲を掻き分けて
星空を覗かせる
流れる星の川に
指先を浸して
その冷たさに酔いしれたら
川の両岸の星を二つ
掬い上げて
一つ瓶の中に入れよう
本当はあまり後悔したくない
後悔なんてしてみたところで
選んだことには変わらないもの
本当は後悔なんて認めない
どんな結果が待ち受けたって
それがあたしの選んだ道なの
時々誰かが誘惑してくる
こっちの方がいい道だよと
時々誰かが忠告してくる
そっちの道は間違いだよと
本当はあまり後悔したくない
全くしないわけじゃないから
たまに不安になったりするけど
本当は後悔なんて見つけない
選んで進むと決めたときから
これがあたしの歩く道なの
後ろ向きには歩かない
つまずいてしまうから
下を見ながら歩かない
ぶつかってしまうから
嫌なことがあったって
つらいことがあったって
歩いていくと決めたなら
まっすぐ前向いていくの
一目散には走らない
見落としてしまうから
誰かには任せない
行き先は選びたい
どんなことがあったって
時には足を止めたって
生きていくんだと決めたなら
まっすぐ明日向いていくの
ソフトクリームの塔に登って
あなたを待とう
夏の日差しより早く
そよぐ風よりも早く
逢いに来てね
溶けてしまう前に
ソフトクリームの塔に登って
あなたを待とう
待ちきれなかったら舐めてしまって
待ち遠しすぎたら食べてしまって
逢いに行くわ
あなたよりも早く
(2009-07-03)
雨の音が
鼓動に重なる
夢の中で
いつしか私は
雨になって
蒼い地球に降り注ぐ
雨の音が
鼓動に重なる
少しばかり
猛々しいまま
雨になって
あなたの街に降り注ぐ
(2009-07-01)
私の中の
意地の悪い私
あの子が嫌いで
どうしようもない私
誰もかもを好きでいるほど
出来た人なんてそういない
そう知ってもいるけれど
私の中の
意地の悪い私
あの子を嫌って
攻撃したくなる私
誰もかもが同意したって
攻撃していいわけじゃない
そう知ってはいるけれど
私の中の私
あの子が嫌いすぎて
どうしようもない私
誰もかもが私を好きでも
こんな私は好きじゃない
そう知っているのにね
お腹空いたけど夜だから
林を揺らす夜風を吸って
ぼんやり見える月を飲んで
それで誤魔化すことにする
あとはぐっすり寝てしまえ