あなたに会えてよかった
ただそれだけでもよかった
あなたに会えたことが
あなたに出逢えたことが
ただそれだけで幸せに思う
あなたに会えてよかった
ありがとう
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年越詩祭に参加しています。
遅ればせながら、URLを貼っておきますので、よろしければ見に行ってください。
たくさんの詩人の作品に出逢えます。
『年越詩祭』感想などをいただけると幸いです。
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高い高い吊り橋の上で覗き込む
ずっとずっと下に流れる凍った渓谷
落ちてしまえば楽になれる?
飛んでしまえば風になれる?
冷たい手すりの手が凍る
高い高い吊り橋の上が揺れている
ずっとずっと先に見えてる夕闇の森
消えてしまえば楽になれる?
解けてしまえば木々になれる?
冷たい風に身が凍る
泣け泣け
君が泣いても
きっと誰も困らない
泣け泣け
君が泣いたら
きっと誰かが抱きしめる
泣け泣け
君が泣くのは
きっと必要なことだから
落ちるのを踏みとどまれば
きっと何かを落としてしまう
落ちてしまえばきっと
戻るのに苦労してしまう
どこにいればいいんだろう
己の立ち位置を見失う
踏みとどまったつもりのここは
上にまだなお地上があって
落ちてしまったつもりのここは
あるいはまだまだ下がある
そんな場所かもしれないから
己の立ち位置に自信がない
眠れない夜には君の声が聞きたい
どんなことでもいいから
ただ君の声を聞かせてよ
君の声に抱かれながら
この夜に眠りたいんだ
だから声を聞かせてよ
泣きたくなるような夜には君の声が聞きたい
笑ってくれてもいいから
ただ君の声を聞かせてよ
恋をしたいと思っていた
恋ができると思っていた
でもその境界線がわからない
誰も彼も気になるけど
誰も彼も決められない
心が向かう先がわからない
人恋しくて泣きたくなる
物悲しくて切なくなる
誰でもよくないけれど誰かがほしい
その誰かがわからない
光の粒が降り注ぐ街
夜が澄んだ音を立てて
煌いているよ
ドキドキして眠れない子どもも
待ちくたびれて眠っちゃった君も
いつもと変わらない仕事の大人も
誰かのサンタクロースなあなたも
メリーメリークリスマス
優しいキスをまぶたの上に
(2008/12/24)
メリークリスマス
君の手のひらの中に
小さな贈り物
メリークリスマス
君が眠る枕元に
柔らかな贈り物
メリークリスマス
君の瞑った瞳に
甘やかな贈り物
メリークリスマス
君の小さな窓辺に
ささやかな贈り物
メリークリスマス
君たちに降り注ぐ
暖かな贈り物
よい夢を
砂漠の砂の中に眠る夢
大海の水底に沈む恋
星空の奥深く霞む希望
このたった二つの手で
掬い取る僅かな
砂や水や星屑の中に
かけらが隠れてはいないかと
わけもなく泣きそうになる
泣いてもいいよと
誰かが言ってくれたなら
きっと泣けなくなるけれど
わけもなく泣きたくなる
泣かないでよと
誰かが困ってしまうなら
きっと泣かずにいるけれど
わけもなく泣きたくなる
ただ黙って
誰かが包み込んでくれたなら
きっと泣いてしまうんだろう
わけもなく泣きたくなる
誰もいない夜
暖かなお風呂の中で
きっと静かに泣くんだろう
楽しいことを胸に抱いて眠ろう
いい夢だけを見られるように
素敵な思い出を胸に抱いて眠ろう
ただもう安らかに眠るために
泣きながら目覚める朝や
切なくて起きる夜更けがないように
眠れない夜があるなら
ここへとおいでよ
優しい味のミルクを
温めてあげるよ
一滴ヒミツのお酒も
加えてあげるよ
君が眠れないそのわけを
夜に打ち明けてごらん
夢を囁く声が聞こえてくるよ
それでもまだ眠れないなら
ここへとおいでよ
静かな色の話を
聞かせてあげるよ
一掴みナイショのスパイス
加えた物語を
君が眠りにつくように
夜が語りだすだろう
夢を紡いだ歌を聴かせるだろう
(2008/12/22)
銀色の花が
夜の闇に開く
芳しい香りが
秘密めいて漂う
あれは恋の花と
誰かがそう告げる
手折れば枯れてしまう
手折らねばやがて曇る
夜の銀の花は
月の雫に濡れて
恋の蜜で魅せる
銀色の花が
闇の中で招く
果敢なげな花弁が
たおやかに揺れて誘う
あれは恋の罠と
誰かがそう諭す
触れれば堕ちてしまう
触れねば消えてしまう
闇の銀の花は
愛の言葉に揺れて
妖しく身を震わす
摘み取っておしまいと
誘うように光り
惑わすように香る
(2008/12/15)
見つからない
どこに行ったかな
この間まで
たしかに目に入っていたのに
見当たらない
どこに消えたのかな
たった今まで
たしかにここにあったのに
いないはずの誰かが
こっそり隠したみたいだ
いたずら好きの誰かが
どこかでほくそえんでないか
見つからない
どこにあるのかな
多分どこかに
たしかにあるはずなんだけど
君がいないと何も出来ない
そんなことはないつもりでも
君がいないと何も出来ない
放り出されたら途方に暮れる
どんなことだって一緒にやって
いろんなところに一緒に行った
たくさんの人と出会ってみたり
たくさんの夢をえがいてみたり
君がいないと何も出来ない
そんなことは本当はなくても
君がいないと何も出来ない
こうしてここにいることだって
指先から凍える
このまま眠ってしまえば
すべてを置き去りに出来るだろうか
楽しいことも多いのに
そんなことを思ってしまう
朝になれば解けてしまう雪よりも早く
目覚めのときには忘れてしまっているといいけど
どれにしようかな
天の神様に決めてもらうより
自分で決めたいけど
どれにしようかな
優柔不断が健在で
ひとつが選べない
どれにしようかな
君ならどれを選ぶかな
人任せにもしたくなる
どれにしようかな
どれにしようかな
たくさんの中から選ぶなら
一番を選びたいけど
どれにしようかな
難しすぎて
やっぱり悩むんだよ
決められないことは
堂々巡りで元の場所
何度彷徨ってみても
結局戻って同じ場所
三人寄っても答えは出ない
賽の目にだって答えはない
本当はどこかに見えたとしても
辿り着けずに右往左往
見つけられないまま
堂々巡りでまた同じ
幾度放浪重ねてみても
やっぱり戻ってこの場所へ
湯気の向こう側に
安らぎが浮かぶ
幸福の食卓
あたたかいものはなぜ
こんなにも胸を
満たすのだろう
立ち上る香りの
優しさや懐かしさ
慈愛のテーブル
温もりをくれるものはなぜ
こんなにも胸を
締め付けるのだろう
具沢山のスープ
誰かとつつくお鍋
甘い甘いココア
涙が出るのはきっと
胸を焦がす
あたたかさじゃなくて
舌を焦がす
熱さのせい
そんな強がりさえも
湯気の中に解けてしまう
(2008/12/08)
この手は
誰かを抱きしめるためのもの
この足は
誰かの元に駆けつけるためのもの
この目は
誰かの幸せを見るためのもの
この口は
誰かに好きだと告げるためのもの
この耳は
誰かの笑った声を聞くためのもの
この胸は
誰かのために祈るためのもの
誰でも
誰かのために
(2008/12/04)
美味しいものは
私を豊かにする
手作りの料理だったり
上質な映画だったり
たっぷりの愛情だったり
とっておきの一冊だったり
目覚めたときの夜空だったり
山を抜ける微風だったり
寝る前の一杯のミルクだったり
疲れた時のひとかけらのチョコだったり
美味しいものは
私を豊かにする
私をやさしくするr
雨音に照らされて
夜はひっそりと息をする
砕けて濡れた硝子の少女が
愛を求めて歌唄う
道に貼り付く恋文が
雨粒の中で千切れてく
古い街灯が泣きながら
文字を繋いで口ずさむ
私はここよと嘆くのは
少女か手紙か宵夢か
雨音が照らす夜の街
人知れず濡れる恋の歌
私は万能じゃないから
私は全知ではないから
訊かれても困るんだ
私は器用じゃないから
私は有能じゃないから
頼られても困るんだ
私は善者じゃないから
私は偉大じゃないから
縋られても困るんだ
分かる範囲でならば
できる範囲でならば
君の手助けはしてもいいけど
私は君ではないから
私は神ではないから
それ以上はしないんだ
あたらしい毎日が
君の前に伸びている
誰もいない早朝の道路みたいに
好きなだけ駆けていけ
あたらしい毎日が
君のために伸びている
いくつもの分岐点で迷いながら
どこまでだって駆けていけ
ひとつの角を曲がったら
あたらしい明日に出会うだろう
ひとつの坂を上ったら
あたらしい景色に出会うだろう
あたらしい毎日が
君を待って伸びている
まだ道じゃない未知の場所でも
恐れることなく駆けていけ
一人では生きられないから
誰かと話をしながら生きてる
噛み合わなくても
すれ違っても
いつか
お互いの心にたどり着ける
そんな未来を信じながら
甘い甘いチョコレートケーキ
あたしとあなたの交わすキス
喉の奥まで満たされて
甘い吐息が零れ出る
甘い甘いチョコレートケーキ
あたしとあなたの絡む指
胸の奥まで満ち満ちて
焼けつくような熱になる
このままじゃきっと
食べきれなくなってしまうから
ほんのちょっぴり口直し
スパイス効かせたつまみ食い
このままじゃきっと
うんざりしてしまうから
ほんのちょっぴり一休み
潤う露を飲み干して
甘い甘いチョコレートケーキ
あなたとあたしの恋の味
体の奥まで満たされて
このまま二人蕩けあう
(2008/12/02)
どうしようもないこともある
だからって諦めたくない
無理だと分かっていてもやるのは
愚か者なのかもしれない
無駄だと分かっていてもやるのは
哂われることなのかもしれない
どうしようもないこともある
だからこそ諦めたくない
砂粒ほどの可能性だとしたって
夢見ることをやめたくはない
たどり着けずに終わったとしたって
歩んだ道を消したくはない
選ばなければ傷つかないけど
選ばなければ何も残らない
選んだ結果に傷ついたって
選んだことで気付くことがある
どうにもならないことだとしたって
始めないまま終わりたくはない
(2008/12/01)
運命の人を見つけた
昨日の夢の中で
すぐに分かった
この人なのだと
なのに私は機会を逃した
もう二度と会えない人なのに
掴んで離しちゃ駄目だったのに
その笑顔もその声も
見つめる瞳も
伸ばされた腕も
すべてを失ってしまった私は
ただ愕然と立ち尽くしていた
消えてく背中をただ見つめてた
運命の人を見つけた
昨日の夢の中で
目覚めたらもう
何も分からなかったけど
僕の指は魔法使いの指
絵の中の花を摘み取って君に上げる
天を舞う鳥を呼ぶこともできる
僕の指は魔法使いの指
満天の星空でネックレスを作ってあげる
指先に光を灯すこともできる
僕の指は魔法使いの指
君が欲しがるものはなんでも上げる
無くした物を指差すこともできる
僕の指は魔法使いの指
でも君の心は掴めない
君の恋心は作れない
僕の指は魔法使いの指
君が泣いてるときには
君を笑わせてあげる
目を覚ましたらいなくなっていた。
「ミミ」
呼んでみるが、気配がない。
かわりに、海鳥の声と潮騒が聞こえた。
私の右耳は海岸沿いにいるらしい。
手紙を書こうにも右手がいない。
左手で書いてみたが、なぜか気持ちと裏腹になってしまう。
やはり逆になってしまうらしい。
白紙の手紙を恋人に出した。
二人の思い出の記念切手を貼ったので、察してもらえればよいが。
目を覚ましたら声が出かけていた。
どうしても歌わなくてはならないのに。
困り果てていると、友人が連れ帰ってきてくれた。
どうやら無人のホールで練習していたらしい。
返ってきた声は自信に満ちていた。
目を覚ますと右手が金塊を持っていた。
どうやら、寝ている間に抜け出して宝探しをしていたらしい。
大金持ちになったが、転売ルートなど知らないし、下手に売ればこちらが捕まってしまう。
もとあったところに返してきなさい、と右手を強く叱ると拗ねてしまった。
抗議のつもりか、一日中脇腹をつねったままなので、買い物もままならない。
有名な高級スイーツをいただいた。
そういう日に限って、「舌」がいない。
味覚が出かけているので、味が分からない。
ロールケーキは血も滴る肉の味がした。
いったい私の「舌」はどこで何を食べているのやら。
目の前を泡が立ち上っていく。
どうやら、今日の左目はシャンパンの中にいるらしい。
ぷつぷつと気泡が眼球を撫でていく。
赤いグラスの向こうに道路が見えて、歩いていく私が見えた。
なるほど、このレストランにいるのか。
思った途端にグラスが持ち上がり、私の左目は誰かの喉を滑っていった。
適当なところで戻ってきてくれるといいのだが。
どこかを歩いている。
目を覚ますと、両足が出かけていた。
どうやら、感触からすると、灼熱の砂漠のようだ。
砂浜でない証拠に、どうやら砂地獄に飲み込まれつつあるようだ。
窓の外の雪を見ながら手にした旅券を見下ろした。
バカンスは常夏の海にしよう。
噎せかえるほどの香りに包まれている。
目を開けると、百花繚乱の花園が見えた。香りの元はこれらしい。
どうやら、鼻と左目が連れ立って出かけているようだ。
ふと見ると、足元に倒れている人影がある。
胸から金色の柄が飛び出て、地面は赤く染まっている。
落とした目線が血まみれの手を映した。鼻と目が出かけた先は、殺人犯のようだ。
しかし、通報しようにもここがどこだか分からない。
諦めて、花園を楽しむことにした。
昨日までのことがどうしても思い出せない。
なんとなく分かるのは、記憶が出かけているということだけだ。
かわりに、自分のものではない思い出が蘇ってきた。
どうやら零落した王朝の王子であるらしい。
いい暮らしをしてたんだなぁと、狭い部屋の中、安酒を飲みながら思った。
落ちぶれた王子よりもなお、今の生活の方が侘しくてつましい。
気付いたら雑踏の中にいた。
どうやら全ての感覚が同時に家出をしたらしい。
徒党を組んだようだ。
ショウウィンドウで見つけた己の姿は驚くことに弟のものだった。
全てをのっとられた弟は果たしてどこに行ってしまっただろうか。
そして。ベッドの中にいるはずの私は、果たして生きているのだろうか。