自分が好きでいられる
自分を好きになれる
でも
どこが好きなのか
そんなの
難しい
たとえば
気になるところなら
幾つも
挙げられるけど
自分が好きでいられる
ナルシストとはちょっと違うけど
でも
どこが好きなのか
そんなの
分からない
たぶん
それが
好きだということ
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その角を曲がってはいけない
その道を歩いてはいけない
気付いてしまうだろう
誰ももういないことに
その店を目指してはいけない
そのことを思い出してはいけない
気付いてしまうだろう
君ももういないことに
だから全て忘れておしまい
気付いたりしてはいけない
何ももうないなんてこと
気付いたりしなければ
そこはそう
ただの街角
(2008.04.30)
自分が自分のものでなく
もちろん誰のものでなく
世界が生かしていることを
奢ることなく耳に打つ
それを神というのなら
それは果たして神だろう
それを天というのなら
それは果たして天だろう
自分を自分のものでなく
もちろん誰のものでなく
世界の一部であることを
卑屈がらずに享受する
ときに逆らうことあれば
それも果たして人だろう
ときに惑えることあれば
それも果たして人だろう
そしてこの世はあるだろう
その日二人は
海辺で出会った
羽持つ男と
鰭持つ女
その日二人は
恋に落ちてた
波打つ際(きわ)の
境を越えて
朝日の昇る波間で見つめ
月の滴る浜でキスした
その日二人は
海辺で出会った
白い天使と
銀色人魚
けれど二人は
海辺で別れた
空の住人
海の住人
天使じゃないさと男が言って
人魚じゃないのと女が言った
そして二人は
海辺で別れた
波打ち際で
一つキスして
そして二人は
笑って去った
青と白との
海と空とに
白い小鳥と銀の魚が
消えてそれきり浜辺は眠る
(2008.04.24)
名はない花は
それでもどこかで
鮮やかに咲く
名はない川は
それでもどこかで
静かに流れる
名はない鳥は
それでもどこかで
美しく啼く
名はない森は
それでもどこかで
育みを繋ぐ
名はない星は
それでもどこかで
煌めいて燃える
名はない石は
それでもどこかで
佇んで眠る
名などなくとも
それでも全ては
確実に在る
名はない僕は
それでもここで
この時を生きる
(2008.04.23)
雨音
聴く
壊れたラジオの
音に聞こえる
身体を流れる血潮の
音に聞こえる
遠い小川のせせらぎの
音に聞こえる
異国の踊り子の衣擦れの
音に聞こえる
雨音
聴く
眠れそうな
気がする
走り出した夜空を
地図の上で追いかける
伸ばした指のその距離で
君の元へとたどり着く
君が見つけた流星を
時計の中に閉じ込める
スパアクしている秒針が
過ぎ去る明日に乱れ飛ぶ
古ぼけたビルの屋上
二人きりパーティタイム
ステップ踏んだ足元が
夢の切れ間に落ちていく
昔嫌いだった君に
偶然出会った
たくさんの人の中
すぐに君だと分かった
あのころどうして僕は
君を嫌ってたんだろう
昔嫌いだった君に
偶然出会った
立ち止まった僕を
君は怪訝げに見る
そうとも君は僕を
僕だと思い出しもしない
こんなに変わった君に
僕は一目で気付く
君は蛹を脱ぎ捨て
蝶のようにきらめいてる
あのころ君は人より
一足早く大人びた
羨望と嫉妬と焦燥
僕の中にあったもの
それを嫌悪に置き換えた
あのころの幼い僕
そうとも僕は君に
きっと恋をしてた
昔嫌いだった君を
偶然見かけた
今と過去が交わる
いたたまれないせつなさ
それを抱いたままの僕を
君は通り過ぎてく
引越しのたびに捨ててきたのに
不思議ね
あなたいつの間にか
どこかにいるのね
ダンボールに詰めても
屑箱に捨てても
置いてきたはずのあなた
いつの間にかいるのね
もう一人で寝られない
小さな子供じゃないの
孤独を持て余して泣く
少女の頃はすぎたの
だからもう
あなたは要らないのよ
引っ越すたびに置いて来たのに
不思議ね
あなたいつの間にか
隣にいるのね
汚れたウサギのぬいぐるみ
抱きかかえた小さな少女
あなたを殺して
私も殺して
ともに桜の花と散ろう
なんの怖いことがあろうか
恐怖はもう既に存在しているのだ
この世界を覆いつくす桜霞に
堕ちた首はどこへ飛んだ
朽ちた身はどこへ溶けた
全てこの桜の中に
降りておいで仔猫ちゃん
いつまでそんなとこいるの?
降りておいでよ仔猫ちゃん
そこはそんなに気楽かい?
軒並み皆を見下ろして
優位に立ってるつもりかい?
鏡も人目もない場所で
鈍感な振りする気かい?
都合の悪いことなんて
わざと素知らぬ顔をして
棚に上がったオルタナは
涼しい顔で睥睨す
だけど所詮は棚の上
外の世界は見えないよ
そうさ所詮は棚の上
いつかは降りてこなくちゃね
降りておいで仔猫ちゃん
いつまでそんなとこいるの?
降りておいでよ仔猫ちゃん
自分の姿を見てごらん
(2008.04.22)
誰か教えてください
私のあの窓辺に
花は咲いていますか
誰か教えてください
私のあの垣根に
鳥は囀っていますか
誰か教えてください
私のあの露台に
星は降っていますか
誰か教えてください
私のあの人には
愛が足りていますか
誰か教えてください
私のこの胸には
何を抱けばいいのか
誰か言ってください
私はただそれを
信じていけばいいのだと
(2008.04.16)
その引き出しを開けてはいけない
そこは小さな箱庭なのだ
平凡平和で退屈な
この田舎を模した箱庭だ
都会へ出て行き財成した
男が故郷を懐かしみ
偲んで作った品なのだ
その引き出しを開けてはいけない
そこは現実の箱庭なのだ
平凡平和で退屈な
この田舎を俯瞰してるのだ
たとえば君がそれを開け
誰かと瞳を遭わせたならば
こちらもあちらも霧散する
危険で奇怪な品なのだ
その引き出しを開けてはいけない
どうしたところで開けたいならば
闇夜の夜を待ち開けるのだ
それで何をも見えなくたって
そこにはここが在るという
甘酸っぱいキャンディー
あなたの舌の上
転がって誘う
ゆっくり舐めるのなら
じわじわとアタシ色に染めていく
性急に噛み砕くなら
砕けてあなたを貫くわ
甘酸っぱいアタシ
恋のキャンディー
その先は行き止まりですよ
標識が示していても
その先には行けませんよ
なぜでしょうね
道が途切れているのです
それでも行こうとするのなら
戻ってこられないつもりで
それでも行こうと決めたって
なぜでしょうね
見えるものが見えないのです
今日はあなたが手を叩く音が
なぜでしょうね
聞こえないのです
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日は、拍手画面に飛べません。
いい加減、ここもやばいんでしょうか、ううん。
大きな飛行機に乗って
戦火の町並みを見下ろす
ここは小さなシェルター
向かう当てもなく空を飛ぶ
炎で乱れた気流を
ガラクタの翼が横切る
ここは最後のシェルター
窮屈なシートで夢を見る
燃料が途絶えてももう
どこへも行かれない
ここは終わりのシェルター
漂うように浮かんで消える
今ここにいなかった私は
どこで何をしているだろう
あの日の曲がり角を
あちらへと去っていった背中
声をかけてももう届かない
それは違う世界の違う未来の話
時折鏡越しに映り込んでも
時折視界の隅に入り込んでも
捉えることは出来ない
あちらへと別れていった私
手を伸ばしてももう届かない
どんなに同じ色の
どんなにたくさんの
人の中でも
君を見つけられるのは
僕と君との間を結ぶ
赤い糸が見えるからさ
そう言ったら
きっと君は
笑い飛ばすだろう
ほんとは
僕を見つけた君が
花開くように笑うから
太陽のように笑うから
そう言ったら
きっと君は
拗ねて怒るだろうから
僕らを結ぶ赤い糸が
明るくて眩しいからさ
やっぱり僕はそう言うんだ
(2008.04.14)
僕がどうして
君を食べないか
分かるかい
毒があるからさ
僕がどうして
君のそばにいるか
分かるかい
餌が来るからさ
君に惹かれて
ふらりふらり
君に魅せられ
ひらりひらり
だから僕は
ここにいるのさ
ホントはどうして
君から離れないか
教えない
綺麗だからさ
(2008.04.04)
顔も腕も忘れてしまった
私を呼ぶときの声だけを
覚えている人
あなたに似た人を
街で見かけた
似てるかどうかも分からないのに
あなたかもしれないと
思いながら通り過ぎる
こんなところにいるはずないのに
顔も腕も忘れてしまった
私を呼ぶときの声だけを
覚えている人
見知らぬあなたを
街で見かけた
似てるかどうかも分からないまま
ちょっと真面目な話
言葉は届いてますか
声は伝わりますか
私のこの部屋は
時々無音になる
あなたは何か
声に出しましたか
私の言葉は
伝わってますか
消えてしまうときは
手を叩いてください
声の代わりに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
先日から、コメントがどうにもおかしいようなのですが
(コメレスしたものが、数時間後には消えてしまう)
拍手コメントを拝見したところ、私のコメントだけの事例ではなさそうです。
現在は、多分、大丈夫じゃないかな、と思うのですが、
よくわかりません。
暫く、テスト投稿しながら様子を見てみようと思います。
良ければ、拍手にてコメントください。
そちらは大丈夫のようですので。
ガラスの塔に閉じ込められた蝶は
花の夢を見ながら羽ばたく
象牙の棺で歌を歌う鳥は
雲の音を聞きながら埋められる
時計の針に打ち付けられた月は
満ちてくる潮騒に錆びながら融けていく
空っぽの卵に満たされている風は
温もりの不在を嘆きながら渦を巻く
四辻の幻に彷徨いこんだ私は
恋の骨の賽を手にふりだしを探している
ここで負けたらきっと負けなんだと思う
そんなことないよって誰かが言っても
そういうこともあるよって誰かが言っても
ここで負けたらやっぱ負けなんだと思う
ここで勝ってもそれが勝ちかは分からない
結果が全てじゃないよって誰かが言っても
過程が大事だよって誰かが言っても
ここで勝ってもそれが勝ちとは限らないと思う
ここで勝っても負けても誰も気にしないと思う
自分との戦いだよねと誰かが言って
自分だけが気にしてるものさと誰かが言う
ここで勝っても負けてもそれも自分次第
君と離れ離れの教室
日当たりのいい窓辺の席で
僕はこっそり溜め息をつく
人生そんなにうまくはないか
けれど新しい教室の隅
風通しのいい窓辺の席で
僕はこっそり外を見つめる
そこで見つけた小鳥の巣
廊下を通って聞こえる君の声
遠く離れた窓辺の席で
僕はこっそり微笑んで聞く
放課後になれば君が会いに来る
そしたら僕らはこの教室の
誰もいなくなった窓辺の席で
二人こっそり外を見ながら
小鳥のようにキスをしようか
君と離れ離れの教室
日当たりのいい窓辺の席で
僕はこっそり外を眺めて
君の笑顔を思い出すんだ
なんでもないような街に
ほわりと霞をかけて
ほころんでいく桜
きみの笑顔を誘う
空に良く映えて
薄紅の花弁
くるりと舞い落ちて
きみのうなじをくすぐる
なんでもないような街の
どの道を歩いても
ほら魔法のように
きみの頭上に桜
(2008.04.03)
君たちはまだ小さくて
この大海を知るには幼すぎる
それでも鰭を動かして
泳ぎ始めるんだ
時には嵐に見舞われて
渦に巻かれることもあるだろう
海底深くに逃げてもいい
力をあわせてみるのもいい
不安ストレス疲労に無駄骨
色んな敵に出会うことだってあるだろう
同じように道も色々
それを知ることも生きる術
君たちはまだか弱くて
この大海を知るには若すぎる
それでも鱗を光らせて
渡っていくんだ
世間の荒波に揉まれても
ぬるま湯の誘惑に負けそうでも
時には鱗を傷つけて
泳ぐことを知るんだ
誰もまだ大海の全貌は知らない
明日をそれを知るのは君かもしれない
だから大きく夢を見て
泳ぎ初めてごらん
(2008.04.01)
桜の花が散るたびに
切なくなってしまうのと
通りすがりの少女が言った
咲き続ける桜があれば
切なくないのかいと
隣を歩く少年が言った
開き始めて満開になって
あっという間に散り初める
だからいいんじゃないか
純情可憐に蕾を震わせ
幻のように世界を染めて
夢のように降り注ぐ
まるで一瞬の恋みたいだと
瞳をあわせ微笑みながら
隣に佇む少年は接吻した
だからまた次の春にね
そう言って消えた少年を送り
通りすがりの少女は去った
彼の埋まった桜の幹の
吹雪く花弁を浴びながら
初めから
そうそう上手くはいかない
そんなに簡単ではない
失敗だって当たり前
過信しすぎてはいけない
だからって
むやみに不安になっては駄目だ
やたらに自信をなくすことはない
誰だって通る道
自分だけを不幸がってはいけない
分かったら
顔を洗って出直しておいで
新しく踏み出すために
あなたのことが
好きで好きで
死にそうです
そんなことを言う
四月一日の彼女に
ぼくはどう答えていいか分からず
途方に暮れる