走り続ければ
明日に着くだろうか
どこまでも
追いかけた
背中に届かない
手を伸ばせば
あなたに触れるだろうか
いつまでも
憧れた
夜明けを探してる
諦められない
忘れたりできない
この足が走るなら
この指が触れるなら
いつだって
どこにだって
答えを見つけにいく
どこへ行くのだって
あなたがいる場所が
そこにあるから
だから
どこへでも行けるの
ひとしずく垂らした
とわの時間のその欠片
はにかんでキスをした
いとしさのささやきが
まぶたの上に降りてくる
もうすぐここに夢が降る
ヒミツの鍵を携えて
とうめいの天使が
リモーネ色の月を従え
だきしめた愛を配るだろう
けいけんな朝が来るまでは
どこへも行かずに目を閉じて
この世界が廻るのを感じながら
よるのとばりに包まれよう
いそがないでゆっくりと
ハッシャバイ
こもりうたを歌ってあげる
こどくさえも歌の向こうに
へいきな振りも要らないくらい
おやすみなさい
いい夢を
できれば二人で同じ夢を
ハサミでジョキジョキと
切ってしまえば楽だろう
まっすぐに切れなくても
スパンと切ることはできるだろう
手の平でワシワシと
隠してしまえば楽だろう
ちょっとばかりはみ出たって
どこかに投げるくらいはできるだろう
岩石でガスガスと
叩いてしまえば楽だろう
掴んだ拳が痛くったって
粉々に砕くことはできるだろう
だからもうやめにしないか
一度きりで勝負をつけよう
何を切って
何を隠して
何を砕くか
お互い決めたら戦おう
泣きたいのならば泣けばいいよ
こらえた涙は
淀んで濁って
腐っていくよ
心の奥を
蝕んでくよ
泣きたいのならば泣けばいいよ
流した涙は
ほどいて溶かして
乾いていくよ
心の奥を
洗っていくよ
いつでも泣いてよくはなくても
どこでも泣いてよくはなくても
泣きたいのならば泣けばいいよ
必要ならば胸を貸すから
君がいなくなったらどうしよう
ずっと考えている
手の届かない場所に
君が行ってしまいそうで
僕はずっと恐れている
いなくなる日を考えて
準備をしておくべきなのかな
でも
準備をしてしまったら
いなくなりそうでできない
君がいなくなったらどうしよう
そんなことに気づいた
手の施せない場所に
君が去ってしまいそうで
僕は今更恐れている
不意に分からなくなる
どこに向かっているのか
行き先は知っているのに
不意に分からなくなる
そんなときはないかい
学校への道
会社への道
自宅への道
明日への道
分かっているのに
道を外れたくなる
不意に目にした路地に
反対側のホームに
行ってしまいたくなる
そんなことはないかい
ほらまさに今
そんなときじゃないかい
近道も遠回りも
寄り道も迷った道も
どれもがすべて君の道
不意に分からなくなるときには
思いつくまま歩けばいいさ
遠い遠いところから
思いがけぬ速さでやってくる
それが冬
山が赤や黄色に染まる頃に
唐突に白く染めたりする
それが冬
汗ばむ昼間や強い日差しを
吹き飛ばす速さでやってくる
それが冬
まだ用意が済んでないよ
もっとゆっくりくればいいのに
それが冬
君と僕との間に
交わされているのは
同じ言語だと思っていたのに
違うんだね
きっと次元が
きっと時空が
僕の言葉は
歪められて
跳ね返されて
伝わらない
噛み砕いても
骨を折っても
面白いほどに
伝わらない
いっそこのまま
なかったように
飲み込もうか
バベルの塔が
壊れたように
僕の心も
砕けていくよ
君と僕との間に
交わされているのは
同じ言語だと思っていたのに
違うんだね
別物なんだね
たまにはいいじゃん
そんな日もあるじゃん
誰も咎めないし
誰も止めやしないよ
そんなこと言って
甘やかしたら
きっとそのまま
終わってしまう
たとえ数行でも
たとえ駄作だとしても
ここで書き続けることを
諦めてはいけない
ただ気力が湧かないだけ
ただやる気が起きないだけ
そんな理由で止めてしまうことを
認めてはいけない
私を置いていかないで
通り過ぎた過去の中に
私を置いていかないで
風に消えた幻の中に
連れて行けとは言わないから
どうか
私を置いては行かないで
写真も手紙も捨ててもいいわ
匂いも温度も忘れていいわ
私を置いていかないで
忘れ果てた過去の中に
私を置いていかないで
露と消えた夢の中に
共に行こうとはしなくていいから
どうか
私を置いては行かないで
小指の先の爪の分だけ
瞬きに揺れた瞳の分だけ
記憶を置いていかないで
まるで無かった過去のように
すべては置いていかないで
砕けて散った心の果てに
眠れない夜には
耳元に置いて
寄せて返す月の波音を
囁いてあげるから
夜を身体の中に満たし
夢に漂わせてあげるから
眠れない夜には
胸元で抱いて
砕けてさざめく星の調べを
口ずさんであげるから
甘い吐息でくすぐりながら
夢にいざなってあげるから
眠れない夜には
歌ってあげる
瞳を閉じて
私を呼んで
どこへ行っても見つからない
なくしてしまった愛の歌
テレビの隅にも
街の角にも
どこにも見えない愛の歌
口ずさんでる人さえいない
消えてしまった愛の歌
記憶の果てにも
夢の跡にも
誰もが忘れた愛の歌
誰かお願い
思い出してよ
確かにここに
それはあったと
愛という字を誰も知らない
壊れてしまった愛の歌
涙の中にも
胸の奥にも
もう残らない愛の歌
喫茶店のようなもの
気に入ったものがあれば
一息ついていけばいい
気になったものがあれば
メニューを眺めて見るのもいい
雨が止むまでひとやすみ
疲れが減るまでひとやすみ
喫茶店のようなもの
思いがけず美味しかったり
思っていたのと違っていたり
日をおかずに通ってみたり
一度来たきり忘れてみたり
眠れない夜のひとときに
憂鬱な朝の合いの間に
喫茶店のようなもの
そういう場所になればいい
ここで待っていればいつか
迎えに来てくれる
だからずっと待っている
だけどそう?
ほんとうに?
ここで待っていればいつか
迎えに来てくれる?
だからずっと待ってるの?
それでいい?
ほんとうに?
ここで待っていてもいつかは
いつになるか分からない
だからいっそ歩き出す
それでいい?
ほんとうに?
ここで待つべきか歩くべきか
誰にもそう分からない
だからきっと自分次第
暑いような寒いような季節の中で
熱いような冷めたような関係の二人
近すぎても遠すぎてもだめだった
手を伸ばせば届く距離の二人
あいだに誰か入ってしまえば
あっという間に離れてしまう
なのに指先が触れてしまえば
とたんにそれを持て余してしまう
暑いような寒いような時間の中で
燃えるような凍えるような関係の二人
二人はまだ
距離感をはかれないまま
凍てつく季節を待っている
人種性別年齢
そんなものは
関係のない
宗教信条言語
そんなことが
瑣末になる
世界に必要なものは
愛
ただそれだけなのだろう
夢を見ていた頃の夢を見た
まだ若く
未来はすぐそこで待っているのだと
信じて疑わなかった頃の夢を
夢を叶えたという夢を見た
もういつも
夢見ては満足してしまっていた
そんな自分などなかったかのように