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小料理屋で食事をしていると
隣に旧友が座っていた
元気だったかと話し合っていたが
不意に既に逝った友だと気付いた
友に出された天ぷらはまだ湯気を立てていた


本を読んでいる
これは確かに知っている話だ
そう思いながら読んでいると
終わりのページは真っ白だった
知っている話だけれど
どうしても思い出せない



列車の窓から外を見ている
これはどこへ向かうのですか
切符を渡しながら車掌に訊いた
どこへでも
そう答えて連れて行かれたのは
ポイントだった
行き先を決めたはいいが電車に置いていかれた


十字路に立っている
どの道もまっすぐだが
その先が見えない
どこから来たのかも分からない
倒す棒も見当たらないので
とりあえずそこに寝転んでみた
足と頭と両腕がそれぞれの先へと伸びていった
足と腕は今何をしているだろうか



時計台の下で待ち合わせた
二時のバスで参ります
そう言った女は一向に来ない
掃除夫が
いつまで経ってもこねぇよと言う
ふと見上げると時計は止まっていた



三日三晩迷路の中で迷っている
お困りですか
顔のない紳士が訊いてきた
宜しければ出口に案内しましょう
連れて行ってもらったが
出口で顔を取られてしまった
迷路の中で次の客を待っている



葉書を書いている
出す段階になって気づいた
誰に出すのだったか
宛て先不明のまま
ポストに入れたが
誰に届けてくれるのか
ポストは口を開かなかった



葉書が届いた
読んでいくうちに
涙が出て止まらなくなった
差出人は誰かと
裏返してみたが
既に涙で滲んでいた



部屋の中を蚊が飛んでいる
羽音を頼りに追いかけていると
いつの間にか
森に迷い込んでいた
月の降らせた静寂が鳴らした
耳鳴りだと分かった


青い鳥を追いかけている
美しい氷原や草原
居心地のいい宮殿
心躍るキャラバン
たくさんの場所を廻った
たくさんの誘惑を断って
鳥を追いかけ
とうとう自宅に辿り着いた
ひと気のない寂れた我が家を見て
酷く残念な気持ちになった
鳥は涼しい顔で啼いている

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2008.08.04 Mon l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top