どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

足音

駆け足で過ぎていく
足音だけが聞こえる
あれは何の音

時間が過ぎ行く音
雲が流れていく音
月が降っている音
君が駆けていく音

追いつけない速さで
足音だけが聞こえる
あれは何の音

僕の鼓動の音

致命傷

爪の中に入り込んだ棘
紙が引き裂いた皮膚
灼けて渇ききった瞳
ぶつけてしまった小指

言いそびれてしまった言葉
掴み損ねてしまった愛情
捉えきれなかった指先
選ばなかった選択

ささやかなのに
ささいなことなのに
致命的な痛み


(2007-05-30)

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困難

難しいのは

その瞬間に

どう動くかではなく

動いた結果を

誰に咎められても

言い訳せずに

立っていられるか

後悔したとしても

誤魔化したりせずに

受け止めていられるか

ということの方だ


(2007-05-26)

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かさぶた

治りかけたかさぶた

力任せに剥ぐみたいに

滲み出した血の色で

指先を濡らすみたいに

無謀な恋をした

後に残るのは

消えない痕

リインカネーションのエリイ

探しているの
あなたを
ずっと
ずっと
生まれる前から

蒼い時間の
始まる前から

光る宇宙の
生まれる前から

求めているの
あなたを
ずっと
ずっと
逝ってもまだなお

乾いた世界が
弾けたとしても

怒る歴史の
終わりが朽ちても

どんな姿でも
どんな時代でも

あなたをずっと
待っているの

どんな距離でも
どんな違いでも

あなたをきっと
探しにいくの


星が消えても
息が絶えても

ずっと
ずっと

生まれ変わるの

ただ

あなたに出会うためだけに

君への答え

愛してると

言葉にしたら

きっとすべてが

嘘になる


愛してると

答えにしたら

きっとどこにも

行かれない


それだけの

トキノオト

耳鳴りのように
潮騒のように
木擦れのように

静寂のように
喧騒のように
衣擦れのように

雨音のように
風声のように
囁星のように

どこからともなく
どこへともなく

降り注ぎ
染み渡る音

いりこの嫁入り

遠い遠い故郷を離れ
今朝私はお嫁に行きます
白いお肌のあの方か
赤い御髪のあの方か
それとも違う殿方か

熱い熱いお湯で磨かれ
今朝私はお嫁に行きます
あなたに良く似た息子やら
私に似てない子を育て
恋敵に良く似た娘さえ

育むはずの家を離され
今朝私はここから去ります
この身があなたと離れても
心はあなたのそばにいる
最後まできっと離れない


甘い甘い朝に呼ばれて
今朝私は味噌汁を作る
いりこと昆布で出汁を取ったら
油揚げタマネギそれからワカメ
赤味噌白味噌合わせ味噌

そしたらあなたを起こしに行こう
目覚めの朝餉を召し上がれ

夢に咲く花

これは
一夜限りの
恋でありんす

月夜に咲いて
明けに散る
ぬしとわっちの
恋なんでありんす

心を疑っては
いけんせん
心を侮っては
なりんせん

わっちが売るのは恋
繋ぎとめるは
心でありんす

朝がくれば
露と消える
それが
わっちの恋心

けれど

萎れた花でも
匂いは
残っておりんしょう

乾いた涙も
流れぬわけでは
ありいせなんだ

夢に咲いて
やがては毀れる
一夜限りの
恋とても

夢へ漕ぎ出で
手に手を取って
腕に沈めば
まことの恋

ゆめかうつつか
まことかうそか

考えても
分かりいせん

どうぞ

心で感じて
おくんなまし

これは
今宵限りの
恋でありんす

月夜に開いて
明けに死ぬ
ぬしとわっちの
恋なんでありんす


(2007-05-15)

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それが理想

名前なんて

知らなくても

姿なんて

見えなくても

どこかで

美しく囀っている

小鳥


(2007-05-14)

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毀れた時間

掌の砂を零した

風に乗って消えた

もう元には戻せない

砂時計の中の

時間たち

砂漠のエコー

どこまで行っても暑い夜は

砂漠の上に寝転がる

降り注ぐほどの星空に

ぽつんと声をかけてみる

広い夜空と白い砂漠に

声は吸われて消えていく

おおい

おおい

聞こえるかい

どこからともなく返るエコーは

砂と風と砕ける星の

囁き声に紛れて届く

おおい

おおい

生きてるかい

どこまで行っても暑い夜には

砂と風と煌めく星の

夜の帳に包まり眠る

朝が来るまで

独りで眠る

見出したエコノミー

水を出しっぱなしにしない
流れていく水の中に
朝の光が消えていく

電気を点けっぱなしにしない
照らされた吐息の中に
要らぬ熱が生まれてく

極端に温度を変えない
変わりゆく自然の中に
変化を感じ取るために

要らぬものは貰わない
捨てていくだけのものの中に
使われていた命が嘆く

すべてのことに感謝を
己のみで生きるにあらず
人間のみで生きるにあらず

生きて

生きていることは奇跡です
どんなに悲しいことがあっても
一生悔やむことが起きても
生きているだけで奇跡です

取り返しのつかないことがあっても
失ってしまったものがあっても
あなたがそこに生きているだけで

奇跡なのです

今という時にあなたがいるということ

未来という時間に希望を持てるということ

今日が最悪であったとしても
いつかいい日が来ると信じてみることが出来るということ

だから
生きてください

私のために

誰かのために

あなたのために

秘密の日々見

秘密の夜気が明けて
秘密の鍵を開けたら
秘密の愛をあげるよ

秘密の窓を開いて
秘密の角を見ないで
秘密の鳩を未来へ

秘密の公園に満ちた
秘密の声を聞いたら
秘密の方へおいでよ

秘密の恋をしたなら
秘密の故意を従え
秘密のを想いしたためて

青く白く

青々と
広がりますのは
これは
海です
これは
空です

白々と
押し寄せますのは
これは
雲です
これは
波です

真っ青なものは
これは
私の
若さです

真っ白なものは
これは
私の
未来です

光る瞳に
照らされて
青々と
白々と
輝く

これは
私の

証です


(2007-05-12)

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白黒つけない

ふたりのこと
好きだから
どちらかだなんて
決められない
だってふたりとも
魅力的

大好きだよって
言われると
やっぱりとっても
嬉しいの
気持ちはふらふら
揺れちゃうの

割り切れないのも
悪くない
だってふたりは
違うから
どちらのあなたも
好きだから


カフェオレでも
飲みながら
晴れた空の下
話しましょ
どんなことだって
楽しいわ

でも

白黒つけない
ままがいい

ねえ

白黒つけない
ままでいい?


(2007-05-11)

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ひとしずく

たった一滴
それだけで
世界が変わる

そんな雫はきっと
どこにだってあるけど

僕の世界を変えた
ほんの一滴

それは

あの日の君の

ほころぶ笑顔なんだ

絶望の縁にいるのなら

すべてが厭になって
誰も味方がいないとき

日々に疲れ果てて
孤独に慄いてしまったとき

思い出して

君だけは君を
見捨ててはいけないのだと

君だけでも君を
信じていなくてはいけないのだと

君だけが君の
進む道を選べるのだと

だけど
戻っておいで

そっちじゃない

君はまだ
君の未来を信じていい

だから
戻っておいで

そっちじゃない

一秒の言葉

ありがとう

大好き

嬉しいよ

大丈夫

愛してる

可愛いね

美味しいよ

楽しいね

素敵だよ


たった一言

たった一秒


それで世界は

変わるから

ニヒルに微笑む瞳に緋

誰も信じてない
誰も愛してない
そんなあなたが微笑む

全てを凍らせて
全てを眠らせて
滴り落ちる月に
ただ一人口ずさむ

遠い記憶の隅の
人だった頃の痛み
もはや指先にさえ
残っていないけれど

誰のぬくもりも
掴み損ねて
ただ笑う

緋い瞳は
涸れ果てた泉の色


創造想像

あたしの中には
いつも誰かがいて
歌を歌ったり
夢を紡いだりしてる

見たこともないような花や
聞いたこともないような国や
聴こえるはずのない声や
想像もつかない未来が
生まれていくのが分かる

あたしの中には
いつも誰かがいて
いくつもの世界を
時折教えてくれる

道で見かけた花や
見飽きるほどの日常や
聴き慣れている言葉や
刻んできた歴史が
彩りを添えるのが分かる

あたしの中には
いつも誰かがいて
あたしの知る世界で
時折花を咲かす

燃せ燃せ

もしもし
もしもし

もしもあなたに
もう死んでもいいと
申しましたら
妄想だと笑いますか
妄執だと嘆きますか

もうそんなことは
燃してしまえと
盲信などは
もう捨ててしまえと


もしかしたら
毛細血管にまで
妄信が入り込んで
もう先から
亡者なのかも知れません


もしもし
もしもし

もしもあなたに
もう少し声が届くなら

燃した灰の中に
ともし火を探せと

喪主の手燭に
ともしてやろうと

申し渡してください


(2007-05-10)

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紐を結ぶ

あなたの指と
私の指とを
赤い紐で
結びつけるの

切っても
切れない
想いを縒って

切るにも
切れない
丈夫な紐を


あなたがどこにも
逃げないように
あなたのことを
縛り付けるの

ほどくに
ほどけぬ
がんじがらめで

動くに
動けぬ
ぐるぐる巻きで


あなたの恋と
私の恋とを
赤い紐で
繋ぎとめるの

その声
その顔
指先までも

その肌
その髪
零す息さえ


それでもあなたが
逃げると言うなら
赤い紐で
縊ってしまうわ

あの子も
どの子も
届かぬように

私の
傍から
離れぬように


(2007-05-09)

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ちにうえたものたちに

血に餓えたものたちに
今日は哀しい雨が降る
寒さに凍えたものたちが
暖を求めて傷つける
熱い血潮の雨が降る

知に飢えたものたちに
今日は正しい雨が降る
頭脳の渇いたものたちが
潤い求めて気付いてく
遍く知悉の雨が降る

地に植えたものたちに
今日は優しい雨が降る
ただ生きんとするものたちが
明日を求めて築いてく
今日の地質に雨が降る

ポケットに獣を飼う

キリンになって
この街を見下ろそう
なんだこんなもんかと
思ったよりちっぽけだなと
首を振って
草原を目指すんだ

ゾウになって
この街を震わそう
なんだこんなもんかと
道行く人の憂鬱を
踏み潰して
夕焼けを目指すんだ

フクロウになって
この街を飛び回ろう
なんだこんなもんかと
星の方がずっといいやと
灯り啄ばんで
深い森を目指すんだ

クジラになって
この街を水浸し
なんだこんなもんかと
狭苦しい道を叩き
潮吹いて
大海を目指すんだ

シロクマになって
この街を押し潰そう
なんだこんなもんかと
電柱をへし折って
混じりけない
氷原を目指すんだ

ニンゲンになって
この街を突き進む
そうさこんなもんさと
ポケットに手を入れて
知らん顔で
どこまでも目指すんだ

汝の名

ぐるり
ぐるり
巡り巡って月が昇る

どろり
どろり
巡り巡って月が浮かぶ

赤い
紅い
夜に滴る孤独の月よ

昏い
喰らい
夢にまみれる蠱惑の月夜

ぐるり
ぐるり
廻り廻って月が満ちる

どろり
どろり
廻り廻って月が濡れる

徹夜紡ぎ

かちこちと秒針が泣く

ぱたぱたと雨粒が呼ぶ

うぉんうぉんとファンが踊る

みしみしと壁が呟く


かたかたとキーボードが唄う

きいきいと椅子が嘆く

ちらちらと蛍光灯が惑わして

しらじらと夜が明ける

しちしち

しち面倒くさい恋をして
七転八倒繰り返してた
始終悔やんだ日々だった

質草にもならぬ想い出は
質屋だってもう見向きもしない
四重苦以上の日々だった

名無しの二人の道程ならば
斜めに走って消えていく
始終眩んだ日々だった

七晩寝ずに考える
死地に立つなら同じこと
四十九日を待たずして

あなたを連れて行きましょう

シエスタ

目を閉じても分かる
若々しい緑色
瞼に落ちてくる木漏れ日浴びて
初夏の風に揺蕩う

溢れるばかりの薫り
名も知らぬ花が揺れる
眠りの中に零れ落ちて
淡い夢に微睡む

五月の風に吹かれ
揺れて漂う午睡
あたためられた頬に
光の粒が踊る

誰も起こさないで
萌える季節の中
満ちる息吹を感じながら
世界に身を委ねる


(2007-05-07)

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