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藤樹庵の藤
藤姫は
山向こうにいる
老木の
白藤様と
恋の仲

だけども二人は
遠すぎて
春風任せに
恋文を
互いに交わして
君想う

紫薫れる
藤姫は
香気の美酒に
想い乗せ
使いの鳥に
運ばせる

山の向こうの
白藤は
小壜に入った
紫の
その香に恋を
募らせる

山の彼方の
空遠く
互いに恋を
高まらせ
たなびく雲に
飛び乗った

藤樹庵の藤
藤姫は
山の向こうの
白藤と
一夜の逢瀬を
慈しむ

隔てる距離も
厭わなく
遠いからなお
いとおしい
なればなおこそ
愛しけれ

白藤様と
藤姫は
またの逢瀬の
約束と
互いの小指を
絡めけり

高貴な姫の
紫の
大樹の裾に
ひっそりと
澄み切る白の
藤が咲く


(2007-04-16)
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2008.05.17 Sat l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top