どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

分岐点

その角を曲がってはいけない

その道を歩いてはいけない

気付いてしまうだろう

誰ももういないことに


その店を目指してはいけない

そのことを思い出してはいけない

気付いてしまうだろう

君ももういないことに


だから全て忘れておしまい

気付いたりしてはいけない

何ももうないなんてこと

気付いたりしなければ

そこはそう

ただの街角

深紅の想い 

この手首を切って

あなたにあげましょう

迸るほどの想いごと

いっそあなたにあげましょう

夕映えに良く似た

禍々しいまでの深紅で

染め上げてあげましょう

言葉を綴った指先も

睦み交わした掌も

蒼ざめるほどの緋の色で

覆い尽くしてあげましょう

この喉元を掻き切って

あなたにあげましょう

噎せ返るほどの想いごと

すべてあなたにあげましょう

花びらに良く似た

凶々しいまでの芳香で

包み込んであげましょう

言葉を交わした唇も

絡み合わせた視線さえ

蒼ざめるほどの熱情で

覆い尽くしてあげましょう

炎の色さえ凌駕した

燃やし尽くせぬ想いごと

すべてあなたにあげましょう

すべてあなたにあげましょう


(2007-03-26)

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スランプみたいなもの

だめだ
もう動けない
ここまでどうやって
歩いてきたんだっけ
次に出すのは
右足?
それとも左足?

白線の上で綱渡り
気付いたら脇は
断崖絶壁
そしたらもうだめ
動けないんだ

だめだ
もう動けない
今度こそもう
動けないんだ
それでも明日は
来るかな?
それとも来ない?

「そつがある」「そつがない」

割った詩ならいっそ粗末でも

月見を思う松だ

和歌それはそっと追い

要素に蜜添える蔦だ

漢詩予想はもうない

そっと月に夢満つるだけ



(2007-03-30 )




私なら今でも

君を想う

まだ別れは遠いように見える

ただ

感傷はもうない

時に夢見るだけ



(2007-03-30 )


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「るを取る」「るを取った」

歩いた

行けども

ウルグアイの夜いる

渡る賜杯ナイルの河

言い寄って黙る舌の根

剣(つるぎ)の或いは生じる

危害要るから

担った想い軽くして

当たるらしい昼の光を啜る

もう

満ちるならここに

生きる太陽にある

下へ行こう


(2007-03-20)



逢いたいけどもう

具合の良い私はいないの

可愛いよって騙したのね

次の愛は正直がいい

空になった想い隠して

新しい日の光を進もう

道ならここに

行きたいように明日へ行こう


(2007-03-20)

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愛を

声を聞かせて

耳を澄ますから

声を聞かせて

初夏の風に乗せて

歌を聴かせて

心澄ますから

そしてわたしに

愛を聴かせて

浜辺の人魚 天使の砂浜

その日二人は
海辺で出会った
羽持つ男と
鰭持つ女

その日二人は
恋に落ちてた
波打つ際(きわ)の
境を越えて

朝日の昇る波間で見つめ
月の滴る浜でキスした

その日二人は
海辺で出会った
白い天使と
銀色人魚

けれど二人は
海辺で別れた
空の住人
海の住人

天使じゃないさと男が言って
人魚じゃないのと女が言った

そして二人は
海辺で別れた
波打ち際で
一つキスして

そして二人は
笑って去った
青と白との
海と空とに

白い小鳥と銀の魚が
消えてそれきり浜辺は眠る

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名はない花は

名はない花は
それでもどこかで
鮮やかに咲く

名はない川は
それでもどこかで
静かに流れる

名はない鳥は
それでもどこかで
美しく啼く

名はない森は
それでもどこかで
育みを繋ぐ

名はない星は
それでもどこかで
煌めいて燃える

名はない石は
それでもどこかで
佇んで眠る

名などなくとも
それでも全ては
確実に在る

名はない僕は
それでもここで
この時を生きる

棚の上のオルタナ

降りておいで仔猫ちゃん
いつまでそんなとこいるの?
降りておいでよ仔猫ちゃん
そこはそんなに気楽かい?

軒並み皆を見下ろして
優位に立ってるつもりかい?
鏡も人目もない場所で
鈍感な振りする気かい?

都合の悪いことなんて
わざと素知らぬ顔をして
棚に上がったオルタナは
涼しい顔で睥睨す

だけど所詮は棚の上
外の世界は見えないよ

そうさ所詮は棚の上
いつかは降りてこなくちゃね

降りておいで仔猫ちゃん
いつまでそんなとこいるの?
降りておいでよ仔猫ちゃん
自分の姿を見てごらん

眩暈の原因

乗り物に酔ったみたいに

お酒が廻ったみたいに

風邪でも引いたみたいに

気持ち悪い

きっとこれは

地球の回転速度が

変わったに違いない

きっとこれは

地球の地軸の向きが

変わったに違いない

だからこれは

風邪じゃない

病気じゃない

塵も積もれば

砂粒ひとつ
集めていけば
砂漠になる

草の芽ひとつ
集めていけば
草原になる

若木をひとつ
集めていけば
樹海になる

山をひとつ
集めていけば
秘境になる

星をひとつ
集めていけば
宇宙になる

人をひとり
集めていけば
家族になる

好きをひとつ
集めていけば
愛情になる

人を
自分を
世界を

愛していけば

明日になる


(2007-03-16)

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歩兵

じっくりとのろのろと

歩いていこう

馬はない

月が出たなら酒を飲み

寒が戻れば火を囲み

ゆっくりとのたのたと

歩いていこう

意味のない

敵兵とともにあるよりは

路傍の花を愛でてこう


(2007-03-13)

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嗟嘆の沙汰

あたしは思うんです
どうしようもないときに
どうしたらいいのかを

ひたすら悩んでみるべきか
いっそ忘れてみるべきか

当たって砕けてみるべきか
遠回りをしてみるべきか

一歩踏み出すべきなのか
見て見ぬ振りをするべきか

泣いて明け暮れるべきなのか
笑って飛ばしてみるべきか

あたしは思うんです
どうしようもないときは
どうしてもいいのだと

あたしは思うんです
心の中に住んでいる
天使と悪魔に委ねようと

どんな悩みも困難も
心のままに選ぼうと

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重なった記憶の暖かさ

強い風に吹かれて
窓辺の日記が翻る
悪戯な溜め息が
あの日の二人を開いた

風が吹けば寄り添い
雨が降れば笑った
太陽の下で眠り
月夜に語らった

強い風に吹かれて
窓辺の時間は彷徨える
若葉の薫る影が
昔の幻を見せた

幾つもの出会いと
別れていく景色
変わらぬものがあれば
消えたものも残る

強い風に吹かれた
時が混ざる窓辺で
遠く過ぎたあの日に
今日の花が降り注ぐ

どんなものも全て
重なり合ったページ
記憶は胸の中で
ひだまりへと変わる

ただそれを

誰か教えてください
私のあの窓辺に
花は咲いていますか

誰か教えてください
私のあの垣根に
鳥は囀っていますか

誰か教えてください
私のあの露台に
星は降っていますか

誰か教えてください
私のあの人には
愛が足りていますか

誰か教えてください
私のこの胸には
何を抱けばいいのか

誰か言ってください
私はただそれを
信じていけばいいのだと

予想外

誰も思いもしなかった
誰も予想をしなかった
そんな明日が
明日来る

誰の思いも裏切った
誰の予測も擦り抜けた
そんな明日が
明日来る

そしてまた
地球は廻る

そしてまだ
地球は廻る


多分

明るい赤

どんなに同じ色の
どんなにたくさんの
人の中でも
君を見つけられるのは
僕と君との間を結ぶ
赤い糸が見えるからさ

そう言ったら
きっと君は
笑い飛ばすだろう

ほんとは
僕を見つけた君が
花開くように笑うから
太陽のように笑うから

そう言ったら
きっと君は
拗ねて怒るだろうから

僕らを結ぶ赤い糸が
明るくて眩しいからさ
やっぱり僕はそう言うんだ

真実

そんなものは

時間の始まりのように

宇宙の果てのように

なんとなくしか

分からないもの


そんなものは

天上の神様のように

逝った誰かの気配のように

在るとも無いとも

言えないもの


そんなものは

永遠の終わる瞬間や

円周率の最後のように

来ることさえも

分からないもの


(2007-03-11)

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安心と不安

あなたの腕の中にいれば
何も怖くないと思っていた
あなたのぬくもりがあれば
何も恐れないと思っていた

安心の中で
私は少しずつ
鈍磨していった

あなたを失くしたときに
気付いた

あなたの腕の中にいたら
何も動けないことを知った
あなたのぬくもりに甘え
何も生み出さないことを知った

不安の中で
私を少しずつ
取り戻していった

あなたを失くしたとしても
歩ける

あなたの腕の中の世界
心地よくて狭すぎた
あなたのぬくもりの世界
眠気を誘ってつらかった

安心と不安
私は少しだけ
分かった

二人を失くしたくないから
行くこと


(2007-03-07)

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好きだよ

好きだよ

大好き

だぁいすき

なによりも

誰よりも

君のこと

好きだよ

大好き

だぁいすき

笑わないで聞いてね

君が好きで

毎日が嬉しい

君が好きで

明日が楽しみ

好きだよ

大好き

だぁいすき

自分までも

好きになる

優しい気持ちに

なれるんだ


ひりひり

傷なんて見えないのに

何も変わりないのに

ひりひりと痛むんです

火傷したかのように

ひりひりと痛むんです

何も違わないのに

怪我なんてしてないのに



ひりひりと

ひりひりと

痛むんです

心が

不平不満不安さえも力に変えて

君はどこに行きたいの

君は誰に会いたいの

君は何を欲しがるの

君は何をやりたいの


ここじゃない

僕じゃない

与えられない

動き出せない


文句ばかりじゃなくて


今を見て

僕を見て


歩こうよ


君は今不安かい

君は今不満かい

君はまだ不平かい

君はまだ戻りたい


不安なら

抱きしめて

嘆きなど

投げ飛ばせ


楽しんでみようじゃないか


明日を見て

君を見て


走り出せ

強い風に吹かれて

飛んでいく
すべてすべて
飛んでいく
悩みも鬱も
飛んでいく
あなたも彼女も
飛んでいく
ぜんぶぜんぶ
飛んでいく
涙も愚痴も
飛んでいく
誰かも自分も
飛んでいく
みんなみんな

飛んでいけ

桜夜桜暁

淡く咲いた花びらは
この雨風に散るだろう
夜に煙った花びらは
濡れた地面で光るだろう

それでも凛とあるだろう

薄紅の花びらは
春の嵐に舞うだろう
仄かに香る花びらは
かすかに揺れて誘うだろう

ことさら艶に匂うだろう

乙女の爪の先のように
薄く微笑む唇のように
波に浚われる貝のように
全てを包む雲のように

闇に浮かびし花びらは
かそけき光を放つだろう
夢に霞みし花びらは
朝の淡いに開くだろう

春を奏でて咲くだろう

夜闇の櫻

孤独が匂う
四辻の夜
闇に紛れて
鴉が嘆く
呼ばえ
呼ばえ
魔物が囁く
円く馨った
血の色


絶望が歌う
墓石の下
骨に紛れて
記憶が誘う
夜這え
夜這え
蝙蝠が哄う
淡くけぶった
血の色


月も滴る
血の色
夜闇


(2007-03-06)

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ばいばい

ばいばい

夜が来て

朝が来たら

また会う気がするね


おはようって

笑いあって

昨日のドラマの

話をしたり

雑誌を読んだり

しそうだね


ばいばい

夜が来て

朝が来たら

もう違う空の下

なのにまだ

会う気がするね


ばいばいまたね



(2007-03-05)

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小鳥と赤い実

僕がどうして
君を食べないか
分かるかい

毒があるからさ

僕がどうして
君のそばにいるか
分かるかい

餌が来るからさ


君に惹かれて
ふらりふらり

君に魅せられ
ひらりひらり

だから僕は
ここにいるのさ


ホントはどうして
君から離れないか
教えない

綺麗だからさ

さくら

なんでもないような街に
ほわりと霞をかけて
ほころんでいく桜
きみの笑顔を誘う
空に良く映えて
薄紅の花弁
くるりと舞い落ちて
きみのうなじをくすぐる

なんでもないような街の
どの道を歩いても
ほら魔法のように
きみの頭上に桜

マナーってもんだろ

私は何か間違っているかい
私は何か図に乗ってるかい
そんなことはないはずさ
当たり前のことを言ってるだけさ

初対面なら丁寧語
敬語が無理でも正しい言葉で

頼みごとなら腰は低めに
挨拶抜きで用件だけなど論外さ

私は何か間違ってるかい
私はどうも古臭いかい
そんなことはないはずさ
あるべきマナーを言ってるだけさ

親しき仲でも礼儀を持って
適度と節度は忘れずに

世迷言なら寝てから言いな
目が覚めてから言い直せ

私は何か間違ってるかい
確かに正しいばかりじゃないが

私は何か間違ってるかい

糾弾されるよな謂れがあるかい


大海を知る

君たちはまだ小さくて
この大海を知るには幼すぎる
それでも鰭を動かして
泳ぎ始めるんだ

時には嵐に見舞われて
渦に巻かれることもあるだろう
海底深くに逃げてもいい
力をあわせてみるのもいい

不安ストレス疲労に無駄骨
色んな敵に出会うことだってあるだろう
同じように道も色々
それを知ることも生きる術

君たちはまだか弱くて
この大海を知るには若すぎる
それでも鱗を光らせて
渡っていくんだ

世間の荒波に揉まれても
ぬるま湯の誘惑に負けそうでも
時には鱗を傷つけて
泳ぐことを知るんだ

誰もまだ大海の全貌は知らない
明日をそれを知るのは君かもしれない
だから大きく夢を見て
泳ぎ初めてごらん


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