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キャラメル頬張って
駆け出してった
寒そうな手足
擦り傷に血が滲む

人生はお菓子のように
甘くはないさと
頬の中転がしながら
大人びた口調で
偉そうに笑う


キャラメル頬張って
駆け去っていった
意志を持つ背中
木枯らしに立ち向かう

毎日はお菓子のように
脆くはないよと
舌の上戯れながら
物知りの風情で
賢しげに笑う


キャラメル味の少年
冬の中
駆けてった




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2008.01.31 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
侵されていく

浸されていく

抗いがたい

その誘惑に


締められていく

占められていく

拒みきれない

その束縛に


逃れられない

挑めもしない

逆らいきれない

その吸引に
2008.01.30 Wed l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
キャンドル揺らめく部屋の中
過ぎ去った記憶が立ちのぼる
涙に溺れて眠った夜の
縋り損ねた吐息にも似て

雫が波立つ夢には
優しい香りをあげよう
気持ちがざわめく風には
零れる記憶を流そう

アロマが包み込む部屋の中
戻れない記憶が蘇る
微笑に抱かれて眠った夜の
馴染み損ねた温度にも似て

閉ざして忘れたままの鍵も
今宵は取り出してみよう
確かにそれは幸福だと
知ってることを胸に刻もう
2008.01.29 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
甘ければいい
喉を焼き尽くすほどに
胸を焦がしてしまうほどに

甘ければいい
あの人の言葉よりも
夜の齎す愛撫よりも

甘ければいい
感覚も麻痺するほどに
感傷も忘れるほどに

甘ければいい
味も分からぬくらい
正体も分からぬくらい

そして

その記憶だけ残して

全て消え去ればいい
2008.01.28 Mon l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
ルーレットクレームブリュレは
猫ネコ仔猫

ノワールの毛並み
転がる仕種
丸い瞳のルーレット

焦げたカラメル
甘やかな声
優しい顔のクレームブリュレ

猫ネコ仔猫
じゃれついて
毛玉の振りで
近寄ってくる

猫ネコ仔猫
鳴き声で
遊びとおやつを
ねだってくる

ルーレットとクレームブリュレ
小さな子猫


(2006-12-27)
2008.01.27 Sun l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
やれやれ
良く働いたから
バカンスにでも行こうか
真夏の南の島でのんびり
秘境の温泉旅館でまったり

それとも
貯めてた仕事でも
一つ一つこなしていこうか
使った道具を磨いてみたり
暖炉にくべる薪を割ったり

いやいや
すこし太ってたから
運動なんかしてみようか
煙突するりと抜けれるように
ソリの速度が上がるように

それから
冬が終わる頃には
次の仕事の準備をしよう
夢の卵とか愛の種とか
希望の羽を用意して

それらが
贈った人の心で
いつか育つのを待ちながら
孵って芽吹いて羽ばたいて
こちらも嬉しくなるように

とにかく
良く働いたから
好きなことをしようか
とっておきの酒を飲んだり
仲間とどこかに泊まったり

もちろん
ちゃんと働いたから
君の心にも贈ったさ
それが一体カタチになるかは
サンタの与るところじゃないさ


(2006-12-26)
2008.01.26 Sat l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
これはようこそ
いらっしゃい

お求めの品は
なんでしょう

求めているのは品ではないと
求めているのは居場所だと

周りは幼稚で薄っぺらいと
見てくれだけで中身がないと

全てが醜く見難いのだと
息が苦しく生き苦しいと

なるほど
さようにお言いになるか

もちろん当然ございます

これなる品は舶来の
精巧極めし写真機なれば
写真に留めし画とともに
いかなる時代も留めし一品

十年百年昔であれど
千年万年未来であれど

お望みの場所を探り当て
撮影せしめてみせましょう

ひとたび閃光光ったならば
御身は望みのその場所へ

ただしお一つご注意を

かつて過ごせし場所の記憶は
ともに過ごせし時の記録は

全て何にも残りません

あなたはもとより居たように
その時代へと溶け込みましょう

ゆえに抱きしその想い
それも煙と消えましょう

そこで醜さを感じても
そこで生きるのが辛くても

それは新たなあなたなる
次のあなたが思うこと

ただしどんなに苦痛でも
たとえどんなに不満でも

やがて再びここへ来れるか
それは誰にも知れぬこと

それでも良ければさあどうぞ

2008.01.25 Fri l 黄昏通り l コメント (6) トラックバック (0) l top
そうとも
そんな日もあるさ
それでも
そのまま生きてくさ

そしたら
そのうち良くなるさ
そうとも
そのうち良くなるさ

それでも
そこから進めない
そういう
そぞろな日もあるさ

それなら
それでもいいものさ
そこにも
それなり意味がある

そうだよ
そこには君がいる
そうして
その先明日がある

そうとも
そんな日もあるさ
それでも
そのまま生きていけ


2008.01.24 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
月のベッド
薄雲の天蓋を付けて
蜜色の月のベッド
星屑のシャンデリアが揺れる

柔らかに滑り落ちる
夢をまとって眠りにつこう

甘やかな手触りの中
夜にもぐって瞼を閉じる

月のベッド
緩やかに漂いながら
蜜色の月のベッド
星降りの子守唄に揺れる
2008.01.23 Wed l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
知っていたかい

僕が君を好きなこと

知っていたよね

僕が君を見てたこと

知らない振りをするのなら

いま

君に見せてあげる

僕がどんなに君を好きか


2008.01.22 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
明日なんて見えなくて
生きていることが辛くて
いっそ終わらせてしまおうかと

明日も今日の続きで
生きていくことは苦痛で
いっそ断ち切ってしまおうかと

そう思っては
いけないだろうか


救いなんて見えなくて
孤独に沈むのが怖くて
もはや信じるものなどないと

望みなんて抱けなくて
絶望にまみれるのが不安で
もはや涙も枯れて果てたと

この身を捨てては
いけないだろうか


駄目だと止める者などなくて
やめろと宥める者などなくて

それでも生きては
いけるのだろうか


明日なんて見えないから
もしかしたらなんてこと
いっそ信じてしまおうかと

明日は今日より良くて
生きていくことは歓喜で
そう願ってみようじゃないかと

明日も生きては
いけるのだろうか


生きろと止める者に会うため
笑えと宥める者に会うため

行けるとこまで
生きてみようか

2008.01.21 Mon l 贈花膳 l コメント (3) トラックバック (0) l top
遠い記憶の隙間から
掘り出してきた骨で
オルゴールを創ろう

硬くて脆くて繊細な
音色を溶かして奏でよう

優しく扱わなければ
粉々に砕け散ってしまう
触れるのを躊躇っていれば
風化して風に舞ってしまう
小さなオルゴールを創ろう

月の滴る音に似た
雪の煌めく音に似た
触れたら溶けて壊れるような
花の開いた音に似た
虹の輝く音に似た
触れたら消えて薄れるような
華奢なオルゴールを創ろう

遠い記憶の隙間では
眠れる想いが骨になる
艶めく化石になる頃に
掘り出してきて
オルゴールを創ろう


(2006-12-25)
2008.01.20 Sun l 月々 l コメント (4) トラックバック (0) l top
割れた爪みたいに
空の端に引っかかった月
力任せに取ってしまって
空を半分に切り裂いた

滲んだ血に染まる
西の空の雲が光って
落ちてしまった太陽を
繋ぎとめようとしている

綺麗に塗られていたマニキュア
あなたを掴めないまま
濡れて艶めくグロスの唇
開くのを恐れたまま

裂かれた空から零れた夜が
乾いた瞳を縁取る睫毛に
諦めの溜め息を降り注ぐ


(2006-12-23)
2008.01.19 Sat l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
指先に
零れた光
揺れる息

空から落ちる
純白の愛
2008.01.18 Fri l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
落ちてくるのを待つ

湧いてくるのを待つ

最初の一文

ただそれだけを待つ

零れてくるのを待つ

溢れてくるのを待つ

最初の一文

ただそれのみを待つ

本当にただそれを

浮かび上がるそれだけを

流れに任せて待つ

自然に委ねて待つ

そして生まれる

最初の一文

そこから始まる

一つの作品
2008.01.17 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
見つけて
見つけられて
探して
探されて
世界は大きな舞台
幾つものかくれんぼ

夢も
希望も
愛情も
友情も
いつの日か求め合う
幾つものかくれんぼ

探すのをやめないで
隠れることをやめないで

見つける楽しさを
探し当てられる嬉しさを

ドキドキを感じていこう

この世界は大きな広場
幾つものかくれんぼが
隠れてるんだよ
2008.01.16 Wed l 花膳 l コメント (3) トラックバック (0) l top
真っ赤な木の実
頬張って
甘酸っぱさに
くしゃくしゃになる
君の笑顔が好きだ

真っ赤な夕日に
手を振って
物悲しさに
くしゅくしゅになる
君の心が好きだ

真っ赤な情熱に
身をよじり
骨の髄まで
くにゃくにゃになる
君の手足が好きだ

真っ赤な血潮
通わせて
二人が溶けて
ぐしゃぐしゃになるほど
君の全てが好きだ
2008.01.15 Tue l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
南へ行こう
ここからまっすぐ
雪雲を飛び越えて
荒波を蹴飛ばして
真南に行こう

肌を刺す太陽と
青ざめた海原と
むせ返る花の島

喉が渇けば
べたつくほどに
甘い果実を

眠くなれば
とろけるほどに
甘い夜空を

南へ行こう
うんと遠くへ

濃厚な陽炎と
白すぎる砂浜と
目の覚める色の鳥

刺激が要れば
やけつくほどに
甘いお酒を

人恋しければ
おぼれるほどに
甘い愛撫を

南へ行こう
心だけでも

そして
喉の奥に
甘みを残して

寒い冬の
扉を開けよう


(2006-12-15)
2008.01.14 Mon l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
変わらぬものなど
この世にないとしても
永遠を垣間見た
瞬間ならある

終わらぬものなど
どこにもないとしても
結末の見当たらぬ
瞬間ならある

切り取られ
揺らがない
一瞬を知っている

鮮やかで
色褪せない
一瞬を知っている

不安な夜には
孤独の冬には

暖かい毛布に包まって
変わらないものを抱いて眠る


(2006-12-12)
2008.01.13 Sun l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
ただもう
延々と
延々と
広がる野原がありました

ある日
遠くから
飛ばされた
ひとつの木の葉がありました

これはようこそ
遠くから
草はさわさわと言いました

見てきた世界を
聞かせてね
草はざわざわと言いました

お前達など
及びもつかぬ
大木ばかりの森にいた
木の葉はかさこそと言いました

お前達など
見えないほどの
高い大樹の枝にいた
木の葉はがさごそと言いました

お前達など
本当ならば
見下ろされてる側なのに

私は
本当ならば
見下ろしている側なのに

でも
木の葉はもう
大樹の一部じゃ
ありません

それはもう
ただ一枚の
葉っぱです

嘆くばかりの木の葉は
森を恋しがっているばかり

私達は
ここで芽吹き
ここで枯れる
草はさわさわと言いました

あなた方は
高くそびえ
遠くへも飛ぶ
草はざわざわと言いました

花が咲き
種ができ
飛んで行くものもいるけれど

草はただ
さわさわと
ここで歌い
ここで死ぬ

ときに踏まれ
ときに食われ
短い命でもあるけれど

けれど嘆きはしないのです
野原はそよそよと言いました

どこにあっても
それはこの大地の上

どこであっても
それはあるがままのこと

野原と木の葉は
さわさわと
かさこそと
音を立てながら
空を見ていました

よく晴れた冬の日でした


(2006-12-08)
2008.01.12 Sat l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
あなたのために甘くなりたい

蕩けるほどに優しくなりたい

抱きしめられたらあたたかくなる

くちづけられたらほどけてしまう

そんな私を愛してほしい

あなたのために甘くなりたい

涙の味も少し加えて

ヤキモチだって可愛く焼いて

あなたのために美味しくなりたい

2008.01.11 Fri l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
見返りなんて欲しいわけじゃないけど
レスポンスは欲しいよ
あなたから預かった種
蒔いて咲かせて渡したのに
あなたの顔が見えてこないよ

気に入らなかったならそう言ってよ
無反応は寂しいよ
喜んでもらえたらなと
確かに願って考えたのに
手が掴むものは空虚だけ

感謝の気持ちの無理強いはしないよ
社交辞令でもいいんだよ
批評や批判でも
嘘でもお世辞も受け止めるから
繋がりくらい感じさせてよ

髪の毛よりも細くていいから

泡粒よりも脆くていいから

2008.01.10 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
思いがけないプレゼント

ワクワクするような心持ち

あなたに会えて良かったと

本当に思えるこの気持ち

大好きだと言いたい心


それは掌じゃ足りなくて

それは両手じゃ足りなくて

腕で抱えてもまだ余り

溢れんばかりに満ちている

形にならないプレゼント

言葉にならないプレゼント
2008.01.09 Wed l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
ねえ
そこは楽しいかい
ねえ
それは愉快かい

ひときわ高い所に立って
人を見下すつもりかい

理論武装で躍起になって
図星を避けてるつもりかい

地位の確立必死になって
足元見るのを忘れてる

位置の確率考えなくて
ただただ高さを求めてる

ねえ
それは楽しいかい
ねえ
そこは愉快かい

それなら好きに
なさればいいさ
いっそどこまでも
上がればいいさ

ねえ
一つだけ言っとくよ
ねえ
これだけは言っとくよ

足元を見ずに見下ろす君の
立ってる場所は棚の上

自分を必死に上げた挙句の
君の居場所は棚の上
2008.01.08 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
いいお天気ね
呟いた声に
いいお天気ね
笑い声が応える

春の桜も
夏の陽射しも
秋の夜風も
冬の椿も

いい景色よね
微笑んだ声に
いい景色だわ
しみじみと応える

晴れた空にも
雨の音にも
月の光も
雪の白さも

いい眺めよね
楽しげな声に
いい眺めよね
可笑しげに応える

遠い昔の
小さな時分の
想い出を肴に
お茶を飲んで笑う

いい仲間よね
笑い出す声に
いい仲間よね
笑い声が応える
2008.01.07 Mon l 贈花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
ただの一遍も
ただの一片も
これが
永遠に終わらないなんて
思わなかったことはない

ただの一遍も
ただの一片も
これが
永遠に続くかもなんて
思わなかったことはない

どんな恋も


(2006-12-07)
2008.01.06 Sun l 月々 l コメント (4) トラックバック (0) l top
根の国へ
行く船の過ぐを
見送りて
乗りたる人の
面影を追ふ


その船には
ひとり
ふたり

誰ともつかぬに
ひとり
ふたり

乗り込んでは進む

その船には
あなた
あなた

見送ったのは
わたし
わたし

距離はもう遥か彼方

その船の
行方は
知らず

ただ不意に
前を
通る

まだ乗り込めぬ乗り込まぬ

その船は
遠く
遠く

声だけが
朧に
響く

もう亡い人の声のみが


根の国へ
行く船の過ぎて
櫂の音の
草の陰から
幽かに聞こゆ



(2006-12-07)
2008.01.05 Sat l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
のんびりした気分で

ゆったりした気分で

新しい始まりを

感じてみる

電話も鳴らない

仕事も来ない

時折

挨拶の人が

やってきては

過ぎていく

こんな緩やかな

始まりが

私には

ちょうどいい
2008.01.04 Fri l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
エトナはちょっぴりのんびりで
ソリを引けない役立たず
ルドルフみたいに鼻も光らず
ダッシャーのように速くもない
連れて行ったら夜が明けるし
列が乱れて手間取るし
だからいつでもお留守番

白いお髯のサンタクロース
エトナを撫でてこう言った
お前はお前の長所があるし
何よりとても頑張り屋だが
イブの夜は限られてるし
廻りきるには速さが命
だからゴメンよ留守番だ

エトナは笑って頷いて
仲間の出発見送った
足は遅いし列は乱すが
出来ることなら別にある
たとえば飼い葉を入れておいたり
暖炉の薪を足しておいたり
だから留守番も大事な役目

イブが終わって夜が明けるころ
トナカイエトナは空を見る
疲れ果ててる仲間を迎え
新鮮敷き藁に連れて行く
暖かい部屋に連れて行く
それで留守番は終了だ

白いお髯のサンタクロース
やれやれと椅子に腰掛けて
エトナに振り向き微笑んだ
優しく気の付くお前がいるから
家は安心で暖かだ
まるで最高のプレゼント
本当にどうもあり(がとう
お前は大事な留守番だ

トナカイエトナはそういうわけで
誰にも知られていないけど

トナカイエトナは今年のイブも
サンタの家でお留守番


(2006-12-03)
2008.01.03 Thu l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
あわあわと泡食って
いそいそと忙しく準備
うきうきと浮き足立って
笑顔の彼女は
おずおずとポーズを決める


かさかさとは無縁の若さ
きらきらと煌めく美貌
くすくす笑いで心を隠す
けれんみだらけだが
こそこそと姑息な真似はしない人だった


さらさらと波が浚う
しずしずと静かな月夜
すくすくと伸びた花に足が竦む
せっかく咲いているものを
そよそよそよぐ風が散らした


たんたんと淡白な音を立てた汽車に
ちりちりと散りばめた星が砕けて響く
つやつやに磨かれた聳え立つ山
天辺までのぼっていって
とろとろに煮込まれた月を取ろう


なみなみと注がれたコップの涙を
にやにやと笑う女にやった
ぬらぬらと光る瞳は泣かぬらしい
猫が横切りながら言う
のろのろしてると呪われちまうよ


はらはらと花の散る野原で
ひらひらと肩に落ちたひとひら
ふるふると震えながら囁いてきた
変化を求めるのは悪いことかしら
ほろほろとほろ苦い涙を流しながら握りつぶしてやった


まんまんと水を湛えた湖で満月が酒を呑んでいる
みすみす逃すなんてらしくないミスだなと笑い
むざむざ無残な姿を見せるとはねと嘲る
面倒くさい絡まれ方だったので
もやもやした気分のまま靄の中に逃げた


やわやわとやわらかな胸の中にいる
ゆらゆらとゆらめく彼方に塔が見える
よろよろとよろめいたのは己か塔か


らんらんと輝く瞳をごらんよ
りんりんと歌うあの大輪の花の向こうさ
るんるん気分を気取るんだけど
冷静な顔で見てるだろう
ろうろうと響く唸り声に気付いた途端喰われるだろう


わいわいと賑やかな夢だわい
いつの間にか隣にいた老人が言う
うかれておるのうと誰かが言う
ええとあなた方はと問うと
をやをや知らぬわけがないだろう
いわんや初夢に於いてをや






2008.01.02 Wed l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top