凍えたままで
眠りたいのに
温い風は
この身を腐敗させる
乾ききった夜に
委ねたいのに
降りる露が
この身を崩れ溶かす
腐臭の吐息を洩らし
骨の突き出た掌で
閉じ損ねた瞼の下の
闇に染まった眼窩を隠す
温やかな冬に妨げられた
この身が朽ちて果てるまで
今走り抜けてったヤツを見たかい
そいつは年末って言うのさ
捕まえそこねちゃったりしたら
遣り残したものを持っていかれるぜ
あそこで待ち構えてるヤツが分かるかい
そいつは来年って言うのさ
気をつけて見張ってないと
語った抱負を踏みにじられるぜ
アンタの背後にいるヤツを知ってるかい
そいつはアンタ自身の影さ
光の位置を把握してないと
前後が入れ替わっちまうぜ
あなたが眠る夢の中に
わたしはいますか
あなたが見てる夢の中に
わたしはいますか
泥濘に眠る蕾のように
どこかにわたしはいますか
浮かび上がる泡沫に似て
時折感じてくれますか
あなたが眠る夢の中に
わたしはいますか
花を開きますか
甘いお菓子のような
優しい羽毛のような
夢を見よう
今宵くらいは
あなたが幸せであるように
あなたが笑ってられるように
あたたかな光をあげたい
やわらかな温もりをあげたい
寒さに震えて眠らぬように
孤独に怯えて嘆かぬように
世界に響く鈴の音が
あなたに愛を届けるように
ひそやかな祈りを捧げる
メリークリスマス
良い夜があなたのもとに
訪れるように
開けてはいけない箱なのだ
けっして見てはならぬのだ
手に取りたくなる箱だけど
開けてはいけない箱なのだ
けれども囁く箱なのだ
天使の声音で誘うのだ
開けてはいけない箱なのだ
警鐘が響き訴える
敵は自分の胸の中
アけてはいけない箱なのだ
ケっして見てはならぬのだ
ロくでもないことが起きるのだ
開けては・・・
いるとか
いないとか
そんなのは
問題じゃない
信じるか
信じないか
ただ
それだけだ
誰かの言葉や
誰かの記録や
そんなのは
関係ない
信じるか
信じないか
ただ
自分で決めるだけだ
泣かないで
ボクはもう
ボクじゃないんだ
ボクラはもう
ボクラじゃないんだ
ある朝
ボクの中で
目覚めたボクは
ボクなのにもう
ボクじゃないカラダで
泣きたくて
高笑い
ボクはコワレタ
ボクラはもう
ボクラじゃなかった
君はきっと信じないし
誰も君に教えない
ボクラはもはや
ボクラじゃないんだ
泣かないで
意見拝見 大変危険
威厳激減 赤面機嫌
視線不自然 回転視点
苦戦作戦 悪戦無限
君の意見を拝見しようか
分かってるとも危険な賭けさ
威厳がなくとも気にしはしない
赤くならずに機嫌を直せよ
視線泳がす不自然な君
定まらないままぐるぐる廻す
この作戦は大変苦難
悪戦苦闘の無限のループ
派生反省 賛成個性
反省の気持ちが芽生えたら
僕らの個性はうまく行く
流れ星を見に行こう
願い事なんて関係ないさ
流れ星を捕らえに行こう
星屑集めてランプにしよう
流れ星を観に行こう
外は寒いから気をつけて
流れ星を捉えに行こう
毛布と熱いカップを持って
その一瞬の
そのために
流れ星を見に行こう
蒼い夜空を観に行こう
北風の中
きゃわきゃわと
はじけるような
子ども達の群れ
その横を
首を竦めながら
自転車で駆け抜ける
あの熱量が
いつの間にか
冷めてしまった
かじかむ指先で
ハンドルを切る
欠けちゃった爪の先みたいに
さかむけちゃった指先みたいに
かさぶたこすった傷口みたいに
笑うと切れちゃう唇みたいに
ちょっぴり
ほんのちょっぴり
ささくれている
心の片隅
怒った顔も
拗ねた顔も
泣きべそ顔も
困った顔も
愛しているよ
全部好きだよ
笑った顔も
眠った顔も
うっとり顔も
引き気味顔も
愛しているよ
全部好きだよ
だからお願い
ガマンしないで
どんな顔でも
見せてごらんよ
落ちきらないメイクみたいに
気付いたら奥底にまで
入り込んでる
私の人生を飾り立てて
去っていったあなたは
まるでそんなメイクみたい
綺麗に拭い去ったつもりでも
染み込んでしまって
汚れのように溜まっていく
だから私は今日も
強力なクレンジングを探して
顔を洗ってみるの
あなたに花をあげましょう
白い白い雪の花
あなたに花をあげましょう
冷たい冷たい雪の花
微笑を含んだ唇の
零れる吐息を降り注ぎ
艶美を潤ます双眸の
滴る涙を含ませて
あなたに花をあげましょう
白い白い雪の花
あなたに花を降らせましょう
綺麗な綺麗な雪の花
彷徨い歩ける足取りの
蹌踉めく視界を晦ませて
戸惑い斃れるその四肢の
通える血潮を凍らせて
あなたに花を降らせましょう
白い白い雪の花
あなたの花を手折りましょう
綺麗な綺麗な雪の中
指先の切り傷
滲んだ赤に
吐息を零して雪が滲む
真夜中の街路樹
凍った土に
月影を隠して闇が溶ける
公園の噴水
乾いた水面
君の眼を洗って絶望が淀む
十二月の凩
倒れた君の
真白さを晒して骨に沁みる