どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

記憶の片隅で

忘れないで

ここにいたこと

失くさないで

ここにいたもの

今はもう

見えなくても

忘れないで

ここにいたこと

覚えていて

ここにいたもの

あの時世界は

不思議に満ちていたこと

星々ノ向コウヘ

打ち上げ花火に掴まって
月まで飛んでいこう
銀河を渡る船がほら
ぼくらを待って泊まってる

赤い赤い火星に行こうか
それとも不安な冥王星へ
いっそアンドロメダまでも

発着場から船出して
星まで漕いでいこう
星々を繋ぐ汽車がほら
ぼくらを待って停まってる

遠い遠い果てまで行こうか
それとも不思議なホールの中へ
いっそ時空を超えてまで

汽笛を鳴らして汽車が出る
どこまで乗っていこう
星系を跨ぐ夢がほら
ぼくらを待って止まってる

長い長い旅に出ようか
それとも青い故郷の星へ
いっそ気のまま足のまま

名も無い星まで行ってみようか
太陽忘れて行ってみようか

ぼくらを待って留まってる
夢の果てさえ超えてみようか


(2006-08-31)

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小さな心がけ

ありがとうと

言える人でありたい


エレベータで待っててくれる人

次の人のために扉を支えててくれる人

路地から出てくる車に道を譲ってくれる人

落としたものを一緒に拾ってくれる人

レジでお先にどうぞと言ってくれる人


小さな心がけ一つで

世界は円滑になるから


ありがとうと

言える人でありたい


ありがとうと

言われる人でありたい


(2006-08-30)

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明るい小鳥

朝露に濡れた私の庭で
小鳥が鳴くよ
赤く色づく果実の枝で
小鳥が鳴くよ

朝日が照らした私の庭で
小鳥が鳴くよ
赤く色づく小さな胸に
小鳥が鳴くよ

甘い雫で
喉を潤し
明るい光で
羽をあたため

歌を唄おうと
小鳥が鳴くよ

おいでおいでと
小鳥が鳴くよ

暗い小鳥

朝露が濡らす私の庭で
小鳥が啼くよ
赤くはじけた果実の枝で
小鳥が啼くよ

朝日が晒した私の庭で
小鳥が啼くよ
赤くはじけた小さな胸に
小鳥が啼くよ

滴る雫で
喉を潤し
光で血塗れた
羽をあたため

血潮に濡れた私の庭で
小鳥が啼くよ
赤く色づく血肉と骨で
小鳥が啼くよ

諱を謳おうと
小鳥が啼くよ

おいでおいでと
小鳥が啼くよ

おいでおいでと

小鳥が泣くよ

変身願望

誰になりたい

何になりたい

大金持ちか

宇宙飛行士か

彼のあの子か

秋の夜風か

路傍の花か

鳴かぬ蛍か

誰になりたい

何になりたい

美貌の人か

本の主役か

親しい友か

綺麗な石か

眠れる獅子か

庭の小鳥か

誰になりたい

何になりたい

あなたになりたい

あなたはいないか

私になりたい

私はいないか

自分ありき

アタシが好きなのは
キミの事よりも
アタシのこと

アタシが大事なのは
アナタの事よりも
アタシのこと

だってそうでしょ

自分なんてどうでもいいなんて

そんな人に好かれたい?


自信がなくても
自身が好きで

だから誰かを
好きになれるの


アタシが好きなのは
キミのことを好きな
アタシのこと

アタシが大事なのは
アナタを守りたい
アタシのこと

対処法

目を閉じて考える
口を開く前に
息を吸って考える
眉を上げる前に

怒れる時には
少し
待ってみる

目を閉じて考える
言葉にする前に
息を吸って考える
睨みつける前に

怒れる時こそ
少し
待ってみる

蒼い月夜に

あまりに蒼い月夜だったので
そぞろ歩きをしてみた
目的もなく
ふらりふらりと
影と連れ立ち
ゆらりゆらりと

あまりに沁みる月夜だったので
眠る夜道を歩いた
足に任せて
ふらりふらりと
影につられて
ゆらりゆらりと

あまりに胸に沁みる月夜で
不意に涙がこみ上げた
それでも道は
ふらりふらりと
影が手招き
ゆらりゆらりと

あまりに切ない夜の散歩に
不意に影が囁いた
落ちる涙が
ふわりふわりと
月に向かって
ゆらりゆらりと

あまりに蒼い月夜だったので
蒼い涙が浮かんで消えた
月に誘われ
ふわりふわりと
夢に連れられ
ゆらりゆらりと

中秋の名月の夜に

月見団子が光る
薄が呼ぶように揺れる
秋の虫が奏でる
風の歌の調べ

盃に映った叢雲を
酒ごと飲み干してしまう
肌に触れる夜気が
僅かに変わる夜半

冴え渡る光が
音もなく辺りを照らす
美酒を満たす杯が
客人を待ち受ける

白々と零れる
団子を一つ空へ投げて
身代わりとしながら
甘露を飲み干す月

さよなら月船

君を乗せた船が
月の光に照らされて
ボクの頭上を越えていく
少しいびつな丸い月が
ボクらが見る
最後の同じ月

十五夜の晩に行くの
月の光に良く似た
君の静かな微笑みに
少しゆがんだ口元で応えた
ボクの顔は
笑っていたかな

君はウサギのように
軽やかに跳躍して
ボクの頭上を越えていく
ボクは隠したウサギの瞳で
船を見上げる
同じ月の下で

今朝に見た夢

ここには
たくさんの人が倒れている
もう生きてはいないだろう
外は雨が降っている
濡れながら家路を急ぐ
時折崩れた人影を見る以外
誰に会うこともない
それでも構わず
家路を急ぐ

辿り着いた家では
裏の家へと壁をよじ登る
バイクに乗った男が見える
非常識だと憤慨すれば
裏の家から老人が一人
非礼を詫びるかと
待っていたらば
バイクの男を詰りつける
この花を踏んだらなんとする

言うや否やに花を引き抜き
大事に抱えて持ち帰ろうと
まるでこちらは眼中にない
思わず呼び止め叱咤する
待て待てそれは我が家の花で
そもそもここは我が家の敷地
弟子も弟子なら
師匠も師匠だ
一体全体なんとする

叱り付けても涼しい顔なので
いっそそれなら実力行使
腕をねじ上げ動きを封じた
途端にそいつの腕が外れた

ああそうなのか
そうであったか

世界はどうやら
花泥棒だらけだ


てづくりのホンモノ

ビーズで作った花びらは

甘い香りはしないけど

ビーズで作った水滴は

零れて落ちたりしないけど

私の腕できらきらと

やさしい光を抱くでしょう

私の胸でさらさらと

やさしい歌を歌うでしょう


タオルで作った仔ウサギは

可愛く跳ねたりしないけど

タオルで作った白鳥は

空を飛んだりしないけど

私の腕にふかふかと

やさしい愛を見せるでしょう

私の頬にするすると

やさしい手触りをくれるでしょう


鉛筆で塗った海岸は

波が寄せたりしないけど

鉛筆で塗った青空は

雲が流れはしないけど

私の前でひらひらと

やさしい風にそよぐでしょう

私の指でくるくると

やさしい夢を見るでしょう


ビーズで作った花束は

けして香りはしないけど

タオルで作った動物は

けして鳴いたりしないけど

鉛筆で塗った草原は

けしてそよぎはしないけど


私の中でゆるゆると

やさしいホントになるでしょう


(2006-08-28)

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芸術の

違う世界に入り込む

心半分こちらにいても

違う世界に紛れ込む

身体全てをここに置いても

だから私は

映画を観るし

だから私は

本を読む

違う世界に迷い込む

ときに時間を忘れ去っても

違う世界を創り出す

ときに続きに悩み込んでも

だから私は

話を書くし

だから私は

夢を見る

夢 −2行目の言葉−

ゆめを見た

誰もいない

なにもかも

なかった夢


寒い風だけが

あたりを撫で

ただ風だけが

吹いて行った


動じぬ世界には

私などいなくて

どこかへ消えた

あとさえ残さず


たばねられた心は

かがやきを喪って

こわいほど閑かな

満たされぬ夢の音


たしかなものは無く

風の声が掻き消して

聞こえるものも無く

例えば目覚めも遠い


ただ閑かな静かな夢だ



15:閑夢


(2006-08-25)

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エロティックモスキート

キスをしたい
噛んで
舐めて
吸い上げて
赤く色づくほどに
キスをしたい

囁きたい
耳元で
啼くように
囁いて
身震いを
感じたい

突き入れたい
全てを
味わって
苦しげに
身悶える
姿を見たい

甘い香りで
惑わせて
汗ばむ肌で
誘い込むから
キスがしたい

WILL BE

9歳の夏
あたしはウィルビーと一緒だった
白くて清潔な仔熊

お日様に会いに行くときも
月夜の夢路に行くときも
一緒だった

抱き上げてしまえるほど軽くて
抱きしめてしまえるほど小さい
なのに
抱きとめるかのように頼れるウィルビー

よく晴れた青空に目を細めると
睫毛に溜まった光の粒が見えることや
いきなりの夕立が訪れると
溶けた道路の上に白い雲が出来ることを

よく冷えた麦茶の入ったグラス
浮かび上がる水滴にいくつもの話があること
いきおいよく回る扇風機の羽根に
話し掛ける秘密の呪文があることを

あたしの膝の上で
あたしの腕の中で
教えてくれた

ふわふわの毛並みの
青い瞳のウィルビー

10歳の夏には
ウィルビーはいなかったけど
あたしは冷凍庫の白熊を食べながら
あの仔熊を思い出して探した

今でも覚えている

9歳の夏
あたしはウィルビーと一緒だった


14:九夏


(2006-08-24)

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酔いと寒さの夢十夜

友人と酒を酌み交わしている
寒い寒いと言うので
もっと飲めよと勧めてやったが
もう寝るよと言って
墓石の下に戻っていった


雨が降ってきたので
傘を差して出かけた
思ったよりも肌寒いと思っていると
あなたそれはヒガサよ
通りすがりの人に言われた
氷傘を握っていた手から
ゆっくりと凍えていたのだった


女と二人
布団の中に潜っている
お前の肌は冷たいんだなと言うと
あなたが熱いのだと言ったきり
水になって溶けてしまった
抜けるような白い肌の女だった


月の白く冴える夜に
今夜は冷えると呟くと
そんなナリだからだよと笑われた
全身がブリキで出来たロボットだった
寒いはずだと呟くと
そんなナリなのにかと笑われた
温度など関係のないロボットだった
途端に平気になってしまった


月が呼ぶので会いに行くことにした
酒と肴を用意して
屋根の上で迎えを待った
いつまでたっても来ないので
仕方なく一人で飲みながら待った
朝日が呆れたように昇って
ヤツならとっくに酔いつぶれたと告げる
すっかり風邪を引いてしまった


冷えたので風呂に入ることにした
湯船の中は水の温度だ
沸かしますから待っててください
女に言われて追い出される
濡れた身体が外気で冷えたので
思い切って浴槽に飛び込んだ
元と同じ温度なのに温かい気がする
ああこれは女の愛情の温度なのだ
死んでも馴染んでしまおうと沈み込んだ
いつの間にか隣で女が微笑んでいる


ほろ酔い気分で帰っていたところ
闇が喉笛に喰らいついてきた
酔いとともに流れ出るぬくもりが
夜気を少し温かくしていた
代わりに自分が冷えていく


道を歩いていると突然
思いがけない底なし穴に落ちた
腹の底がきゅうっと冷えたが
一向に落下が終わる気配がない
あちらに着いたら強い酒を呑んで
少しでも温まろうと思った
まだ落ちていく


地下のバーで酒を呑んでいる
空調が効きすぎているので
マスターに文句を言った
仕方ありませんよ猛暑ですから
涼しい顔で言っておかわりのグラスを寄越す
彼岸というのに腐ってしまう
そういうことなら仕方がない
曼珠沙華のランプの中で
遠来の客たちは静かに酒を呑んでいる


友人と酒を酌み交わしている
ちっとも酔わないなぁと言うので
もっと飲めよと勧めてやったが
もう帰るよと哀しげに言った
そうか俺はもう死んでいたのだったかと
墓石の下から思った

七色梯子

目の前で緩やかに

伸びていく七色の梯子

雨の気配もないのに

光る空に繋がる

街を駆け回って遊んだ

天使たちの帰り道

伸びていく七色の梯子

金色に光る空に

星を散りばめるため

夜になったら

ナイショの話をしてあげる
だから今宵
こっそりと出ておいで

ナイショの話をしてあげる
だから月にも
星にも隠れて出ておいで

人差し指を口に当てたら
それが合図
夜に紛れて出ておいで

ナイショの話をしてあげる

だからこっそり

出ておいで

お月さん見て跳ねる

青い場所
君のいる
青い場所

光る星
君のいる
光る星

手を振って
飛び跳ねる
僕の影

君の夜に
届けるよ
蒼い夜に

青い星
君のいる
青い星

千夜一秒できるまで

ひとぉつ
ふたぁつ
数えて幾つ

眠りの森は
まだ遠い

みぃっつ
よぉっつ
数えて幾つ

語れる夜は
まだ足らぬ

いつぅつ
むぅっつ
数えて幾つ

零れる夢は
まだ満ちぬ

ななぁつ
やぁっつ
数えて幾つ

両の手指は
まだ折れぬ

ここのつ
見つめて
数えて幾つ

微笑む朝は
まだ明けぬ

とおの夜には
数えて幾つ

千の砂には
まだ秘密

こんな日には

こんなに空の高い日は
こんなに空の蒼い日は

きみの背中に翼が見える

きっとこのまま飛んでいく


こんなに風のそよぐ日は
こんなに木々の揺れる日は

きみの踵に羽が見える

きっとこのまま翔けていく


こんなに星の光る夜は
こんなに月の凪いだ夜は

きみの瞳に虹が見える

きっとこのまま消えていく


こんなに綺麗に見える日は
こんなに素敵な夜ならば

きみの姿が夢に見える

きっとこの手をすりぬける

花落ちて実果てて

もはや花は
開き果てて
枯れた

誇る色香は
褪せて果てて
朽ちた

もはや果実は
熟れ果てて
落ちた

匂う果肉は
腐れ果てて
饐えた

もはや誰も
見るものは
いない

もはや誰も
愛でるものは
いない

もはや季節は
盛りの頃を
終えた

だから誰も
見向くものは
いない

そして季節は
静かに流れ
過ぎて

そして密かに
眠れる種が
芽吹く

朗々新月闇雫

やあ
ようこそ
いらっしゃい

此度は何を
お求めで

ははあ
なるほど
これは奇異なる
老いる薬をお求めか

年のころなら
十九か二十歳
明るい未来があるものを

一足飛びに
七、八十と
奇異と言わずになんとしょう

若気の至りとは
言いませぬ

若さの過ちとは
申しませぬ

恋は異なもの縁なもの
古今東西恋などは
過つものであるならば
口出しなどは無粋です

もちろん当然
ございます
当店なれば
ないものはない

ここにこれなる
切子の壜は
新月の露を
集めたる

蒼く揺らめく
闇の雫は
陰り落ちたる
極みなり

一口飲めば
ひとまわり
二口飲めば
ふたまわり
十年ぐるりと
老いましょう

ただしお一つ
ご注意を

これなる薬は
新月の
見えぬ光の雫なり

闇の光に引きずられ
ともすれば
月が待ち受ける

三日月色の鎌を持つ
笑みが背後で待ち受ける

それに負けぬと仰せなら
これをばどうぞ
お持ちあれ

遠くで聴こえる

遠くで聴こえるあの鈴の音は
あれは風鈴ではありません
あれは鈴虫の鳴く声です

あの子の軒先に吊るしていた
思い出の風鈴はもう
とうに仕舞われてしまいました

あの子の庭でなくのはあれは
秋の虫たちなのです
あの子の泣き声ではありません

確かめに行こうなどと
考えてはなりませんのです
きっと虫が鳴き止んでしまいます

遠くで聴こえるあの鈴の音は

あれは

終わっちゃう前に

夏が終わっちゃう
海に行かないうちに
肌も焼かないうちに

恋さえもしないまま

このままじゃ
まるで冷蔵庫の中
忘れられたアイスみたいに
スプーン投げ出しちゃうほど
かたくなになってっちゃう

賞味期限はないけれど

美味しく食べるなら
攻撃的な太陽の下で

ああ
夏が終わっちゃう

恋さえもしないまま

このままじゃ
まるでクロゼットの中
隠れたままのワンピースみたい
目を瞠るほど可愛くても
肌寒くなってっちゃう

大事に仕舞っているけれど

可愛く着こなすなら
魅力的な太陽の下で


真夏日が続くうちに
誰かあたしを蕩かして

誰かあたしを連れ去って


(2006-08-24)

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君を見た

君を見た

こんなところに

いるはずもないのに

君を見た

雑踏の中

笑顔を浮かべた

君を見た


記憶の隅で眠ってた

遠い昔の君なのに


一目見て

君と分かった

こんなところに

いるはずもないのに


近付けば

声が違う

近付けば

細部が違う

もしかしたら

そうかもしれない


だけど

君を見た

星座の上で眠る

夜空を滑る流星を拾つて

闇の中に線を引かう

パチパチとスパアクする

欠片たちを集めて

道路の上に白墨のやうに

様々の線を引かう

しんとした夜気の温度で

道路が冷えていくだらう

流星のスパアクが

線香花火のやうに

光つているその下で

死人の温度になるだらう

さうしたら私は

線の上に寝そべつて

空に浮かぶ点を見つめ

世界の反転を見届けやう

私の下に描かれてゐるのは

此れは星図に成り損ねた

流星の描く星座なのだ


08:星点(星ハ点ズ)


(2006-08-18)

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光る白い別れを

光る白い貝殻で

光る白い砂浜を掘った

光る白い波が押し寄せ

光る白い想いを埋めた

光る白い夜だった


光る白い月日が流れ

光る白い夜明けが来たら

光る白いあなたはいつか

光る白い電車に乗って

光る白い海辺を目指す


光る白い浜辺に立って

光る白い涙を流す

光る白い雫が落ちて

光る白い砂子を濡らす

光る白い波のよに


光る白い砂粒の中

光る白い芽を出して

光る白い花が咲いたら

光る白い指先で

光る白い想いを摘んだ


光る白い鱗を持った

光る白い小魚が

光る白い歯で語る

光る白い夢想を聞いて

光る白い夜に寝る


(2006-08-18)

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空の片隅

空高く
飛行機雲が
光ゆく

雲の城
駆け上がる騎士の
背のように

嵐来る
隙間の青を
目指し行く

空高く
飛行機雲の
白い道

別離の風雨

雨粒が窓を叩く
泣き顔を歪み隠す
だから君に手を振る
僕は泣いてなんかいない

雨粒が窓を伝う
悲しみを覆い隠す
だから君に微笑む
僕の心配はしないで

強風が窓を鳴らす
嗚咽を紛れ隠す
だから君に呟く
僕の声は届かない

強風が窓を揺らす
動揺をうまく隠す
だから君に恋した
僕は上手に別れる

物語はそこに

雨粒の一つ一つに
世界があればいいのに
この掌に受けた雫が
映し出したらいいのに

雲の一つ一つに
世界が見えればいいのに
差し込む光の筋に
透かし見えたらいいのに

風の一つ一つが
世界を歌えばいいのに
耳元を過ぎるたびに
囁いてくれたらいいのに

それとも世界は

そんな一つ一つに
あるんだろうか

細胞一つ一つが
世界を感じたらいいのに
生まれていく物語を
抱きしめられたらいいのに

きっと世界は

そんな一つ一つにも
あるんだろう

恋に落ちる

落ちていくの
どこまでも
自力では這い上がれない
誰の手も届かない
そんなところまで
落ちていくの

落ちていたの
いつのまにか
自分でも気付かないまま
あなたの声も届かない
深いところまで
落ちていくの

それが恋

堕ちていくの
一人きりで
落下の不安を抱えたまま
自分でも止められず
世界が反転するまで
堕ちていくの

甘い恋

恋をしましょう
1,2の3で
あなたと私
恋をしましょう

言葉は要らない
視線も要らない
ただこの指を
絡めてみましょう

恋をしましょう
風に押されて
あなたと私
落ちてみましょう

好き嫌いとか
夢の続きは
問わず語りに
知るならいいわ

良いところも
悪いところも
やがてそのうち
分かればいいわ

恋をしましょう
1,2の3で
まずはともかく
恋をしましょう


きらきらの

めいっぱいオシャレしても
どれだけ磨き上げても
それだけじゃダメなんだ
誰かの欲望を満たすだけ

国宝級の花瓶のように
隠された絵画のように
飾られるだけなんだ
歪められた意味のまま

ちやほやともてはやされて
いいように転がされて
そんなんじゃダメなんだ
気付かなくちゃダメなんだ

めいっぱいオシャレして
中身まで磨き上げて
そこまでして初めて
誰かに印象を残すんだ

dawn chorus

針を落とした音よりも
花の散りゆく声よりも
かそけき歌

朝の遠い遠い
蒼い空気の中で
届いた歌

眠れる人の耳元に
小さな種を
蒔くように

目覚めた人の耳元に
優しい風が
吹くように


誰かの涙の音よりも
誰かの吐息の声よりも
微かな歌

夜を越えて越えて
蒼い世界の中で
届いた歌

眠れる人の耳元に
笑顔の花が
咲くように

目覚めた人の耳元に
優しい笑みが
降るように


どこかから
届く優しい歌が

あなたに朝を連れてくる


Family

私たちは家族だった
血の繋がりも
名前の類似も
例えば
なかったとしても

私たちは家族だった
趣味の違いや
意見の相違が
些細な
喧嘩になったって

ふとした仕種や
おんなじ口癖
例えば
遠くに離れても

私たちは家族だ

有給休暇

ゆっくり眠って
ゆっくり起きて
お腹が空いたら
ご飯を食べて

本を読んだり
ビデオを観たり
眠くなったら
また寝たりして

そんな休日
そんな一日

それが
明日への
力になるの

逢引夜に

鈴の音が鳴ったら
迎えの合図
月夜の窓辺を
開けておくから
どうぞ私を
攫いにいらして

星が降るなら
眠りの道行き
夢に彷徨い
迷っているなら
花の匂いの
吐息で誘うわ

鈴の音を鳴らして
迎えにきてね
闇夜のテラスで
歌っているから
この手を掴んで
連れていらして

宝探し -タ行-

大切に描かれた
宝の地図を託すよ
たとえあなたが
辿り着けなくても

緻密さは要らない
力いっぱいに
近づいていけばいい
沈黙よりもはやく

ついに辿り着いて
掴んだものがたとえ
つまらないものだとしても
次へと続く道はあるから

手を高く掲げ
手がかりを探そう
点滅する光の中に
適当な答えがある

遠くまで遠くまで
届かぬほど遠くまで行こう
ときどき躓いても
停まることを選ばず

宝探しに行こう
地図に隠された場所へ
罪作りなほどの
天然色のこの世界が
とても素敵だと知るまで


(2006-08-09)

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そこに何があるのか

誰のために戦う
何のために争う

泣き叫ぶ母を
立ちすくむ子らを
血に染めてまで

正義を標榜する者は
銃把を持ちはしない

正論を主張する者は
銃口に晒されはしない


誰のために戦う
何のために争う

住んでいた家を
実りゆく畑を
地に埋めてまで

攻撃を希求する者は
守られた場所で叫ぶ

勝利を要請する者は
自らの手を汚さない


誰のために戦う
何のために争う

殺し殺される者は
憎しみと哀しみだけを残して


誰のために戦う
何のために争う

声高に叫ぶ者は
正当性だけを主張する


誰のための
何のための

あなたたちの生命なのか



(2006-08-07)

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偏愛

アタシはさあ
ただアンタを
好きなだけだよ

愛してくれとか
言った事はないよ
言うつもりもないよ

アタシはさあ
ただアンタが
見たいだけだよ

どんな理由だって
笑った顔を
見ていたいだけだよ

アタシはさあ
ただアンタが
愛しいだけだよ

ほんとうにただ
ただそれだけの
カンタンな話さ

行ってらっしゃい

どこまでも行くよ
この足が動く限り
どこまでも行くよ
この腕で這ってでも

キミと約束したよ
この手で掴み取ると
キミは背中押したよ
どこまでも行ってこいと

朝が来るたび思う
君がどこにいるのか
夜が来るたび願う
君が無事でいるのか

だから行ってこいと
キミは背中押したよ
時に疲れ果てたら
休みに帰っておいでと

だから僕は行くよ
この足の進む限り
だから僕は行くよ
この指の目指す先へ

会話

ちょっとした繰言や
上手く言えない戯言は
とりあえず言ってご覧

ここだけの付き合いだから
顔さえも知らないんだから
とりあえず聞いてみるよ

そういう

べたつかない関係だから
あと腐れない関係だから
そういうの話せるんだよ

楽園の岸

楽園へと渡る舟は
朽ちてしまって
だから
二人は乗っていかれない

紅く染まった夕焼けの下
二人は抱き合って
静かに
月が昇るのを待っている

蒼い蒼い夜を滴らせ
月が二人を照らす
そして
昏く染め上げていく

波打ち際の舟は
朽ちてしまって
けれど
二人の魂を乗せて離れる

夜に濡れた首を抱いて
愛に濡れた心を抱いて
そして
舟に身を任せている

彼方の岸へと
朽ちた船が進む
そこに
楽園の塔が見える

墓標のような塔を目指す




怪木

その木の根元さ
そこに埋めたよ
探すかどうかは
アンタに任すよ

ずいぶん昔さ
そこに埋めたの
根っこ絡んで
きっと見えない

何を埋めたか
言うきはないよ
教えなくても
その木が知ってる

ずいぶん昔さ
そこに埋めたの
だから