誰かの言う
百万回の好きよりも
誰かの言う
百万ドルの誘いより
誰かの言う
百万年の愛よりも
君の言う
たった一つの言葉がいい
君の言う
たった少しの愛がいい
テレビの向こうの憧れが
突然ここに現れて
好きだと言ったら悩むけど
お姫様は今日も
塔の上から下界を見てる
硝子の塔は眩くて
遠い山まで
きらきら光る
硝子の塔は眩しくて
暗い夜にも
きらきら光る
お姫様は今日も
塔の上から世界を見てる
道行く人に手を振って
塔の上から
花びら降らす
働く人にも手を振って
塔の上から
微笑み降らす
お姫様は今日も
塔の上から下界を見てる
暑さ寒さに縁のない
素敵な部屋で
下界を見てる
飢えも渇きも縁のない
優雅な部屋で
下界を見てる
お姫様はある日
塔から落ちて世界に着いた
硝子の塔は眩くて
街行く人の
視界を射てる
硝子の塔は眩しくて
塔の窓など
光で見えぬ
お姫様は今日は
塔の下から世界が見えた
硝子の塔に近寄って
魔法でそれを
氷に変えた
硝子の塔に近寄って
溶けた氷で
街を潤す
お姫様は今日は
塔の見えない世界に暮らす
暑さ寒さに身を任せ
みんなと同じ
世界に暮らす
飢えや渇きも助け合い
みんなと同じ
世界で生きる
お姫様はそして
今日も楽しく世界で暮らす
音が届く
空気を震わせて
音が届く
身体を震わせて
骨に響く
夏の夜のパッション
胸に響く
熱のよなセッション
音が届く
空気を震わせて
歌が届く
心を震わせて
もうだめだ
溶けていくよ
考え事も
大事なことも
化粧も
気力も
意識も
体力も
肌も
脳みそも
ぜんぶ
ぜんぶ
溶けていくよ
あとはそう
アリがたかるだけ
冷たい名残を
ありがたがるだけ
あなたはまるで
練乳のかかった
氷イチゴみたいでした
優しくて
甘くて
だけどいつまでも
喉の奥に絡みつく
可愛くて
赤くて
だけどいつまでも
舌の上にまといつく
あなたはまるで
練乳のかかった
氷イチゴみたいでした
特別で
嬉しい
だけどいつまでも
喉の渇きを癒せない
冷たくて
綺麗で
だけどいつまでも
指の先まで粘ついた
わたしはきっと
何も飾らない
ただの氷が欲しかった
たとえば
きみがいなくても
世界は今日も廻るだろう
たとえば
きみがいなくても
誰かが今日も笑うだろう
たとえば
きみがいなくても
綺麗な花が咲くだろう
たとえば
きみがいなくても
小鳥は空を飛ぶだろう
たとえば
きみがいなくても
どこかで愛が生まれてく
たとえば
きみがいなくても
どこかで夢が叶ってく
たとえば
きみがいなければ
それでも世界は廻っても
たとえば
きみがいなければ
隣の誰かが泣くだろう
たとえば
きみがいなければ
綴った話も終わるだろう
たとえば
きみがいなければ
育てた草木も枯れるだろう
たとえば
きみがいなければ
届かぬ愛があるだろう
たとえば
きみがいなければ
途絶えた夢もあるだろう
たとえば
きみが
流れ落ちるもの
確かに不要であるもの
しとどに濡らすもの
確かに不用であるもの
疲労を齎して
眠りを誘うもの
力を削ぎ取って
眠りをも奪うもの
流れ落ちるもの
そこに命の根源を見る
しとどに濡らすもの
そこに命の奔流を見る
この街のどこかに
もう一人のアタシがいる
素知らぬ顔をして
彼女は横をすり抜ける
この街のどこかで
もう一人のアタシが暮らす
なんでもない顔をして
アタシと違う生き方をしてる
あの子どもを抱いたオンナが
アタシかもしれない
あのパンを焼いてるオンナが
アタシかもしれない
それとも
あそこで偉そうな身分の
オンナがアタシかも
この街のどこかで
もう一人のアタシが生きる
気付かぬ顔をして
アタシはこの街で生きる
南国の果実
太陽を抱いて
南風を包んで
ねっとりと甘い
南国の果実
驟雨を飲み込み
熱風を食らって
溢れ出した蜜
南国の果実
喉を潤す
走れ
跳べ
行け
力の限り
目指せ
越えろ
飛べ
登れ
ただひたすらに
目指せ
何が待つのか
何処に行くのか
他の誰が嘲っても
他の誰が哄っても
動け
進め
翔けろ
望む場所を
目指せ
分からないけど分かった
そうとしか言えなかった
複雑に絡み合った
切れやすい糸のように
危ない橋を渡るより
そっとしておけばいい
真実を見極めるよりも
そこにあるのだと知るだけで
上手く言えないけど分かった
もう言葉は尽くさなかった
螺旋階段下りるみたいに
眩暈を起こして止まるより
一直線に飛び降りて
届けることが出来ればいい
価値や基準に悩むよりも
そうであることを言うだけで
分からないけど分かった
そうとしか言わなかった
この手は残酷だろう
血塗られたものを抱き
抱いたものを引き裂く
この足は残酷だろう
弱ったものを踏みつけ
踏みつけたものを躙る
この口は残酷だろう
牙より強い言葉で噛み付き
噛み付いたものを打ち砕く
この眼は残酷だろう
怯えるものを睨みつけ
睨んだ挙句に凍て尽くす
この身は残酷だろう
己こそが可愛くて
エゴのために息をする
この心は残酷だろう
真偽の一つも分からずに
己までもを傷つける
この己は残酷だろう
血塗られているのは
己自身
あわただしい一日
東奔西走して
右往左往して
二進も三進も行かなくて
それでも
あわただしい一日
あれもして
これもして
それもあって
これもあって
めまぐるしい一日
狂騒乱舞して
多事多端で
疲労困憊の
それでも
めまぐるしい一日
あれもまだ
これもまだ
それはやった
これもやった
細胞フル稼働
脳味噌フル回転
それでもまだまだ
間に合わない
体力消耗中
気力も磨耗中
それでもまだまだ
片付かない
あわただしい一日
めまぐるしい一日
生きてる感じが
なくもない
もしもこの世に
神様がいるのなら
何をしてくれるだろう
たとえばこんな状況で
たとえばこんな現状で
何もしてくれないのが
神様なんだろうか
神様なんていなくても
人は生きていくしかない
手に手を取って助け合い
時には武器持ち殺し合い
それでもやっぱり神様は
救いの手など伸べぬだろう
神様なんかがいたとして
人はやっぱり生きてくしかない
空に浮かんだ
大きなレンズ
覗いてみたら
宇宙の果てまで
見えるかしら
遠い世界まで
見えるかしら
いつの日か
飛び立っていった
あの宇宙船や
遠い日に
解き放ってしまった
あの壜入りの手紙
その行き着く先まで
見えるかしら
空に浮かんだ
大きなレンズ
そこに何が
見えるかしら