どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

一万

カウンタが一万廻りました。
皆様のおかげです。
一万を踏んだ方、あるいは一万と一を踏まれた方、よろしければ、リクエストをなさってくださいませv

「詩」進呈させていただきますのでv

これからも精進して、日々アップできたら良いなと思ってます。
ありがとうございますv

追記:割とカウンタも廻ったのですが、お声がかかりませんでしたので、先着5名様に詩を贈呈させていただきます。
よろしければ、リクエストなさってみませんかv
原則的に、お一つのお題で、三篇書く予定となっております。
その中でお好きなものをお選びいただいてお持ち帰りいただきたいと思います(もちろん、全て気に入ってくだされば、全てでも可。逆もまた可)
正直、最近、ネタが浮かばずに困っておりますので、人助けと思ってくだされば幸い(笑)

空を駆ける

空を渡る雲を飛び越え

海を目指せ

遠くにそびえる入道雲に

隠れてしまった彼女を探せ

飛行機雲の道を辿り

羊雲の背を伝って

海を目指せ

南風の扉を開けろ

夜を刻む秒針の音

肌寒い夜は

あなたを

ぬいぐるみのように

抱いて眠る


やさしい心音を聴きながら


人恋しい夜には

心を

ブランケットの中に

包んで眠る


自分の心音を聴きながら


秒針の速さで

あなたの鼓動


それよりも少し速い

私の鼓動


眠れない夜には

時計を

子守唄代わりに

聴いて眠る


架空の心音を聴きながら


(2006.05.29)

続きを読む »

変化

変化は怖い

変化は楽しい

変化は不安

変化は快感

変化はワクワク

変化はドキドキ

変化はハラハラ

変化はビクビク

変化は冒険

変化は必然

変化はそうして

挑むしかない

かつての浜辺

私はかつて海だった

寄せて返して

返して寄せて

揺蕩う波の下で

魚と歌っていた


私はかつて海だった

白く眩しく

眩しく白く

打ち寄せる波を

受けて光っていた


私は今は揺れもせず

塩辛くもなく

囲われた部屋で

幾つもの手を受けて

静かに佇んでいる


私はかつて海だった

広く大きく

大きく広く

青い海原の浜辺で

全てを受け入れていた


私は今では公園の

滑り台の傍ら

鞦韆を眺めて

歓声を聞きながら

陽射しを受け止めている

続きを読む »

廃墟哀歌

囚われの鳥かご

錆びてしまった檻の中

風化していく歌声が

瓦礫の中を渡ってく


閉じ込めた写真が

廃墟の壁で朽ちていく

壊れてしまった蝶番

開かずの箱を眠らせる

真夏日

スコールが去って

空は目に染みる青

世界を茹で上げて

水分が乾いていく

泡立てたメレンゲに似て

重たい空気の中

照りつける太陽が

音を立てて焦がす

横目に見つめながら

届かない世界

窓一枚隔て

南極の冷たさ

PC

君が機嫌を損ねたら

ボクはおろおろするだろう

君が調子を崩したら

ボクはあたふたするだろう

ボクの手に負えない君だから

ボクの手に余る君だけど

大事だから

元気でいて欲しいんだ


冒険と仲間たち

いざ進まん
古ぼけた伝承を頼りに
虫喰いの地図を片手に
探しにいこう
隠された謎を追って

一人では無理でも
二人なら出来るさ


道は困難
囚われた歌を聴き取り
放たれた星を巡って
探しにいこう
開かれる鍵を追って

二人でも無理なら
三人で試そう


スリルと冒険の味は
仲間と味わうのさ


意気は万端
捨てられた町を辿って
朽ち果てた森を潜って
探しにいこう
刻まれた絆を持って

続きを読む »

熱帯夜

まとわりつく
熱気と湿気
南から吹いてくる風

糸のように細い
涼しい空気を飲み込んで
辺りを制覇していく

なぶられた髪が
首筋に貼り付く

夜はまだ眠らない
カーテンを揺らして
通り過ぎる

私もまだ眠れない
熱が逃げないままで
倒れ臥してる

ジャングルの奥地で
降る星を見ながら
草木の息吹を感じる

そんな心持ちで
明日の朝日を待とう
今宵は熱帯夜

雨傘

ボクはコウモリ
キミはヘビ

獲物を捜して
歩いてる

大きな羽音を
響かせて

大きな目玉を
光らせて

ボクはコウモリ
キミはヘビ

花野の中を
歩いてる

大きな雨音
響かせて

大きな雨粒
光らせて

ボクはコウモリ
キミはヘビ

これより近くに
進めない

ボクはコウモリ
黒い傘

なんなら
一緒に歩かない

続きを読む »

完未完

終わらなかったお話は

一体どこにいるの

綴られなかった囁きは

一体どこに行くの

誰か知ってる?


終わってしまったお話は

一体なにになるの

刻んでしまった呟きは

一体なにをするの

誰か分かる?



そこにある

終わっていないお話の

そこにある

終わってしまったお話の

誰か知ってる?

続きを知ってる?

矛盾

一人でいたい

痛くない

きみと話したい

離したくない

心を洗いたい

現れたくない

本当は泣きたい

無くしたくない

哀しいほどノロい

呪いたくない

好きだと思いたい

隙がない

そんなこともある

接することでしか
誰かの愛情を
確認できないなんて

なんて幼稚な考えなの

しばらく離れていたからって
嫌われたのかもしれないなんて

なんて不安な感情なの

自分に自信がないのね
自分自身を持てないのね

分かるけど
考えすぎては駄目

疑心暗鬼になるほど
毎日は息苦しくなるわ


信じることでしか
誰かの愛情は
確認できないのよ

なんて簡単なことなの

信じればいいの

誰かを
自分を
愛情を


(2006.05.31)

続きを読む »

初恋ラムネ

握り締めたコインで
君と選んだ駄菓子
小さな頭ひねって
計算してたね

五円玉のチョコや
赤い杏の実
大きなキャンディや
固すぎた練り飴

君が好きなものは
色とりどりのラムネ
セロファンに包まれた
ほの甘いお菓子

口の中でとける
甘酸っぱい味は
あの頃感じてた
君への気持ちに似てた

苦さや不味さを覚え
いつしか忘れていった
あの頃感じてた
はちきれそうな希望

街角の駄菓子屋で
薄青の容器を見たよ
思い出したように買って
一つ口に入れた

口の中でとける
甘酸っぱい味に
遠い日の二人の
笑い声が聞こえた

続きを読む »

月とひとりきり

青空で見つけた白い月
あまりにも頼りなくて哀しくなる
あなたと見たあの日の月と同じ筈なのに
まるで捨てられた仔猫のようね
誰かの手を求めてる

ねえ 何が変わってしまったの
ねえ あなたがいないだけで
ほら
こんなにも消えてしまいそうな
昼下がりの月


帰り道見つけた銀の月
さよならと口にして泣きたくなる
あなたの瞳はあの月よりも冷たかったね
まるでありふれたドラマのようね
そのうちきっと忘れるの

ねえ 何が変わってしまったの
ねえ 私は変わらないのに
ほら
星空で輝き続けてる
あの月だって


覚えているかしら
あの日の言葉
あの月に誓うと言ったのに

波が月に導かれるように
月は太陽に照らされるように
いつまでも
変わらないと思いたかった

ねえ 何も変わっていないの
ねえ あなたはいないけれど
ねえ 何も言えなかったあの日は
ねえ 戻っては来ないけれど

ほら
やっと今
前を見て歩き出せるの

ほら
夕闇が舞い降りて


静かに輝き始めるあの月のように

あの月のように


(2006.05.30)

続きを読む »

失恋自鳴琴

これはようこそ
いらっしゃい

6月の花嫁が
雨に濡れて
お越しになるとは

ええ
ここは黄昏の街
やがて服は乾きましょう

けれど
涙に濡れた心は

なるほど
それをお売りになると

なんと見事なオルゴール
硝子の屋根の下
翡翠の馬が駆け
水晶の馬車が廻る

螺子を巻けども
舞曲は鳴らぬ
馬は走れど
一頭足らぬ

ようございます
その想いごと
こちらでお受け
致しましょう

言うに言われぬ
人への恋も
叶うに叶わぬ
恋の行方も

全てお受け
致しましょう

これで今日より
あなたはただの
祝福される花嫁だ

さあさ
どうぞ
お行きなさい


さて
先ほどの客が
置いていった
翡翠の馬と
螺子一つ

どうやらぴったり
合うようだ

想いを告げぬ恋人達は
互いが互いの馬に乗り
同じところをくるくる廻る
追いつくことさえ出来ぬまま

黄昏の街に曲を奏でて
彼らの未来を笑おうか

好きをいっぱい

いろんな空が好き

白い雲が好き

眩しい太陽が好き

冷たい月が好き

優しい雨が好き

柔らかな新芽が好き

どんな花も好き

あふれる木漏れ日が好き

葉擦れの音が好き

甘い実が好き

小さな宝石が好き

可愛い洋服が好き

美味しいご飯が好き

暖かなお風呂が好き

面白い本が好き

今日が好き

昨日が好き

明日が好き

家族が好き

あなたが好き

友達が好き

あの子が好き

自分が好き

たくさんの好き

積み重なって

私を生かす

幸せになる

続きを読む »

生まれかけの恋は

他人行儀の顔と

社交辞令の裏で

目指す方向を

選んでいる


光の速度で落ちていく

もがいてあがいて絡みつく

戻れぬ場所に堕ちていく

木漏れ日の中を歩いてく


生まれたての恋は

はにかみのぎこちなさと

空回る気遣いの陰で

歩む道のりを

探している


風渡る草原の中か

荒波の海原の上か

切り立った山道の果てか

月を越えた星の空か


生まれた恋は

育ち始める

いつか

どこかで朽ちるまで

廻る廻るオルゴール

廻れ

廻れ

くるくると


舞われ

舞われ

するすると


硝子のオルゴール

鳴らす舞曲

水晶の馬車が

翡翠の馬が


廻る

廻る

くるくると


涙の雨粒に

濡れる舞曲

薔薇石の花散らし

雲母の窓伝う


舞って

舞って

するすると


続きを読む »

手を叩こう

ここに一組の掌

小さな掌

大きな掌

つるつるの掌

シワシワの掌

真っ白な掌

日に焼けた掌

ごつごつの掌

しっとりな掌

冷たい掌

温かな掌

ここに一組の掌

打ち合わせて

きみに拍手を

声をかける

あなたの

何気ない一言が

私を

強くする

優しくする

嬉しくする

楽しくする


あなたの

さりげない一言が

私を

華やがせる

微笑ませる

弾ませる

救ってくれる


あなたの

たった一言が

続きを読む »

親しき仲

当たり前すぎて気付かなくて

壊して失くして気が付くんだ

当たり前すぎて傷付けすぎて

壊して失くして傷付くんだ

傷跡ばかり築いていくんだ


何気なさ過ぎて油断して

毀れて落として糾弾するんだ

何気なさ過ぎて予断を忘れて

毀れて落として凶弾に倒れる

傷跡さえも余談にごまかす


駄目なんだ

近いからって

甘えてばかりじゃ駄目って


分かってるんだ

近いからこそ

構えてばかりじゃないって


当たり前すぎて

何気なさ過ぎて

大事なものを失っていくよ

秘密の少年

秘密の鍵を開けて
入っておいで
手入れを忘れた
茂みの中で
待っているから

錆びた鳥篭と
澱んだ池の傍
蔓薔薇の棘の中に
僕を探して


静かな庭を抜けて
逢いにおいで
歌を忘れた
小鳥達と
待っているから

崩れた四阿と
涸れた井戸の底
昼間の月光の中に
僕を探して


記憶の隙を縫って
ここにおいで
咲くに任せた
花の香りと
待っているから

もがれた羽と
動かぬ微笑み
裏庭に眠る
僕を探して


続きを読む »

創作というものは

おいでおいで

餌をたらして

じっと待つ

この池は深くて

底が見通せない


おいでおいで

手ごたえを待ちながら

じっといる

この池は暗くて

何も見渡せない


おいでおいで

アタリがあったなら

じっくり引く

何が現れるか

釣ってみるまで分からない


そして

逃がした獲物ほど

大きく傑作だった気がする

王女さまは今日も

あたしのお城は

三階建て

お庭には湖

花も咲き乱れて

ダイヤモンドの粒が

キラキラと輝く


あたしのお城は

白亜の城

遠くには隣国

王子様が住んでる


あたしのお城は

あたしのもの

塀を張り巡らせて

モンスターは入れない


あたしのお城は

風に乾く

でもそのまえに

あの子が潰した


あたしのお城は

お砂場の中

明日はあの子を

塔に入れちゃえ

続きを読む »

互いに僕らは

なんでもいいよ

どんなことでも

ささいなことでも

つまらなくても

なんでもいいよ

どんなことでも

大事なことでも

悩んだことでも

なんでもいいよ

言ってもいいよ

話を聞くよ

僕らは友達

続きを読む »

太陽のたまご −ことばあそび−

甘く熟した果実
まさしくお日さま果実
いただきます

赤く色づく果実
まろやかくちどけ果実
今すぐ口に

太陽の光
いっぱい浴びて
陽気に可愛く
熟れていくんだ

飲み込む前に
たちまち蕩けて
満足の笑顔

ごちそうさま


(2006.05.26)

続きを読む »

雨の朝

カーテンの向こうから
聞こえてくる
雨だれの音

囁くように
歌うように
世界を包んでる

耳を澄まして
聞き取ろうと
息を潜めても

暗号めいた空の声は
揶揄ってすりぬける


窓の向こうで
煌いてる
紫陽花の蒼は

雨と交わした
内緒の言葉で
心を染めていく

僕を見上げて
微笑んで
少しつんと澄ます

秘め事めいた花の声は
微笑んで滴った


花のあいだにかかる
水晶の連なりも

石畳に溢れた
弾ける水玉も

僕の耳元
くすぐりながら
歌を歌っている


空の向こうに
隠れてる
白い太陽の光

はにかむように
見守るように
世界を包んでる

続きを読む »

季節の中で

春には春の
夏には夏の
気配がすぐそこにあって

太陽や風や草木が
包み込む
世界ごとわたしを

時はいつも
軽やかに
雨のように染み込んで

季節の中で
感じるものは

優しく流れている


咲き誇る花の色も
愛を囀る小鳥たちも

立ち昇る入道雲も
照りつける陽射しも



秋には秋の
冬には冬の
息吹きがわたしに寄り添っていて

夕暮れも涙の色も
甘いほど
わたしを締め付ける

時が来れば
緩やかに
風のように近付いて

季節の中で
感じるものは

静かに流れている


高く遠くなった空も
色づく木の葉の降る音も

凍りついた窓辺も
降り頻る粉雪の白さも



季節の中で
受け取るものは

すべて愛おしい


(2006.05.25)

続きを読む »

ノスタルジック・ラムネ

僕ときみの夏は
あのラムネ壜の中
音を立ててはじけてた

急ぎ足のままで
駆けて行った夏空
青緑の壜の向こう

追いかけた僕らは
ビー玉に弾かれて
ゆっくり楽しむことを覚えたね


僕ときみの海は
あのラムネ壜の底
揺れるように沈んでた

きみの肌を照らす
青い海の陽射し
見上げてた波の向こう

漂った僕らは
泡沫に運ばれて
くすぐったげに笑ったね


僕ときみの恋は
あのラムネ壜の中
もどかしげにじれていた

届きそうで取れない
秘められていた想い
唇かすめて逃げる

困り果てた僕らは
割りたい衝動を堪え
密やかに飲み干した


僕ときみの夏は
あのラムネ壜の中
胸の奥底深く

ときおり音を立てる

続きを読む »

挑戦

ちょっとドキドキ

すごくドキドキ

けっこうドキドキ

だけどワクワク


ワクワクがあるから

挑める


ワクワクがあるから

臨める


すこしドキドキ

かなりドキドキ

とてつもなくドキドキ

そしてワクワク

幸せのかけら

色とりどりの金平糖の花束

チョコレートボンボンの宝箱

艶めくドロップスの小壜


焼きたてのクッキーの香り

ことこと煮込んだジャムの輝き

茶葉が楽しげに踊る紅茶


小さな幸せは

そんな

優しげなティータイムに似ている


ふとしたときに思い出す記憶

ささやかなことで微笑む顔

積み重なっていく幸せのかけら


小さな幸せは

そして

優しげな想いの中に広がっていく

続きを読む »

いっしょに

いちにのさん

そう言って

一緒に飛んだ

空に届くほど

高く漕いだ

ブランコから


いっせのせ

そう言って

一緒に越えた

目も眩むほど

深い谷間

手を繋いで


ひのふのみ

そう言って

一緒に行こう

星よりもまだ

遠くに続く

未知の道を

続きを読む »

幻の遊園地

誰もいない広場に

哀しげなジンタが響く

濡れた観覧車に

遠い街が映る

カルーセルは廻る

幻の少女を乗せて

セピアの写真を抜け出

雨粒をすりぬける

ペンキの剥げた木馬

魔法の解けた馬車

くるりくるりと廻る

時を超えて廻る

笑顔の少年が駆ける

涙目のピエロが踊る

雨煙の中の

誰も知らぬ広場

続きを読む »

私は誰

誰を見ているの

誰だと思っているの

そこにいるのは紛れもない私なのに

あなた

誰を見ているの


誰に言ってるの

誰だったら良かったの

そこにいるのは間違いなく私なのに

あなた

誰に言ってるの


誰が嫌いなの

誰のつもりで嫌がるの

そこにいるのは限りなく私なのに

あなた

誰が嫌いなの


私じゃない

どう見ても私じゃない

そこにいるのはどうしても私なのに

あなた

私を見ていない

クマンバチ

きみは凶暴なクマンバチ
我が物顔で飛来する
きみは凶悪なクマンバチ
僕の耳元を掠めてく

ほうら
さっさと出ておいき
きみの来る場所は
ここじゃない

そうさ
とっとと出ておいき
きみを待つ者は
ここにゃない


きみは獰猛なクマンバチ
猛毒抱えて飛来する
きみは横暴なクマンバチ
僕の安寧の邪魔をする

ほうら
さっさと出ておいき
毒を吐き出すが
能じゃない

そうさ
とっとと出ておいき
自衛手段も
厭わない


きみは一匹のクマンバチ
唸る羽音は煩いが
きみは所詮はクマンバチ
殺虫剤には敵うまい

だから
さっさと出ておいき
お前の巣穴は
ここじゃない

だから
とっとと出ておいき
互いの平和を
乱すまい

歌を

歌を歌おう
君のことを忘れて
空を飛ぶ鳥のように
群れを成す魚のように

歌を歌おう
言葉なんか忘れて
匂いたつ花のように
風にそよぐ草のように

歌を歌おう
自分さえも忘れて
輝ける星のように
変わりゆく雲のように

歌を歌おう
どこまでも忘れて
砂塵吹く廃墟のように
骨の眠る荒地のように

歌を歌おう
何もかも忘れて
まどろんだ夢のように
おぼろげな恋のように

単純難解

ああ

そうか

それだけのことだ

求めすぎれば

失くすんだ

与えすぎれば

無くすんだ

ああ

そうか

それだけのことか

好きなだけじゃ

駄目なんだ

夢見るだけじゃ

無駄なんだ

ああ

そうか

それだけのことさ


ああ

なのに

それだけのことが

バベルの塔が壊れても

世界で一番

大切な言葉は

多分

こんにちはと

ありがとう


だからきみは

この国以外の

こんにちはと

ありがとうも

言える


日本語も

中国語も

英語も

イタリア語も

ドイツ語も

ネパール語も


こんにちはと

ありがとう


世界を円滑にするため

一番初めに知る

いくつもの

こんにちはと

ありがとう

不実じゃない

人間ってね

たくさんの細胞で

出来てるんだよ


その全てが

あなただけを好きだなんて

ありえない


わかるでしょう


あなただって

そうなんだもの


(2006.05.20)

続きを読む »

単純明快

きみに好きと言わせたい

それだけの言葉

たった二文字

きみに好きと言われたい

それだけでいい

たかが二文字


されど二文字

難しい

王子と仔猫とそれからあたし

世界の王様 御触れを出した
王子の呪いを 解いてくれ

王子の魂 身体を抜け出
世界のどこかで 迷ってる

紫の目と 白い毛並みの
猫に宿ると 言うそうな


砂漠の王女は 白沙を固め
砂漠の薔薇で 目を埋めた

雪野の王女は 粉雪を積んで
極光の粒で 目を入れた

高原の姫は 白毛の苔と
ベリーの瞳の 猫にした

海岸の姫は 真珠の粒と
人魚の鱗で 猫にした

都会の王女は 白金の猫
瞳は輝く アメジスト


けれどもどれにも 王子は宿らず

砂漠の猫は 風に崩れて
雪野の猫は 陽射しに溶けて
高原の猫は 枯れてしまって
海岸の猫は 波に解けた
都会の猫は 攫われてしまう


あたしはぱたんと 絵本を閉じて
隣の仔猫に 言い聞かす

いいこと あなたが王子様でも
けして戻っては いけないわ

とかくこの世は 世知辛すぎて
王子様では 生きてけないの


仔猫は軽く 喉を鳴らして
気のない振りで 大あくび


白い和毛と 紫の目の
あたしの可愛い 小さな仔猫は
そんなわけで 今日もまた
仔猫のままで 昼寝する


(2006.05.18)

続きを読む »

境界線なんてない

大人と子どもの違いって何

地団太踏んだら子どもなの?
泣かなくなったら大人なの?

学校に行くなら子どもなの?
二十歳を過ぎれば大人なの?

抱かれて眠れば子どもなの?
抱き合うようなら大人なの?

すねを齧るなら子どもなの?
はたらいて稼げば大人なの?

大人と子どもの違いって何

素直に笑えば子どもなの?
つくり笑いなら大人なの?

夢を追うなら子どもなの?
夢を見ないなら大人なの?

甘いの好きは子どもなの?
お酒が飲めれば大人なの?

恋もまだなら子どもなの?
悩みがあるなら大人なの?

大人と子どもの違いって何

それを隔てる境目はどこ?

安請け合い

ご希望はなんだい

それは難題

お安いもんだい

いやいや問題

早起き何文

そいつは難問

何でもかんでも

出来るさ勘でも

ご用はなんかい

そいつは難解

いやいや簡単

言わせる感嘆

解決問題

どんなもんだい



帰り道

いつもと同じ道

いつもの帰り道

いつもと同じ花

いつもの香る花

いつもと同じ木々

いつもの揺れる木々

いつもと同じ家

いつもの声の家

いつもと同じ道

いつもの帰り道

いつもじゃない蝶

いつもは見ない猫

色づき始めた花

色増す緑の木

いろんな夕餉の家

いつもと同じ道

いつもの帰り道

空の色が違う

風の音が違う

花も木々も

人も動物も

少しずつ違う

たくさん違う

いつもと同じ道

いつもの帰り道

幾つもの発見

いつだって新鮮

あふれるほどの

要らないものを
要らないと言い切れたら
要らないものを
否応なしに捨てられたら
今のように
息苦しくないのに

いつの日か
要るようになるかもと
今もまだ
言い聞かせてる


言えないことを
言ってしまえるとしたら
言いたいことを
いつでも口に出来たなら
今ほどには
苛立たないのに

いつの日か
言わずに良かったと
今はまだ
言いくるめてる


忙しい振りして
いつもよりも
急ぎ足で過ぎる
偽りの日々

要らないものも
言えないものも
いちいち確認したくないまま

いつの間にだか
色褪せてしまう


いつの日か

要るんだと
言えるんだと

今はまだ
癒えない傷を隠して