どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

きみの小鳥になりたい

眠る君の頬
軽く啄ばんで
歌ってあげる

光る陽射しの下
羽ばたいた羽で
影を作ろう

芝生を駆けて行く
君の肩の上で
笑ってみたい

お茶の時間には
椅子を止まり木に
囀っておこう

眠る時にはどうか
僕を軽く
抱きしめて

きみの小鳥になりたい

例え叶わぬ恋でも

だからその手を

手にしたものを
二度と離さない
そんなことは
できはしない

何とひきかえにしても
何を犠牲にしても
そんなことは
できはしない

だから
その手を離して

零れ落ちたものならば
拾い集めればいい

砕け散ったものならば
掻き集めればいい

愛する人の手ならば
そばにあると信じて

勝ち取った栄誉ならば
惜しまぬ努力を続けて


手にしたものは
いつか離れていく
どんなものでも
いずれ離してしまう

それを嘆いても
それを悔やんでも
どんなものでも
いつか離してしまう

だから
その手を離して

失くしてしまったものならば
探し出せばいい

忘れてしまったものならば
思い出せばいい

夢見た希望の光なら
目を凝らして見つめて

積み重ねてきた時間なら
連なっていると信じて


そして
その手を離して

新しい何かを

失った何かを

また掴み取っていけばいい

(2006.03.28)

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新たな道を行く友へ

たくさんの人がいて
たくさんの恋があって

一緒に歩んだり
途中で別れたり
あるいは
最初からすれ違うこともある

どんなかたちで
恋が終わったとしても

どんな結末を
二人が選んだとしても

それは
どれだって
当たり前のこと


別れる恋なら
違える道なら
最初から
出会わなければ良かった

なんてこと

ありはしない


どれだって
当たり前のこと


歩き出すための第一歩
踏み出す場所に悩んでも
一度上げた足は
どこかへとおろすもの

今まで起きたことは
もう戻りはしないし

後悔なんて
したところで意味がない


その足で次はどこに向かうか


道標にはなりはしないけど
案内人にはなれないけど

振り上げた足の先に迷うなら
一度座り込んで
他愛ない話をしよう

それだって
よくあること


そしてまた
歩き出せばいい


(2006.03.27)

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恋愛スイーツ

涙が出るほど甘いお菓子を
頬張って咀嚼して

笑い出すほど甘いお菓子を
じっくりゆっくり味わった

そんな恋


痺れるほどに甘いお菓子を
頑張って嚥下して

麻薬のような甘いお菓子を
貪るように味わった

そんな恋


甘くコーティングされたお菓子は
本当は
甘くなかったのだとしても

べたつく甘さのその下に
本当は
苦さや辛さが潜んでいたとしても


蕩けるほどに甘いお菓子を
切望し渇望した

あたしを甘く蕩かすような
あなたを望み求めていた

そんな恋


(2006.03.19)

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この森においで

生きることに疲れたら
この森においで
絶望よりも深い闇で
飲み込んであげる

生きることに悩んだら
この森においで
残酷よりも昏い夜で
取り込んであげる

文目も分かぬ森の中で
自分さえも無くしてごらん
時間も位置も不確かな
漆黒の森へおいで

夜が過ぎて
蒼い朝が来たとき

闇が去って
青い森を見たとき

自分も世界も
見えるはずさ

生きるのに疲れたら
この森においで
朝を待つ眠りの中で
抱きしめてあげる




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一つの世界 無数の世界

世界は
女の子が作る
虹色のシャボンの玉の中

世界は
男の子が積んだ
角砂糖の階段の上

世界は
恋人たちが交わす
虚偽と真実の睦言の狭間

世界は
空から零れ落ちる
一粒の雨

世界は
音を立てて開く
一輪の花

世界は
この指先から
生まれる

世界は
この眼差しから
始まる

世界は
ただ一拍の鼓動から

世界は
ただ一息の吐息から


そして
世界は

いくつも生まれ
いくつも消えて

いくつも始まり
いくつも終わる

この世界の中で

この世界の外で

あるいはどこかで


(2006.03.15)

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君の傷

不意にキス

何も着ず

宵に死す

明日の椅子

君は居ず

日々廃す

罅は似ず

ついに秘す

対の地図

悔いは見ず

有為のミス

注いだ水

奇異に帰す

君にキス

意味に比す

逢いに期す

愛に生きず

何に生く

君を好く


杞憂

二羽の小鳥は
芝生の中で
頭上の空を
眺めてる

丸く広がる
揺らめく空が
歪んだ光を
降り注ぐ

蒼く広がる
波打つ空に
銀色の鳥が
泳いでく

一羽の小鳥が
上を見上げて
空は落ちると
呟いた

一羽の小鳥も
上を見上げて
落ちやしないと
呟いた

庭の小鳥の
小さな空は
大きな空の
下の下

庭の小鳥の
小さな世界は
砕ける波の
底の底


ヒワとアトリは
芝生の中で
頭上の空を
眺めてる

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人間てヤツぁ

信じちゃ駄目さ
人間なんて
どいつもこいつも
悪人ばかり

頼っちゃ駄目さ
人間なんて
そいつもあいつも
腹黒ばかり

ちょいと馴れ合って
秘密打ち明けりゃ
次の朝には
ダレカも知ってる

ちょいとじゃれ合って
乳繰り合えば
次の朝には
財布ごとドロン

ちょいとほだされて
ハンコを押せば
裸一丁で
通りにコロン

ちょいと前行く
冴えない親父は
爆弾仕込んで
周りごとドカン

嘆いちゃ無駄さ
人間なんて
アンタもオマエも
上っ面ばかり

怨んじゃ無駄さ
人間なんて
老若男女は
関係ないさ

しょうがないのさ
人間なんて
所詮はオイラも
人間なのさ

先を見る力

五分先の世界が見えたら
あたしはどこへ行くだろう

十分先の世界が見えたら
あたしはなにをするだろう

一日先の世界が見えたら
あたしはなにを思うだろう

一月先の世界が見えたら
あたしはなにを探すだろう

一年先の世界が見えたら
あたしはどれを選ぶだろう


世界の終わりの世界が見えたら
あたしは誰に会うだろう

伝われ想い

つたえられない

たくさんの想い

えいえんに似てる

たくさんの想い

いまにも溢れる


つたわらない

たいせつな想い

えることの出来た

たいせつな想い

いつでも満ちてる


つたわってほしい

たからものの想い

えがおになりたい

よろこびあいたい

うんめいよりも速く

朝目覚めたら

目を覚ましたら
いい天気
君を誘って
出かけよう

朝の光が
君の顔を
輝かせて
笑わせるよ

ほら

出かけよう
青い空の下
二人で

どこまでも


走り回る風をうけ
髪なびかせ
君はくるくる
踊りだす

朝の光が
君の指先を
跳ねるように
濡らしてく

そう

出かけよう
白い雲の下
二人で

どこまでも

蒼い世界の夢十夜

夜更けの森を歩いていると
エルフの女王に出会った
下賎の者の来る場じゃないと
即刻首を刎ねられた
血飛沫は蒼く森を染めた



木々の間に
幾つもの硝子の小壜が置いてある
ひとつ手にしたが落としてしまった
途端に世界が赤く染まった
面白くなって次々に割る
水色 桃色 紫色 緑色
次第に混ざって
とうとう蒼くなった



泉が湧き出ている
手を浸すと凍るように冷たい
辺りに振りまくと
薄く霜が降りた
蒼褪めた世界で
凍え死んでしまう
朝日は未だ昇らない



空を翔ける竜が鱗を落とした
蒼く光る鱗越しに世界を見る
昔こんな夜明けを見た
それがいつか思い出そうとしたが
思い出す前に鱗ごと
竜に飲み込まれてしまった



船に乗っている
物も落とさないし
飛び込んだりもしないと
誓っていたのだが
強烈な横波のせいで
あっけなく蒼い海の底
船室に閉じこもっとくんだった



竜宮城にいる
見上げると揺れる光の蒼い海
あれは月というものです
傍らのクラゲが言った
お前も月だろうと言うと
海月は弾けて光になった
水底も蒼く揺れている



丘の上の大樹に
蒼い花が咲いている
蒼い花吹雪の中で
見惚れていたが
朝日が射した途端
雨の雫に変わってしまった



蒼い果物がなっている
なんだろうと
一口齧ってみた
思いがけず美味かったが
手も口も蒼く染まって
洗っても洗っても
落ちなかった



蒼い椅子がある
誰かが座っているが
人影も蒼い
月明かりのせいだと
気付いたので
月を叩き壊した
自分の手さえも見えなくなった



蒼い星が見える
あれは何かと問うと
地球だろうと言われた
美しいなと呟くうちに
あちこちで爆発が起こり
あっという間に赤く荒んだ
切なくなった

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手垢にまみれても

使い古されていても
言い尽くされていても
手垢にまみれていたとしても

大事なことは

その中にある


贅を尽くした言葉より
趣向を極めた言葉より
難解至極な言の葉よりも

大切なことは

その中にある


ありふれているからって
ありきたりだからって
ありったけの想いを込めれば

大概のことは

それで伝わる


君が君

自分が誰だか
覚えているかい

そこに行くための呪文
忘れてないかい

間違えずに唱えたら
君はもう
異世界の住人

君であって
君じゃない

君だけれど
君じゃない

魔法も剣も
性別も名前も

君と違う
君の世界

あれも君
これも君
それも君

どれも君

だけれども

君こそが君

自分が誰だか
覚えているかい

戻るための方法
忘れてないかい

間違えずに覚えとこう
君が君
責任を負う者

得手不得手

なにもかも
得意なんて
無理

なにもかも
好きだなんて
無理

でも

なにもかも
出来ないなんて
無い

なにもかも
嫌いだなんて
無い

取り得が無いなんて無い


好きこそものの上手なれ

そんなこと無くても

下手の横好きでもいい


なにもかも
得意じゃなくたって
いい

なにもかも
好きじゃなくたって
いい

そう

ひとつくらい
得意なことは
ある

ひとつくらい
好きなものも
ある

不得意でもやってみてもいい


目に見えない星みたいに

人は分からなくても

輝けるものがある

景色詠みの僕

人が持ってる
心の景色を
僕は
眺めることが出来る

ひたすらの砂漠
広がる草原
赤い空の大地
無数の月が浮かぶ星

無人の廃ビル
鼓動の胎内
書類の山岳
羽ばたく鳥が引いた島

人が持ってる
心の景色を
僕は
見ることが出来る

気になるあの子も
苦手なあいつも
道行く人でも
たとえば君の心でも

厳しい教授も
厭味なお客も
親兄弟でも
綺麗な景色を持っている

人が持ってる
心の景色を
僕は
見ることが出来る

君のは静かな
明け方の森
青く染まった
朝靄漂う深い森

君によく似た
朝方の森
壮美で崇高
けれどもなぜだか懐かしい

君が持ってる
心の景色を
僕は
見ることが出来る

朝日が射した
その瞬間を
君と
見ることが出来ると
いいな

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毎日が冒険

人生はRPG
コンティニューは許されないけど
分岐自由のゲーム
レベルアップは難しいけど


強い敵なら逃げても良いし
手傷覚悟で向かうも良い
どっちでも経験値は入るけど
回復は容易じゃない

自分の技量を見極めて
無理をしないのが大事
再挑戦はできても
やり直しは利かない

ひとつところに留まるもいいし
情報片手に旅しても良い
だけど同じことを繰り返す
村人1にはなるな

自分の生き方を見つけて
無理をしてみるのも大事
主人公は自分だから
託したりはできない


人生はRPG
ジョブチェンジは楽じゃないけど
マルチエンドのゲーム
逝きつく先は同じでも


アイテム片手に
武器をココロに

誰かと一緒に
或いはひとりで

今日も進んでみよう


人生はRPG
囚われの王族はいなくても
冒険の毎日
宝は探せば見つかる


(2006.03.13)

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話してごらんよ

話してごらん
聞いたげる

聞くことしか
できないけど

悩みも迷いも
喜びも哀しみも

話してみてよ
聞いてあげるよ


相談や選択だって
聞いたげる

一緒に考えたげるよ

正誤はわかんないけど
賛否ならできる

あたしの考えなら
言ってあげられるよ


話してみてよ
聞いたげるよ

聞くことしか
しないけど


それだって
何かの足しに
なるのなら

それだって
少しは楽に
なれるなら

聞いてあげる

話してごらん


(2006.03.10)

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蒼い森の夜明け

静けさの中
冴え渡る空気
静まり返った世界に
密やかな囁き

清涼の中
未だ揺らがぬ湖
草木だけが目を覚まし
歌声を耳にする

蒼い森の中
澄み切った夜明け
一滴の光が落とされる
秘めやかな調べ

清澄の中
余分なものはない
声なきものの歌が
風と通り過ぎる

暁闇の森は
全てを青に染める
誰も踏み入れられぬ
静やかな景色

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声だけが

遠い昔に
想っていた
あなたのこと
今ではもう
夢の彼方

顔も形も
霧の向こう
思い出せない
風に乗せて
声だけが

遠い街の
夜汽車より
もっと微かな
欠片だけが
耳に届く

幼い胸に
染み込んだ
あなたの声は
街の喧騒に
消えてく

身も心も
離れたのに
不意に訪れる
二人の記憶
声だけが

ただ
声だけが

願い

どうしても
どうしても
どうしても
行かないと
いけないの

どこまでも
どこまでも
どこまでも
飛ばないと
いけないの

いつだって
いつだって
いつだって
生きながら
行きたいの

だからもう
だからもう
だからもう
行かないと
言わないの

不幸なのは

不幸なのは

そのココロ

キモチの持ち方


叶わないような

夢でも

敵わないような

恋でも


逢えないような

誰かも

合わないような

誰かも


人から見れば

悲劇でも

誰もが嘲る

喜劇でも


不幸なのは

そのココロ

キモチの在りよう


それしだい

今日の出来事

その日一日
二十四時間

目を醒まし
夢を見るまで

想い巡らそうか

ただ空が青いとか
庭の花が咲いたとか
いつもよりも寒いとか

虹の欠片が見えたとか
森で鳥が鳴いたとか
星の光が綺麗とか

吐く息が白いとか
可愛い子を見たとか
美味い茶を飲んだとか

誰かと挨拶交わしたり
お裾分けを貰ったり
面白話に笑ったり

なんでもないけど
なんだかいいような

あたりまえだけれど
しあわせなような

想い返してみて

優しくなれる

今日の一日
二十四時間


懸封(けふう)

ようこそ
いらっしゃい
おや
あちらは雨でしたか

此処は黄昏
茫洋とした時刻
目を覚ます如き
雨など降りは致しません

さて
如何なる品をご所望ですか
なるほど
思い煩い事がおありですね

愛も恋も
夢も希望も
思い過ぎれば辛くなる
想いは重いに通じましょう

やがて
身動きできなくなって
押しつぶされるも
また一興

ええ
もちろん
うってつけの品が
ございますとも

これなるは
懸封と呼ばれし巻紙
雲よりも軽い綿毛を
漉いて紙となしたもの

心を占めた物事を
書き連ねたなら封をして
あとはどこへと
仕舞えば良い

心にかかった
靄も霧もすっきりと
心悩ませた物事が
雲散霧消と消えまする

ただしおひとつ
ご注意を

封をしたらばもう二度と
毛ほども掠りは致しません
封を切ったらもう二度と
心を覆って晴れません

それでも良ければ
お持ちあれ

これであなたも
ほらすっきりと
笑顔で帰っていけましょう
笑顔を保っていけましょう


あちらの世界は雨とやら
紙に綴りし墨は溶け
滲んで解けて崩れ落ち
二度と戻りはせぬだろう

己の心を占めていた
狂おしいほどの感情も
滲んで解けて崩れ落ち
二度と還りはせぬだろう

時折心がざわつけど
束の間心が騒げども
もはや
掴めはせぬだろう


おやおや
どうやら次の客
はてさて
なにをご所望か

哀しみの渇望

もはや誰もいない
言葉は風に消えた
砂に埋もれた道は
灼熱の太陽へ届く
陽炎の中の夢幻は
追いかけても逃げ
伸ばしても叶わず
凍てつく夜に消え
同じ明日に現れる

もはや誰もいない
声は吸い込まれて
涙は枯れ果てても
望む手はもう無い

残像のように声を

ただその声だけを

悲しみに乾涸びる
心の上に落とせよ

負け犬と言われても

現状に甘んじてる

恋愛もしていない

結婚なんて遠い話

お洒落はそこそこ

グルメもそこそこ

運動は不足気味で

睡眠も足りてない

美容と健康気にしつつ

お金がかかると躊躇する

仕事は二の次でも

ならなにが一番か

公言できるものもない

やりたいことはあっても

いったいなにがしたいか

年齢と人生と

経験と照れが混ざったり

プライドと負けん気と

図太さと小心が加わったり

結局なにがしたいか

口に出来ないまま

昨日と今日と明日

変化が無いことは承知

過去と現在と未来

展望は手の届く距離

人と較べたりしたら

負けてると言われても

振り返ってみたりしたら

怠けてると言われても

そんなに悪くない人生だと

時折日常からずれて

線路の上揺られたりしながら

空の上駆け巡ったりしながら

そんなふうに言ってみる


朝の始まりの秘密

茜色の空

虹が架かる

吹きすぎる風の中に

夢の残滓を溶かして

一日が始まっていく


けれど

君はまだ夢の中


教えてなんかやらない


朝の始まりの秘密


そのかわり

いつか

起こしてあげる

山の彼方の空遠く

藤樹庵の藤
藤姫は
山向こうにいる
老木の
白藤様と
恋の仲

だけども二人は
遠すぎて
春風任せに
恋文を
互いに交わして
君想う

紫薫れる
藤姫は
香気の美酒に
想い乗せ
使いの鳥に
運ばせる

山の向こうの
白藤は
小壜に入った
紫の
その香に恋を
募らせる

山の彼方の
空遠く
互いに恋を
高まらせ
たなびく雲に
飛び乗った

藤樹庵の藤
藤姫は
山の向こうの
白藤と
一夜の逢瀬を
慈しむ

隔てる距離も
厭わなく
遠いからなお
いとおしい
なればなおこそ
愛しけれ

白藤様と
藤姫は
またの逢瀬の
約束と
互いの小指を
絡めけり

高貴な姫の
紫の
大樹の裾に
ひっそりと
澄み切る白の
藤が咲く

悔やまない

なにをしたって
なにを言ったって
悔やまない
悔やんだって
仕方ない

怒られたって
泣かれたって
悔やまない
悔やむくらいなら
やってない

戻りたくっても
無しにしたくても
悔やまない
悔やんでみたって
戻れない

時には
不安になるけど

時には
不幸に見えるけど

悔やまない
悔やんだりしたくない

自分で決めたことならば

春色ドロップス

元気のないきみに
疲れちゃったきみに
つまづいたきみに


春の空気を
春の景色を
春の息吹きを

甘い愛情と
爽やかな未来と
こころよい希望と

混ぜてきらきら
溶かしてつやつや

春色ドロップにしたよ

きみにあげる


太陽に透かしたら
優しい光が降りてくる
雫のように降り注ぐ

指先で弾いたら
可愛い音が沁みていく
透き通る音が鳴り響く

そして
甘く溶けて口の中
身体中に行き渡る
そして新たな力になる


春色ドロップス
きみにあげる


(2006.03.08)

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掌の中のふたり

掌の世界
窪ませて水を溜める
あたしとあなた
そこで眠る

哀しみの涙
湛えた水に落ちていく
泳ぎ損ねた金魚
そこで朽ちる

交わした吐息
さざなみを立てて
二人の恋が
溺れ死んでいく

掌の世界
ささやかに溜めた水は
隙間から零れて

掌の世界
密やかに秘めた愛も
いつのまにか減ってく


あたしの掌で
掬い取った水
零れ落ちる前に
あなた
飲み干して

あたしごと
あなたごと
世界ごと


(2006.03.07)

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倒れ臥す疲弊

どこへも行けない
夢の中
がんじがらめの荷物が
僕の人生
放り投げてしまえば
燃え滓を残して
中途半端の燃焼
いつまでも燻ってる

何にも出来ない
僕のまま
こけつまろびつ進んだ
僕の足跡
風が吹いて過ぎれば
無かったように消えて
僅かな歪みだけが
無秩序を醸し出す

どうにもならない
今はもう
寄せては返す時間が
僕を連れ去る
波が浚ってしまえば
曝け出される本音
剥き出しのままの欲望
無防備に傷付く

奥の奥のそのまた奥

どんなに長い
あなたの指も
どんなに柔い
あなたの舌も
そこにまでは
届かない

どんなに上手い
あなたの技も
どんなに甘い
あなたの声も
底にまでは
届かない

あたしの
奥の奥のそのまた奥


震わせて
揺らして
じらしても

そこにまでは
届かない


どんなに浮名
流したあなたも
どんなに好きな
あなたであっても
ここにまでは
届かない

どんなに熱い
あなたの息も
どんなに篤い
あなたの心も
此処にまでは
届かない

あたしの
奥の奥のそのまた奥


ノオト

まだ白き
 ノオトに書きつる
  君への想ひ
書けども書けども
 なほ溢れけり


気に入りの
 仕舞い込みせし
  ノオトには
いつか書かむと
 夢だけ浮かぶ

ノー

嫌だなんて

言えない

そういうふうに

育ってないし

そういうふうに

出来ない世界

やらないなんて

言えない

言った瞬間

何かが変わる

言った瞬間

何かが終わる

嫌だなんて

言わない

唯々諾々と

従う振りで

余裕綽々

こなした振りで

本当は

言いたかったけど

本当は

したくないけど

世界は

そんなふうに出来てる

そう思い込んで

やり過ごそうとしてる

祈りを込めて

歌を歌おう
誰かのために

声を綴ろう
誰かにあてて

花を咲かそう
誰かのために

空を磨こう
誰かに向けて

月を照らそう
誰かのために

影をあげよう
誰かの上に

水を掬おう
誰かのために

罪を救おう
誰かを抱こう

キスを贈ろう
誰かのために

傷を癒そう
誰かの胸の


信じる神が
いないとしても

誰かのために
祈りを込めて


誰かのために
自分のために

祈りを込めて
明日を願おう

イノチガケノコイ

このココロも

このカラダも

このタマシイも

このユビサキも

スベテで

アナタを求めてる


流すナミダも

零すトイキも

揺れるシセンも

ぶれるコドウも

スベテが

アナタを想うせい


このムネを裂けば

アナタへの愛が溢れる

このコエを絶てば

アナタへの愛に溺れる


スベテで

アナタを愛してる

初々しさを武器にしたって

初々しさを武器にしたって
初めてだからと盾にしたって
何でもかわせるとは限らない

初心者だって
車は動くし
新入社員も
金を貰う

初々しさを免罪符にして
初めてだから仕方ないよと
言って良いのは周りだけ

初対面でも
印象決まるし
新入生でも
役目がある

初々しさを武器にしたって
世間はそんなに甘くない



愛いヤツめ

おっきな目で見上げてくる

もふもふの手触りと

ひなたのにおいの

きみ

小首傾げてさ

ちょっと拗ねたりしてさ

時折鼻を鳴らして甘える

きみ

でもさ僕

まだ眠たいんだよ

もうちょっと寝かせてよ

不満げに耳元で鳴かないで

不服げに顔舐めまわさないで

きみ

ひなたのにおい

草原を走り回る

野原を跳ね回る

そんな夢を見てようよ

一緒にさ

むうななや

ひい
秀でたものなど何もない
ふう
風変わりなどとも言われない
みい
身なりも特に目立たない

世の中いくらでも替えがいるし
いつ
いつだって変更可能
だけど
むう
難しいことじゃなくたって
なな
七色に光るものを持ってたりする

やっぱり誰にも変わりは出来ない
この
この自分しか自分じゃない
とお
遠くまで叫んだっていい

百年先だって自分は自分

ムーンライト

月に照らされて
浮かび上がる
きみの姿
白く輝く

桜舞い散って
降り注ぐ
きみの上に
淡く輝く

夜の温度に
冷やされて
月よりも白く
花よりも淡く


白く浮かぶ
素足が踏みしだく
花びらに溜まる
月光の涙

闇に溶けてく
風になびく髪に
風が織り込む
妖艶の溜め息

夜の気配に
包まれて
月よりも冷たく
花よりも非情に


夜の幻に
攫われて
月よりも届かず
花よりも儚い

桜舞い散る夢十夜

一本桜の下で
花を見上げていると
傍らに武士が来た
姫を待っているのだと言うので
身分違いの恋を儚んで死んだ姫ならば
ここにいると教えてやった
桜吹雪が辺りを覆った直後
桜は枯れていた
教えなければ良かっただろうか



湖のほとりに桜が咲いている
掬った水の中に落ちた花びらが
小さな桜色の魚になって跳ねた
魚ごと飲み干すと
仄かに甘い酒の香りがした



窓の外を見ると
満開の桜がある
果てこんなところに桜なぞあったかしら
そう思っていると
そよ風に揺れて飛び立った
花と見えたものは全て蝶であった



満月に照らされて
夜の上に桜の花弁が広がっている
横たわると体の下で
儚く砕ける音がした
桜貝の上で
一匹の魚になっていた



にぎやかな声につられて
近寄ってみると
異形の者たちの花見の宴だった
まあ飲めと盃をわたされ
美酒を重ねたあとで
一滴残らず血を絞り取られた
これは来年飲もう
桜の洞に仕舞われたそれは
既に芳しかった



桜の根元を掘り起こしている人がいる
死体ですかと冗談めかして聞くと
馬鹿を言うなと詰られた
お詫びに手伝っていると
根っこの絡んだ俺が出てきた
なんだやっぱり死体じゃないか



ひときわ赤い桜があったので
近寄ってみてみると
幾つもの生首がぶら下がっている
滴る血を吸い上げているらしい
なるほどと遠ざかろうとしたら
もっと見て行けと怒られた
遠くから見たほうがいいんだと
言い返してやったが
根元に鎌があったのを見つけたことは
黙っておいた



池の中から
一匹の竜が天へ昇っていった
薄紅の鱗が落ちて
桜の森になった
山桜の起源を知った



八重桜が美味しそうなので
手当たり次第
根っこから引き抜いて食べた
桜餅の味がしたが
辺りは寂しくなった
失敗した



満開の桜吹雪の向こうに
女が見える
音程の狂った声で
笑いながら
手を振っている
その白い指先で
桜のような爪が
ひらひらと舞っていた

さようならは言わない

出て行くよ

決めたんだ

どこにもかえらないつもりで


出て行くよ

進むんだ

どこにももどらないつもりで


でも

ここは

いつかまた

訪れる場所


どこにもかえらないけど

ここは

いつも

出会えるための場所


出て行くよ

決めたんだ

なにもすててはいかない


出て行くよ

進むんだ

なにもおいてはいかない


どこにもかえらないけど

ここは

いつも

心の中にある場所


だから

さようならは言わない


言わないよ



(2006/03/03)

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