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引っ張っていかれる

どこまでもどこまでも

抵抗も虚しく

連れ去られてしまう


引きずられてしまう

いつだっていつだって

危険だと告げても

聞く耳を持たない


お願いがあるの

優しく呼んでよ

力任せになぞ

押し倒したりしないで


待ちわびても来ない

いつまでもいつまでも

懇願も切り捨てる

気まぐれはお手の物ね
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2007.03.17 Sat l 日々の罅 l コメント (2) トラックバック (0) l top
藤納戸


藤樹庵さんちの
フェルナンド君は
当年とって
十と二歳
人呼んで
フジナンド

日がな一日
藤棚の下で
昼寝をしてる
白に斑の


十と二年
そこで寝ている
フジナンドの
元は灰色の斑は
いつの間にやら
藤納戸色に
染まっている

藤樹庵さんに来る
お客さんは
藤棚の下
縁台に座って
買ったばかりの
団子を食べる

時折
店主に隠れて
こっそりこっそり
フジナンドに
お裾分けしたりなんかして

花が咲くには
まだだいぶ早い
早春の藤棚の下
円くなって眠っている
やわらかな藤納戸

ひだまりに優しく
咲いてる
年寄りの猫


■□■□■□■□■□■□■□■□■□
藤納戸

(2006/02/06)




藤花月宴


時季が来れば
それはみごとな
色が溢れる
藤の老樹

遠い昔に
創業をした
和菓子屋の隣

満月の夜に
通りかかると
目も覚めるような
麗人がいて

白髯の豊かな
老人とふたり
酒を酌み交わしたり
しているという

朝日の中では
藤棚の下に
眠る老猫

素知らぬ顔で
通りを見遣り
時折
小声で会話を交わす

花咲き零れる
月の夜なら
宴に招いてくれるらしいが

ともかく今は
涼しい顔の
藤の老樹と
斑の白猫

■□■□■□■□■□■□■□■□■□
藤色

(2006/02/08) 



藤紫の花の下


見事に広がる
藤の樹が
屋根を織り成す
藤棚の
その向こうに
和菓子屋があって
年中
甘い匂いを
漂わせてる

裏に廻れば
ご隠居が
日がな一日
庭を見てたり
散歩をしたり
時には猫と
昼寝をしたり

春まだ浅い
うららかな日は
咲いてもいない
花の香がして
匂いに聡い
ご隠居は
それはいそいそと
藤棚へ行く

木漏れ日の中
藤紫の幻花が
降り注ぎ
ご隠居は猫と
縁台に座り
待ち人が来るのを
心待ちにしてる

藤紫の花の下
そこでは遠い昔から
幾つの不思議が
もう亡い人や
人でないもの
優しい夢を
連れてくる

そんなわけで
見事に広がる
藤の樹の下
暖かな陽射しと
花の香の中
老夫婦が今
莞爾と笑う

■□■□■□■□■□■□■□■□■□
藤紫

(2006/02/09)
2007.03.17 Sat l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top