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気になる人から箱を貰った
家に帰ったら開けてくれと言う
待ちきれずに開けると
そこらじゅうが
蕩けたチョコレートの海に沈んだ
暖かい日だからね
空き箱の上から
彼女が涼しい顔で言った


気になる人から箱を貰った
家に帰ってから開けてくれと言う
家まで我慢してから開けると
彼女が入っていた
どうしていいか分からず
代わりに自分が箱に入った
来月開けてもらおう


誰かのためにチョコを買っている
懸命に選んでいたが
カードを添える頃になって
誰も思い浮かばないことに気付いた
仕方がないので自分に贈ったが
美味しかったので問題ない


恋人がチョコレートになってしまった
どうぞ食べてと笑う
抱きしめたいところだが
触れるそばから溶けていく
キスをしたらとても甘かったが
もはや恋人の面影はなかった


恋人がチョコレートになってしまった
どうぞ食べてと笑う
遠慮なくいただこうと
右手を折り取ったが
中が空洞だったのでやめた
実のない見せ掛けの恋だった


9つ入ったチョコがある
どれか一つが毒入りなの
交代で食べましょう
恋人が笑って言った
あなたからどうぞ
4つめを食べて気付いた
ああそういうことか


たくさんチョコを貰った
食べきれずにいると
夜中に音がする
月明かりで覗いてみると
みんな逃げていくところだった
どうやら月が見せてくれた
幻想だったようだ


手渡す勇気がなくて
机の中にチョコを入れて帰った
しかしどうも間違えた気がする
引き返して調べてみると
それは昔の恋人の机だった
机の中は空っぽだった
とりあえず逃げ帰った


ココアを飲みながら外を見ている
酷く風が強いので
誰もがくっついて歩いている
羨ましい気持ちで見下ろすと
浮かんだマシュマロがくっついて
ハートの形をしていた
お前もかと言い捨てて
一気に飲み干した
酷く甘かった


目の前には二つの箱
好きなほうをどうぞ
恋人が言う
片方は本命で
片方は義理よ
真面目な顔で言う
悩んだ末に一つを手にした
ではそういうことで
恋人はそう言って去っていった
怖くて箱を開けられない
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2007.02.14 Wed l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
こんなに風の強い日は
揺り起こすような風の日は
崩れた墓の石の下から
うずめた記憶が蘇る

百年も前の惨劇も
一昨年喪くした恋の火も
倒れた卒塔婆の隙間から
野草に紛れて蘇る

咲き誇る花を撒き散らし
囀る鳥の羽を毟り取り
こんなに風の強い日は
薄れた墓碑銘滲み出す

暴いてならない過去ならば
覗いてならない過去ならば
地中深くに閉じ込めて
風の止むまでやり過ごせ

こんなに風の強い日は
呼び戻すような風の日は
茂れる草葉の後ろから
殺した記憶が蘇る
2007.02.14 Wed l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top