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遠くへ行った恋人が戻ったとき
彼女は老人と結婚式を挙げていた
指輪ひとつで何年も
繋ぎとめられはしないのよ
その後
恋人は死んだが
老人は長生きをした



見知らぬ子どもと手を繋いで歩いている
どこまで行くのかと尋ねると
どこだろうねお母さんと笑う
私には子どもはいないと答えると
信号待ちの間に消えた
地蔵堂の中で地蔵が澄ましている



満月の下に
眩く大きな星が見える
はてあんなところに星があったかと思っていると
飛行機の轟音が近づいてきた
そうであったかと納得しているうちに
月が目の前を通り過ぎていった
星は眩く大きいまま瞬いている



デパートで買い物をしている
5階に行こうと思うのだが
エスカレーターは迷路のように複雑で
いつまでも辿り着けない
これをどうぞと受付嬢が風船をくれたが
4階を通り過ぎる際
値札の角で割れてしまった
落ちていきながら思った
はて何を買いたいのだったか



見知らぬ男と海岸を歩いている
どこもかしこも冬なのに
海だけが夏の色をしている
夏になったら逢いに来てよ
男がそう言って海に飛び込んだ
途端に魚が群れて食い尽くした



懐中時計を拾った
螺旋巻き式で既に止まっている
巻いてくれ巻いてくれと
秒針がこわばったまま叫ぶので
切れそうになるほど巻いてやった
助かった、ところで今は何時だ
時計はそう言ったが
時計に分からぬものが分かるはずはなかった



電話が鳴っている
もしもしと名を名乗ると
私は誰ですかと問われた
仕方がないので
電話帳を開いて好きな名前にしろと言うと
今はないんだと笑われた
腹が立ったので名付けてやった
どこかの国の哲学者の名を



本を読んでいるのだが
挟んだしおりが好き勝手に動く
仕方がないので
自力でページ数を覚えたが
ページの数まで動き出した
128ページまで読んだ



卵が見当たらない
オムレツが食べたいのに
あちこち探していると
郵便受けの中に入っていた
早速割り入れたが
中から出てきたのは
一通のカードだった
所詮郵便受けは郵便受けだ



街を歩いていると
ティッシュを配っていた
歩きつづけていると
ティッシュを欲しがる人がいた
あそこで配ってますよと
振り返ったが
そこには街がなかったので
貰ったばかりのティッシュをやった
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2006.12.13 Wed l 花膳 l コメント (3) トラックバック (0) l top
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2006.12.13 Wed l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top