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夕闇が静かに降りる

太陽は微かな吐息を残して沈む

ゆるやかに

秘めやかに

時が過ぎていく

薄蒼い景色の中

昼下がりの残像が

不意に現れては消えていく

一日の悔いも憂いも

残さぬように

人知れず

決意している
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2006.12.06 Wed l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
いらっしゃい
おや
ずぶ濡れですね

どこも濡れてなどない
そう仰いますか
いえいえ
濡れておりますよ

黄昏の町ゆえに
あなたを濡らしているものが
雨なのか
赤なのか
判りませんがね

ただ少し
金気臭いようですね
うちの陶器たちが震えております

傘をお貸ししましょうか
それともこちらがいいでしょうか

御覧なさい
これは「濡音」という名の鈴
常は泣くように曇った音で鳴ります
これが澄んだ音を響かせるのは
ただひとつ
己よりも世界が湿る刻のみ
それも粘りつき絡みつくような刻にね

かつてこの鈴を持った者は
妙なる音を聴きたくて
類い稀なる音が欲しくて

最後には
己も黒々と濡れながら

この店の奥で眠っております
あの黒光る鞘の中身とともに
ここにお持ちになりましたよ

どうなさいますか

傘にいたしましょうか
それとも
2006.12.06 Wed l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top