どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

つてを手繰って

つてを手繰って
ここまで来たの
つてを頼って
逢いに来たの

細い細い糸
風に揺れる蜘蛛の糸
そんな細い糸を辿って
ここまで来たの

人から人へ
人ならぬ者へ
巡り巡って
ここまで来たの

朝から昼へ
夜さえ越えて
迷い迷って
ここまで来たの

黄昏の街
黄昏の人
訪ね歩いて
ここに来たのよ

つてを辿って
ここまで来たの

過去も未来も
夢も現も
混ざり混ざった
ここに来たくて

過去も未来も
夢も現も
掴み取れない
ここに来たくて

ここの名前は
黄昏通り
迷い迷って
辿り着く街

ここの世界は
黄昏通り
探し探せど
行き着けぬ街

つてを掴んで
ここまで来たの
つてを繋いで
逢いに来たの

望み求める
何かを求めに

わたしたちはみんな

わたしたちはみんな
生きていくことに疲れて
かげでこっそりと
泣いている

泣かなくても良いと
言う者もまた
どこかの隅で
泣いている

わたしたちはみんな
生きていくことが怖くて
大事なことから目を
逸らしている

逃げては駄目だと
言う者もまた
何かしらから
逃げている

わたしたちはみんな
死んでいくことがつらくて
時間の声から耳を
閉ざしている

進むべきだと
言う者もまた
不意を突かれて
立ち止まる


わたしたちはみんな
生きていくことを望んで
歴史を重ねながら
生まれてきた

わたしたちはみんな
生きていくことに必死で
次の一歩を踏み出すため
生きている

生きている

秩序世界たちっ

右向いて
掌を見よう
広げた指先から
延びていく視線を追って
青空に届け

左向いて
腕を伸ばそう
まっすぐな曲線が
示してるその先を追って
地平線に届け

天には太陽
地には影
影と繋がる私

秩序立った世界の中で
視線ごと伸びをする


前を向いて
背筋を正そう
見据えた目線が
焦点を結ぶその先の
未来まで届け

後ろを向いて
背中を見よう
背後に伸びた
生きてきた軌跡の
始点まで届け

天には青空
地には温もり
温もりが包む私

秩序立った世界の中で
視線ごと伸びをする

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冬に死せる恋の骸

腐り落ちた指の隙間

銀に光るリングが覗く

白い筈の骨は濁り

虚空を掴み損ねている

倒れ臥した屍の声

耳に届く前に消える

凍る風の音が嘆き

動かぬ頬を撫で行く

夜が降りて骸を抱き

星はリングで跳ね返る

誰も泣かぬ闇の中で

天は密かに涙を零す

染みて冴える月の調べ

雫さえも凍て付かせる

昏く惑う死せる人を

舞って散らす雪が覆う

滑り落ちたリングだけが

白き夜で瞬いている

立ち上がる子どもたち

夕暮れの中
おぼつかない足取りで
駆けてくる

太陽も街灯も
弱い光を投げている
まっすぐの道の上

あどけない顔に
ほころんだ笑み浮かべ
子どもたちは
どこまでも進んでく

指差した先に一番星が見える
追いつくことが出来ると
知ってるように走ってく

足元が暗くても
どんなに躓いても
止まらない
戻らない

足元がもつれても
どんなに転んでも
止まらない
戻らない

その先に見えるものは

明日

背中の向こう側

旅をしている
どこまでも
どこかへ
いつまでも
いつかへ

辿り着く先を
誰も知らない
待ち受けるものを
誰も知らない

あてのない
風まかせ
足まかせ
気紛れ
気ままな
旅をしている

手にしたトランクには
日記代わりの手帳と
古い古い切符を
それから
旅先で出会う
いろんなものを

遠く世界の向こうには
自分の
誰かの
背中が見える

その向こう側には
なにが見える
なにが待つ

それを探しに

寄り道したり
回り道したり
ときに
背中に背を向けて

旅をしている
どこまでも
どこかへ
いつまでも
いつかへ

そして
いつか背中の向こう側へ

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相対的に寄り添った

二人の距離は遠くて
互いの存在さえ知らない
まるで違う国の
住人みたい
けれどある日
瞬きの速度で
映し出された写真
相手の顔を見つけ
一人が足を止める
光よりも速く
心は飛び立って
林檎よりも速く
相手に引き寄せられる

二人の距離は遠くて
互いの場所さえ知らない
まるで違う世界の
住人のように
けれどある日
流星の眩さで
流れ出したラジオ
相手の声を聴いて
一人が耳を寄せる
電波よりも強く
心は探し回り
稲妻よりも強く
相手が浮かび上がる

二人の距離は遠くて
互いの影さえ見えない
けれどいま少しだけ
二人の距離は近づいた

いそげいそげ

時間は待ってくれないから
出来るだけ
出来る限り
出来ることを
やらなくちゃ

時間は光より早いから
追いかけて
追いついて
追い越すつもりで
やらなくちゃ

たまには
そんな風に

あわててみるのも
わるくない

大事なものは

みんな
どこへいったの

着られなくなったお気に入りの服
いつでも抱いて眠ったテディ・ベア
友情を誓ったおそろいのブローチ
何日もかけたのに出さなかったラブレター
何の変哲もない特別な第二ボタン

心乱れるほど恋した人の顔
毎晩のようにかけた電話番号
涸れるすべを知らなかった涙の泉
騒ぎながら作ったお菓子の焦げる香ばしさ
あの夜一人で立ち尽くした屋上の寒さ

どこへいったの
もう
手の中にはないね

在処を思いつけない哀しさ
かすんだ記憶のフィルタのせつなさ

だけど
思い出すことのできる愛しさ

大事なものは
ここにある

こころにある

(2005/10/27)

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小さな棘

小さな棘が喉に刺さって
痛いんだ
痛いんだ
哀しくて涙を流して
いたいんだ
いたいんだ
どこ捜しても君が
いないんだ
いないんだ
どこにも面影を
見ないんだ
見ないんだ
ボクのこと思い出したり
しないんだ
しないんだ
欠片すらきっと
要らないんだ
要らないんだ

小さな棘は君の喉でも
痛むんだ
痛むんだ
だけどさよならは
言わないんだ
言わないんだ
この凍りつく棘で
言えないんだ
言えないんだ

二人の喉で小さな棘が
痛むんだ
痛むんだ
だから二人の仲も
傷むんだ
傷むんだ

帰ってきてよ
溶かす方法を探したり
したいんだ
したいんだ

君と二人で
いたいんだ
いたいんだ

待ち遠しさに身を焦がすより

いつしか答えは出るもので
近くはないけど
遠くもないから
しばらく
忘れてしまいましょう

やるべきことはすでにしていて
神のみではないけど
知ることは出来ないし
しばらく
忘れてしまいましょう

思い煩いすぎても
今の私に
分かることはない

思いつめたところで
今の私に
出来ることもない

そのうち答えは出るもので
希望を抱かず
悲嘆に暮れずに
しばらく
忘れてしまいましょう

忘れてた方が身のためなのです

どんな答えが出るにしても


(2005/10/26)

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雨の日の夜空

雨の日の夜は

薄明るくて

何かが待っているような

そんな予感に包まれている

灯りを点けていては見えない

窓越しの気配

遠い街の光も

明日の朝日の煌きも

聖母の微笑みに似せて

抱きしめている

柔らかい光を包んだ

雨の日の夜空

節操のない戦争

なにをしたかったの?
なにが欲しかったの?

なにを奪いたいの?
なにを裁きたいの?

誰を探しながら
何千人殺すの?

ただ僅かのために
何万人が死ぬの?

ニュースが映さなくても
どこかで続いている

記事を見なくなっても
まだなお死に続ける

意味なんてないの
どんな戦争だって

意思を奪われても
人は生きているの

なにをしたいというの?
なにをのぞむというの?

幼い子が銃を
老人が剣を

それでなにを得るの?


戦車が花に埋もれ
錆びた銃が朽ちる

そんな日は来るの?
そこに人はいるの?

数千の趨勢

今この時この世界
背中あわせ
隣同士
裏表
似てるようで違う世界と
接している

数千の
数万の
幾つもの
流れ

たとえば
君のいる
君のいない
君のいた
世界

たとえば
夢叶い
夢破れ
夢見ていない
世界

幾つもの選択肢の中
選んだ世界

だから

引き返せなくても
いいんだ

秋ですもの

お腹が空きます
美味しいご飯を召し上がれ

頭が空きます
美味しい知識を召し上がれ

心が空きます
美味しい景色を召し上がれ

いっぱいいっぱい取り入れたなら
運動も一つ召し上がれ

たくさんの秋で
健やかな心と身体を
満たしましょ


(2005/10/25)

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死する旅人とオアシス

白い砂漠を船が行く

月の光に漂いながら

光る砂漠を船が行く

倒れ臥した旅人乗せて


燃える身体を濡らすのは

淡い月の雫だけ

渇いた喉を癒すのは

蒼い月の雫だけ

蜃気の描く夢のオアシス


その月さえも今宵はない

薄目のような切れ込みは

とうに空から落ちてしまった

滾る血のような夕焼けも

もはや色褪せ滴らぬ


黒い砂漠を船が行く

闇の波間で漂いながら

昏い砂漠を船が行く

息絶え果てた旅人乗せて

吐息の雨

吐息が白く昇って
涙の雨を降らす
濡れるあなたの背中
窓を開けて見送った

色づいた公園の並木
重たげに濡れて
俯いた葉の隙間
あなたを隠してしまう

祈るように見上げても
太陽は見当たらない
カーテンは閉ざされ
風にさえそよがない

遠ざかるあなたの姿の
残像だけを焼き付け
全てを拒んだ瞼
雨粒が吹き付ける

涙も拒む瞼を
雨粒が濡らしてく

さあ幸せになろう だって世界はきみに優しい

さあ幸せになろう
いくらでも幸せになろう

誰だって
どんな人だって

空に虹が架かったら
夜を星が流れたら
きみだって微笑むよ

美味しいご飯を食べたら
誰かが抱きしめてくれたら
きみだって嬉しいよ

赤ん坊の無垢な寝顔
輝きのあふれる笑顔

休息と一杯のお茶
充実を感じる瞬間

お風呂や布団の温もり
自分に贈るご褒美

仲間と集まる宴
一人で楽しむ孤独

朝日が今日も昇って
空がとても青いこと

優しい羽毛の雲が
潤す雨を降らすこと

遠くに住んでる友の
思いがけない手紙

恋してやまない人の
待ちわびてた電話

きみが流した涙が
心に花を咲かすこと

きみが痛めた想いも
必ず糧に変わること

ほら幸せになろう
どこにでも幸せはあるよ

誰だって
どんな人だって

人生を織り上げて

ほぐれた時間をのばし
紡ぎ合わせて糸にした
幾筋もの経糸を
流れに任せて連ねてく

不意に翳る陽射しや
残像を残す流星
閉じた瞼の裏や
遠く駆けてく足音

あの日流した涙も
言いそびれた言葉も
置き忘れた温もりも
ほどけてしまった指も

全てを横の糸にして
想いに任せて織り綴る

無心に近い心持ちで
自然に任せて織り上げる

いろいろの花咲く布を
さまざまの文様の布を
裸の上に巻きつけて

これが私の生きてきた時間

これからも私が生きていく時間

人を笑う者よ

夢を持つものを笑え

愛を待つものを弄れ

美を追うものを屠れ

明日を負うものを躙れ

世界を担うものを蔑め

未来を望むものを嘲れ

人を信じるものを憐れめ

己を恃むものを憂え

そして

そうすることの

無為に気付け

何も生み出さぬ

愚かさに気付け

コサージュつけた猫さ

天気がいいからさ

お散歩に行くのさ

風も吹いてないし

空気が澄んでるし

おはようさんです

鳥と会話を交わす

行き先なら足任せ

太陽と打ち合わせ

枯れ葉がかさこそ

胸の上にようこそ

誰もが誉めてるさ

コサージュつけた猫さ

たとえば

たとえば
私が手に乗るほどの
小さなウサギのぬいぐるみなら
あなたの右のポケットに

たとえば
私が空を飛んでいく
小さく綺麗なチョウチョだったら
あなたの胸のブローチに

たとえば
私が打ち上げられた
小さな白い貝殻ならば
あなたに届く手紙の中に

必要ないような顔をして
あなたの近くでひっそりと

なんでもないような顔をして
あなたの日常に色を添えたい

たとえば
私が包み込むほど
大きな愛情を花束にしたら
あなたを埋め尽くしてしまうから

ほんとになんでもない顔で
あなたのことを愛しています

ばかっぷる

特別
綺麗なわけでも
優しいわけでも
スタイルいいわけでも
ない

とりたてて
金持ちでも
天才でも
セクシーでも
ない

趣味も合わない
好みも合わなければ
休みも合わない

口は悪いし
素っ気無いし
優柔不断で
そのくせわがまま

三度に一度は
返事をサボるし
月に一度は
機嫌が悪い

なのに
なんでだろう

それでも
きみがいい

きみじゃなきゃ
いやなんだよ


そう言ったら

ちからいっぱい
殴ったあとで

ちからいっぱい
キスをくれた


(2005/10/19)

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結婚と恋と追いかけっこ

つかまえて

つかまえないで

つかまえて

あなただけのものでいたいのに

あなただけのものになりたくない

あなたを愛していたいのに

あなたの全ては愛せない

つかまえて

つかまえないで

つかまえられる

まるであなたとあたし

追いかけっこをしてるみたい

まるであたしの中で

追いかけっこをしてるみたい

誰が誰を追いかけてるの

誰が何を追いかけてるの

つかまえて

つかまえないで

つかまえて

恋のように緊張していたいから

それでいいなら

追いかけて


ときには模様替えをしたりしながら

いやなこと全部
消しゴムで消し去って
まっさらの場所に
楽しいことを
書いていけたら

つらいこと全部
掃除機で吸い込んで
まっさらの場所に
好きなことを
置いていけたら

人生はきっと
もっと住みやすかったけど

そんなわけにもいかないから

せめて
お気に入りのペンで

せめて
お気に入りの家具で

人生をレイアウトしてみる


(2005/10/19)

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駆け巡る妄想とふざけっこ

こんな寒い夜は

紅葉越しに光る
月明かりを受けて
揺れるお湯の中で
のんびりしてみたい

時折舞い落ちる
夢がお湯を染めて
鮮やかな錦絵を
肌の上に描く

そんなお湯の中で
のんびりしてみたい


こんな寒い夜は

湯気よりもなお白い
降りしきる雪を受けて
熱いお湯の中で
のんびりしてみたい

時折舞い上がる
花がお湯に香り
涼やかなそよ風が
火照る頬を冷やす

そんなお湯の中で
のんびりしてみたい


こんな寒い夜は

どこかの温泉に行きたい

奇譚の行方

もう誰も失くした夜の中で
私は息を潜めて眠っている
あなたの傍に隠れた薄闇の雫
滴る音に気付いて

ああ孤独が凍えた風の中で
私は記憶のように眠っている
あなたの影に溶け込む漆黒の声音
呼んでる声に気付いて

私達はここにいるのよ

誰も知らない
誰も聞かない

それなら私達はどこにもいないの

そんなことない
ここにいるわ

あなたの目の届かぬ場所で


そう忘れた振りした不思議の中で
私は不在のように眠っている
あなたの胸に隠れた恐怖の調べ
彷徨う影に気付いて

幻でいい
間違いと言われてもいい

私達はここにいるのよ

幻と言われてもいい
間違いでもいい

いないと言われてもいい
気付いてさえくれるなら


ああ時代の砂に埋もれた
私達の名を

夢景散文詩

ひとりきり川べりを歩く
どこか鄙びた景色の中を
子どもたちが水と戯れ
魚のように飛沫を上げる
古ぼけたバス停の
草臥れたベンチには
生まれた時からずっと
眠ったままのような猫
寝ぼけたような音を立てて
バスはただ通り過ぎていく
全ての輪郭が曖昧な
道端の雑貨屋では
どれも埃を被ったように
薄暗さをまとっている
詰まらなさそうな老婆が
軒先の向こうへと視線を飛ばし
歓声を上げている子どもたちを
見るともなしに見ていた
暑くもなく音も遠い
ただ眩しさだけ残る
夏に似た風景の中で
私は何かを見つけて
見つけたものが何か
分からぬままに目覚めた


空閨と畜犬

独り寝の寂しき閨に夜満ちて

竹林を揺らす風の音を聴く

蒼く際立つ遠き山々

遠吠える者の哀しき響き

かつて枝を分けし銀色の獣

かの狼を憶えて鳴くか

彷徨いこんだ幻の犬に

独居の庇を貸して眠ろう

タイトル縛り開催中

と、いうわけで、このカテゴリ久々に使いました(笑)

今、タイトル縛りをやっております。お気づきの方いらしたでしょうか。
「あい」「いう」「うえ」「えお」〜という始まり方をするタイトルをつけております。

しかも。

語尾も「あい」「いう」「うえ」「えお」〜という終わり方をしております。

とはいえ、これ、非常に無理がありまして(笑)
「えお」はどちらも「えを」となっておりますし、今後、間に母音を挟むとか撥音、促音が加わるとか、そういうことになるかと思います。
「かき」が「かーき」になったり、「かんき」になったり、「かっき」になったりする、ということですね。

さて、どこまでできるやら(笑)

だれもみな

人と違っていいじゃない

人と違うからいいんじゃない

隣に座ったその人が

目の前に立つその人が

そっくり自分じゃ怖いじゃない


誰もがみんな違うから

それを個性と言うんじゃない

違うのが当たり前だから

差別の理由にならないじゃない


人と違っていいじゃない

人と違うからいいんじゃない

言葉を発したその人が

答えを返すその人が

まったく自分じゃつまらない


誰もがみんな同じなら

何も得るものなんてないじゃない

誰だってみんな違うから

世界は築けていくんじゃない


人は違うからいいんじゃない

菊花茶が優しく効く

風邪の引き始めで
少し疲れた身体は
休みを欲しがるけど
いつもいつでも
休めたりしないから

パソコンに向かい過ぎて
少し乾いた瞳は
休みを欲しがるけど
今はちっとも
休む暇はないから

世間と闘い続けて
少し荒んだ心は
休みを欲しがるけど
いつでもどこでも
気を許せたりしないから

ほんの少しだけ
時間をつくりましょう
優しい花の開く
菊花茶を注ぎましょう

そして一息ついたら
また歩き出しましょう

いつか花開くように

花器に恋した消火器

花のある君は素敵で

気高くて澄ましていて

世界に唯一つきり

規格品の僕とは違う

まるでそもそも器が違う

僕は年中顔を赤くして

中身もずっと同じまま

凛と輝く青磁の君は

いつもいろいろの花を抱えて

美しい肌に映えるかのよう

陰の僕など及ばぬほどに

人目に付くほど誇って笑う


だけどある夜

小火が起きたら

僕はたちまち活躍するよ

花を揺らして動揺してた

君の上にも消化剤ひと吹き

ずっと遠かったいとしの君に

ほんの僅かだけ想いを告げて

僕はそのままリサイクルの輪


中身はずっと同じままだし

使うときなら一回切りだし

役目を終えたら別の場所だけど

たとえば中身が変わっても

この外側は同じまま

君を想った僕の心も

変わらないままと

赤色に誓うよ


知らない家の片隅で

僕はぼんやり外を見ながら

君の事を思い出す

いつでも花を絶やさなかった

美しい君を思い出す

花鳥風月唯我在り

花 散 臥 白 埋

鳥 啼 座 黙 睡

風 吹 煙 靡 静

月 照 光 陰 沈

唯 我 而 中 在

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お帰りなさいを言おうか

モウダメダ

ツライ

クルシイ

シニソウダ

弱気な君に

お帰りなさいを言おうか

滋養のある食べ物

あたたかい布団

適切なお薬

それから

看病するわたし

つらいカラダも

くるしいココロも

看てくれる人が

必ずいるよ

君のため

お帰りなさいを言おう

絵を描くように前を

一枚の画布に
写し取るように
今日という日を
見つめていたい

晴れた空の遠さや
冴え渡る風の冷たさ

色づき始めた木々や
いとけない子の歓声

なんでもないような
特別な一日

絵を描くように前を
見つめて歩いていこう

どんな一日だって
同じ景色じゃないから


ヒミツの僕ら

きみの冷たい指先を
つかまえた

空は快晴
風は透明
僕らの足は
秘密を目指す

凍える前に
もう一歩
僕の横においでよ
絡めた指よりも
もっともっと
あたためてあげる


きみの震える唇を
つかまえた

外は快晴
時は透明
僕らは互いの
秘密を目指す

溺れる前に
もう少し
僕の傍においでよ
啄ばむ唇より
もっともっと
震わせてあげる


恋は破壊性
きみは聡明

愛は意外性
僕らは共鳴


蕩けるために
もうずっと
僕の腕においでよ

秘密は
僕らの腕の中


(2005/10/17)

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上を向いて向こうへ

上を向いて歩こう

嬉しくても
哀しくても
楽しくても
悔しくても

その顔
俯いて隠してたら

もったいないよ

誰かの顔も見えないままだし

自分の顔誤解されてしまうから


上を向いて歩こう

困難でも
怖くっても
冒険だよ
発見だよ

その道
俯いて歩いてたら

もったいないよ

歩いた道も知らないままだし

自分の影しか目に映らないよ


上を向いて歩こうよ

そこに何かが見えるから

上を向いていこうよ

この道越えてその向こうへさ

飴玉

かつて
ふたりが交わした恋は
まるで
口の中でいつまでも
溶けてなくならない
飴玉だった

甘くて
まるくて
なめらかな

でも
甘いだけで

飢えは満たせず
時に邪魔で
喉を塞いだ

吐き出すように
あの恋を
捨ててしまったふたり

溶けてなくなる
束の間の恋の中

ときおり
あの飢餓感を
思い出す

あの
幸福な甘さを

思い出す


(2005/10/13)



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言うという勇気

本当は言いたくないことも
本当に言いたいことも
口にするのは難しい

だって
全ては伝わらない

だって
受け入れられるとは限らない


そっと離れられてしまったら
そっぽ向かれてしまったら
口にするのは恐ろしい

だって
分かってもらいたい

だって
それを望んで言うわけじゃない


言葉は取り戻せたりしないから

口にするのは難しい


だけど
言いたい言葉があって
伝えたい気持ちがあって
口にしないのはもどかしい

だから

言うというのは勇気がいるけど
口にするのを諦めないで

伝えるために言葉は生まれた

有給休暇

ふだんなら
机に向かってる時間に
外に出て
お買い物してたりする

いつもなら
窓の外眺めてるのに
外に出て
散歩してたりする

なんでもない一日だけど
ちょっと特別

なんともない一日だけど
ちょっと不思議

ほんとなら
仕事してる日なのに
外に出て
のんびりとしてたりする

そんな一日

相槌と愛情

なんでもないこと

どうでもいいこと

だけど

あなたに話したいこと


なんともないこと

どうにもならないこと

だけど

あなたに聞いて欲しいこと


抑えきれないこと

あふれだしちゃうこと

だから

あなたに伝えたいこと


教えきれないこと

あまり意味のないこと

だけど

あなたに分かって欲しいこと


口にするから

声に出すから

少し耳を傾けて


口にしたなら

声に出したら

相槌を打って欲しい


聞こえていること

会話であること

それを

示して欲しいから

孤高の階段

光溢れる階段に

木の葉が蒼く映り込む

高く孤独な小窓から

冬の太陽が降り注ぐ

静かに歪んだ階段で

光の粒子が舞い踊り

窓の向こうを横切った

鳥の羽音が駆け上がる

華奢な手摺りは折れ曲がり

朝の匂いを漂わせ

踊り場の隅に佇んだ

爪先立ちの夜を呼ぶ

夢の足音が段を踏む

光溢れる階段は

忘れ去られた絵のように

孤高の顔で澄ましてた


旅人

あたしたちの旅は
あてもなく
はてもなく
どこまでも
いつまでも
続いてく

風が吹くから流されて
雨が降るから留まって
月が昇れば月の道
星が降るなら尾に乗って


あたしたちの旅は
あてどなく
とめどなく
どこまでも
いつまでも
続いてく

船があるから海へ行き
駅があるから汽車に乗り
雲が浮かべば雲の舟
何もなければこの足で


あたしたちは旅を
あるがまま
なすがまま
どこまでも
いつまでも
続けてく

恋の散歩道

澄んだ空気の中で
寒いねと
きみが呟いた声が聞こえる
落ち葉を踏む音にまぎれて
指に息を吹きかけている

見上げた空から
舞い落ちてくる
色とりどりの木の葉と
光の粒
受け止めるように広げた腕で
冬の気配を抱きしめて
きみは少し微笑んだ


冷たい指先からめ
寒いねと
きみは笑って握り締める
降り注ぐ陽射しにまぎれて
二人の指が熱を分け合う

見上げた空から
舞い降りてくる
雲の変じた羽と
光の粒
受け止めるように閉じた瞼で
冬の気配を感じ取り
きみは少し微笑んだ


肩が触れるほど近づいて
寒いねと
僕たちは笑って囁きあう
木枯らしのいたずらにまぎれて
頬にそっと唇で触れる

見上げた空へと
舞い上がっていく
交し合った視線と
言葉の粒
解き放すように開いた唇で
恋の気配を羽ばたかせ
きみと少し微笑んだ

海辺の町

誰もいない
海辺の町

夜が行って
朝が来ても
目覚めの歌が
打ち寄せても
誰もいない
海辺の町

貝の殻が
砕けて散って
辺りを白く
埋め尽くしても
誰も見ない
光の町

潮騒が
寄せて返して
松を渡る
風が吹いても
誰も聞かぬ
静かの町