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ホテルの最上階のバーで
金木犀の酒を飲んだ
何杯も飲んで店を出たら
地上へ上る階段があった
「キンモクセイは間にチカがあるからね」
涼しい顔でバーテンダーが言った
背後には銀河が広がっていた



ジギタリスと呼ばれた少年が
黒地に銀で箔押しされた本をくれた
必要になったら開いてよ
そう言われたがすっかり忘れていた
ある日何気なく開くと最後のページに
愛していたよとだけ書かれていた
ああ現在進行形の間に読むべきだったんだな
皺だらけの手で本を閉じて永遠の眠りについた



乗ってきたはずの車が見当たらない
リモートのキーを持っていたので操作すると
誰かの家の車庫で反応があった
私の車とは似ても似つかぬ緑の車
こじ開けてキーをねじ込んで帰った
翌朝見ると車は蔦で覆われた私の車だった
窃盗犯にならずに済んだ



なぜだか穴にはまっている
よく見ると輪っかにはまっている
浮き輪のようにはまっている
しかも浮かんでいる
隣にやたらに大きなショートケーキが流れてきたので
自分の身体を見下ろしてみると
ドーナツの中にはまっていた
空腹を憶えたが
輪の中に腕も一緒にはまっていたので
通りすがりにケーキのクリームだけ舐めた



列をなした人が延々と階段を降りている
私もその中の一人になって降りている
上を見ても下を見ても階段と人
暫く並んで歩いていたが
飽きてしまったので足を止めた
途端に目の前の段が緩んで溶けた
階段は人が踏み固めるものだよ
怒ったように後ろの人が言って私を押した
ずぶずぶと埋まった私の横を
また延々と人が降りていく



夜の墓地にいる
墓の上に座っていると
カラスがやってきて突付いた
何をすると怒ると
おまえこそ何をすると怒られた
墓の上には巣が乗っていた
おとなしく墓の中に戻った



夕焼けが美しいので
草原の丘で見蕩れていると
後ろから何かの気配がする
とっさに飛びのくと
大量の羊雲が夕日に飛び込んでいった
羊飼いが隣に立って
今から夢の入り口に行くんだよと教えてくれた
あなたは行かないのかと問うと
羊飼いは一匹とは数えないからねと笑われた



目の前をウサギが通った
見ていると戻ってきて怒る
古来よりウサギは追うものだ
仕方がないので付いていくと
案の定穴に落ちてしまった
落下の感覚が嫌いなのに
嘆く私と白いウサギは
落ちていく
落ちていく



靴屋の前を通ると
閉店セールをやっていた
窮屈鬱屈退屈
洞窟巣窟魔窟
小理屈屁理屈偏屈
なんだか奇妙なものばかりで
なるほど潰れるわけだと思った
発掘を一足買った



バーで飲んでいると
○が探し物をしていた
フルートを探しているんだ知らないか
トランペットやクラリネットなら知っていると言うと
それには俺の居場所がない
背後には銀河が広がっていた
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2006.10.20 Fri l 花膳 l コメント (7) トラックバック (0) l top
疲れたときには
体を休めようよ

大きく伸びをしてさ
蒼い空を眺めようよ

大きく息吐いてさ
香る風を吸い込もうよ

仰向けに寝転んで
降り注ぐ陽射し浴びたり

うつぶせに寝転んで
草や土の匂いを嗅いだり

疲れたときにはさ
心を休めようよ

せっかくいい秋晴れの日だもん
2006.10.20 Fri l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top