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夕暮れが波のように迫って
胸の郷愁を駆り立てる
打ち寄せた漣が
溢れ出る涙になる

何も哀しくないのに
どこも痛くはないのに

なぜ
泣きたくなるのだろう


夕闇が音もなく近付き
胸の哀愁を掻き立てる
忍び寄る濃藍が
絡み付く蔦になる

何も探しはしないのに
どこにも行きはしないのに

なぜ
恋しくなるのだろう


星空が震えるように囁き
胸の幽愁を急き立てる
押し寄せる秒針が
刻み込む言葉になる

何も分からないのに
どこにも見つからないのに

なぜ
書きたくなるのだろう
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2006.10.03 Tue l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
秋人はいつもわたしと一緒

いつだって柔らかなものをくれる


しっとりと優しい抱擁

艶めく木の実に似た瞳

不器用な手先で空を指す


天空を翔ける鳥を見上げ

落ちてきた影の中で笑う

つかの間わたしたちは鳥の背から

世界を見下ろした気分になれる


鞄の中にはお茶とお菓子

降り注ぐ陽射しの河原へ行こう

出し損ねた手紙を飛行機にして

青空に白い線を描く


ご機嫌なわたしの隣で

秋人は静かに微笑んでいる

軽やかに身体を揺らしながら

太陽の浮かんだ水面に歌う


秋人はいつもわたしと一緒

ミルクティに似た秋色の

鞄についた小さなベア


44:秋人
2006.10.03 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top