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目が覚めたら異世界にいた
目の前には白髯の預言者
目にも眩い装備を一式
目に見えて鋭い剣一振り

口を開いた預言者が
口当たり良く言ってのける
口から出たのは淀みない言葉
口車に乗せられて勇者になった

鼻につくような村人の対応を
鼻であしらう同行者の魔術師と
鼻持ちならない学者の男
鼻を明かそうとどんどん進む

耳障りな自慢話の学者と
耳を塞いだ魔術師の声が
耳鳴りのように呪文に変じ
耳元で聞いた手がかりがかすむ

眉唾物の噂話と
眉を顰めたいような話の数々
眉を開いた二人の連れは胡散臭そうに
眉に火がついたと足を速める

頬を染めてる異国の姫が
頬杖をついた魔術師に迫る
頬返しのつかぬ彼を横目に
頬笑みながら置いてけぼりした

顔を合わせた最大の敵は
顔見知りの筈の誰かに似ている
顔から火が出た魔術師も揃い
顔つきを変えて戦いの火蓋

歯を食いしばった苦闘の後で
歯が浮くような学者の言葉
歯に衣着せず斬りつけかけて
歯の根も合わぬ寒さに気づく

舌先三寸の預言者の再来
舌を振るって雄弁に語る
舌先に丸め込まれぬうちに
舌を出して退散と行こう


目が覚めたら布団の中だった

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2006.09.22 Fri l 花膳 l コメント (5) トラックバック (0) l top
この池が凍れば
貴方に会いに行きます
伸ばした黒髪くしけずり
雪と紛う白絹の着物着て
鮮やかな紅さして
貴方に会いに

この池が凍れば
渡って会いに行けます
北風に黒髪なびかせて
吐く息白くけぶる霧となり
喜ぶ頬に赤み差し
貴方に会いに

中途まで歩けば
貴方が会いに来るまで
夜が黒く塗りつぶしても
雪より白い姿のまま
紅い唇に笑み乗せて
貴方を待って

やがて薄き氷が割れて
そこへ導くでしょう
頭上には巨きな冷たい鏡
自身の姿映して微笑むでしょう
底で微笑むでしょう
貴方が見蕩れるよう

この池が凍れば
貴方に会いに行きます


36:氷鏡
2006.09.22 Fri l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top