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遠い遠い昔の話

昨日のことみたいにして

思い出や記憶の欠片

まるで今起こったみたいにして

苦しみも哀しみもみんな

喜劇仕立てみたいにして

あたしたち

どんなにおばあちゃんになっても

笑いながらお茶を飲んでる

友達でいられたらいいね
2006.09.15 Fri l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
少し冷える朝には
桂花茶を飲もう
金木犀の香りの
優しく甘いお茶を飲もう

暖かな湯気とともに
部屋に満たされる
丸みを帯びた空気の
優しい甘さに身を委ねよう

窓の外には灰色の雲
羽毛布団の軽さで
街を包み込んでる


肌寒い夜には
あたたかいお菓子を作ろう
桂花茶のシロップに
優しい白い団子を浮かべて

たくさんの花とともに
器に満ちている
丸みを帯びた白玉の
優しい甘さに身を委ねよう

窓の外には静かな小雨
子守唄のリズムで
街を包み込んでる


少し寒い日には
桂花茶で

優しく甘い香りで
部屋を包み込もう



30:桂香
2006.09.15 Fri l 花膳 l コメント (4) トラックバック (0) l top
聖人君子なんかじゃないからさ
売られたら買うくらいの用意はあるよ
慈悲を垂れるほどえらくもないしさ
堪忍袋の緒だって切ってもいいよ

二度あることは三度って言うね
歴史じゃなくても繰り返すんだね
仏の顔は三度って言うね
あいにくだけれど仏じゃないよ

八方美人を自称するけどさ
見落とす方角もなくはないしさ
上手の手から水が漏れるなら
あたしなんて取りこぼしまくり

オトナになりたいと思っちゃいるけど
無礼な奴に良い顔したくないよ
おとなげないなと分かっちゃいるけど
非礼な振る舞いに振り回されたくないよ

悪いけど
他所あたってくんない?
2006.09.14 Thu l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
その回廊を抜けると

あとはもう

誰もいない中庭だけだ

館の主はすでに

遠い異国へ旅立っている


涸れ果てた噴水に

鳥の羽が

色褪せぬまま残されている

手にした剣はもはや

光を失い錆び付いている


赤い緞帳の向こうで

看客が一人

物語の行方を見ている

語られる流れの先

佇む人影はそれを知らない


天幕が廻って月が昇る

銀の紙は

跳ね返して辺りを照らす

遠く貼り付いた塔

舞台の裏から歌が聞こえる


見返った主役が庭を

あとにして

書割の彼方を目指す

伝説にさえ似せて

その先は別の話だが


回廊と中庭を残して

あとはもう

緩やかに幕が下りていく

舞台の主はすでに

別の物語を歩んでいる



29:回看(回リ看ル)
2006.09.14 Thu l 花膳 l コメント (1) トラックバック (0) l top
佳月在り 冴え渡る空

嫋嫋たるは虫の音を運ぶ風

はや夢が帰期を告げる夜半

独り微酔で臥せ寝る寓に



空には遮るものがない
ただ白く光る月だけが
静かに夜を照らしている
切なげに啼く虫の声を
さやかな風が連れてくる
独り酒を呑みながら
ほろ酔いで眺めている景色に
仄かに夢が混ざり戻る刻限を報せる
夢と酔いの柔らかなる褥を
仮寓に敷いて微睡みの中へ
あとはただ
月の光の滴る音のみを聴く


28:佳期
2006.09.13 Wed l 花膳 l コメント (4) トラックバック (1) l top
どこまでも歩きつづけた
汚れたサンダル
足の甲に血が滲む
引きずらないように
偏らないように
まっすぐ平気な振りで
歩きつづけた

いつまでも歩きつづけた
熱を持った指先
割れた爪に泥が詰まる
痛がらないように
憐れまないように
まっすぐ平気な振りで
前を見つづけた

ここで足を止めたら
二度と動けなくなると
鈍く痛む足で
大地を蹴りつづける

どこまでも歩きつづける
辿り着くまでは
いつまでも歩きつづける
倒れ臥すまでは

汚れたサンダルで
ずっと
2006.09.13 Wed l 花膳 l コメント (6) トラックバック (0) l top
不思議にあなたの夢を見る
火曜日のわたし
目覚めてもなお
隣に気配だけ残して

無造作に活けた花
窓辺に置いたグラス
硝子越しに朝日を浴びて
部屋の中を水と光で満たす

天井で揺れる光に
夢の残滓が過ぎる
続きを見ていたくて
閉じた瞼にも光


遠ざかるあなたの夢を追う
火曜日のわたし
どこだってもう
行かれない世界はないけど

無秩序に並んだ街
身軽に跳ねる月面
鏡越しに姿を見ても
プディングに似て喉を滑る

覚醒に揺れる背中に
夢のしずくを垂らす
続きが見当たらなくて
閉じた瞳にもしずく


あなたの夢を見ている
火曜日のわたし

目覚めてもなお
それだけを覚えている



「火曜日の夢」
2006.09.12 Tue l 贈花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
どうしようもなくて
奈落の底に落ちていく
醜い気持ちとともに
なんとも出来ずに落ちていく

縋るものもなくて
名前もなしに落ちていく
見難い世界の中を
なんにも出来ずに落ちていく

堕ちていく
墜ちていく
どこまでも落ちていく

落ちるしかなくて
失墜感に身を任す
住み難い日々の波間を
なんともなしに落ちていく

いつか激突する日まで
やがて砕けるその日まで


27:無奈(奈ントモスル無シ)
2006.09.12 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
指輪に大きな
クランベリー隠して
耳元に揺れる
ラズベリー隠して
あなたに会いに行くよ
甘酸っぱい香りを連れて

お財布に一枚
コインチョコ隠して
筆箱に一本
キャンディーバー隠して
あなたに会いに行くよ
甘い甘い恋心連れて

唇にハチミツ
指先にオレンジ
優しくキスをしてね
私ごととろけるほど

胸の中きらめく
恋のハート隠して
瞳の中ゆらめく
甘い炎隠して
あなたに会いに行くよ
大好きと言葉を連れて
2006.09.11 Mon l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
可愛い小悪魔

上目遣いで

拗ねた口調で

甘えてみせる


小憎らしいけど

小面憎いけど

それさえ含めて

可愛い悪魔


きみのその

溢れる笑顔を見たいから

きみのその

喜ぶ声が欲しいから


可愛い小悪魔

ぼくらいつだって

振り回される

楽しげに
2006.09.11 Mon l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
月の上

ふわふわと歩く

頭上に浮かぶ

青い星に手を振って

君に合図を送ってみたよ

毎日

カーテンを少しずつ開けて

開ききった窓から

君の窓に光を送る

毎日

カーテンを少しずつ閉めて

締めきった窓には

鍵をかけて散歩さ

月の上

くるりと宙返り

足元に見える

青い星に投げキスして

君に合図を送ってるよ



26:歩月(月ニ歩ム)
2006.09.10 Sun l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
疲れちゃったら休みなよ
ぼくがフォローできるわけじゃないけど
疲れちゃったら休みなよ
正直最低生きてりゃいいじゃん

今日が駄目でも明日があるし
今期が駄目でも来期があるし
今は無理でも次があるよ

試験も仕事も恋愛も
駄目になっても死にはしないよ
夢も希望も願望も
立ち消えちゃっても死にはしないよ
だけど疲弊は人を殺すよ

疲れちゃったら休みなよ
心も体も休めなよ
そこから新たに歩けばいいじゃん



(2005/08/08)
2006.09.10 Sun l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
楽しいことは
あっという間
瞬きのように
あっけない間

だけど記憶は
思い出は
長い間
刻まれて

私の宝になるんだ
2006.09.09 Sat l 花膳 l コメント (4) トラックバック (0) l top
真っ青な空の下を
どこまでも遠くまで行こう
空に線を引いた
飛行機雲に沿って
ここではない場所を
目指して歩いてたら
いつのまにか
たどり着くかも

季節も
時間も
すべてを
擦り抜け
ここから
どこまで
いつまで
いつまでも

白い波間に浮かぶ
緑溢れる小島に行こう
海を開いて渡る
おもちゃの船に乗って
誰もいない場所を
目指して進んでたら
思いがけず
たどり着くかな

昨日も
明日も
すべてを
忘れて
ここから
どこまで
いつまで
いつまでも


雲が生まれる場所を
探しに行こう
波が始まる場所を
目指して行こう

そこには
きみがいるかも

儚い
切ない
すべてを
抱えて
ここから
そこから
いつまで
いつまでも


(2005/08/04)
2006.09.09 Sat l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
あれは持った?

それは入れた?

忘れたものはないかしら?

持ってかなくていいものはないかしら?

持ち物リストをチェックして

出かける時間をチェックして

いざとなったら

チケットとケータイとお財布

それだけあれば何とかなるけど

大丈夫かな?

大丈夫よね

旅行の前夜はちょっぴり不安

あれとこれとそれからこれを

それからええと

早めに寝よう
2006.09.08 Fri l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
あたしは夜を歩く

あたしは夢を渡る

灯りの消えたきみの部屋

ベッドに眠るきみの夢

街灯の光が生み出した

一層暗い闇の中で

きみの窓を見上げたら

欠伸のように揺らめいて

影だけ残して夢の中


あたしは夢を歩く

あたしは夜を渡る

光に満ちたきみの夢

変幻に変わるきみの顔

刻まれた記憶が生み出した

非現実な不思議の中で

きみの隣に現れて

昨日のように揺らめいて

謎だけ残して次の夢


あたしは夢を渡る

誰かの夢を渡る

悪夢の霧も揺らめかせ

光を残してまたいつか


25:客夢
2006.09.08 Fri l 花膳 l コメント (4) トラックバック (0) l top
切手と式は
暮れていく夕空を見ている
青みがだんだんと抜けて
でもまだ
赤くなるには早い
白に近い空

秋だねえと式が言えば
手紙を書かなきゃと切手が言う
秋は手紙を書かなきゃダメなんだ

早くなる夕暮れの速度を式が呟く
切手は額面の数字以外に興味はない
けれど夕暮れの訪れは感じる

うっすら柔らかくなった陽射しを
切手も式も見上げている
夜になれば
夜になれば長い長い孤独が来るのだ

誰といても
何処にいても

それを切手も式も知っている

ぽっかりと浮かんだ白い月には
切手も夜も憧れている
切手は月に宛てる文面を
式は月の自転と公転を計算しながら
見蕩れている

満ちていても
欠けていても

月も切手も式も問題ないという顔で

風が吹いて
速度を計算した式が飛ぶ
鳥が鳴いて
便りを聞き付けた切手が行く

あとには

夕暮れと白い月
2006.09.07 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
まるで自分じゃないみたい

心と体が一秒ずれる

宇宙遊泳をしているような

もどかしさの感覚


小さな恒星を呑み込んで

体の内側に熱が生まれた

全てを脱ぎ捨て飛び込みたい

息苦しさの心地


視線に錘をつけたように

照準の定まらない瞳

天空で見た遥かな星のように

掴めない遠近


月がゆるりと欠けても

星がわずかに揺れても


ぶれたままの私じゃ

きっときっと気づかない


宇宙空間に放り出されたような

心許なさの具合
2006.09.07 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
指先から崩れていく

ほろほろと砂のように

さらさらと砂糖のように


天辺から倒れていく

がらがらとバベルのように

ぐらぐらと地揺れのように


足元から這い寄ってくる

そろそろと悪夢のように

ふらふらと夜風のように


背後から被さって来る

わらわらと声音のように

はらはらと時雨のように


今ここで

倒れ臥したら

跡形もなく消えるだろう

私のいた証など


瞬きさえ壊れていく

うらうらと日和のように

もろもろの呪いのように


今ここで

倒れ臥せたら

跡形もなく消えてもいい

深い眠りと引き換えに
2006.09.06 Wed l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
夜を煮詰めて
硝子に溶かして
凍りつくほど冷たく
こごらせた
このペーパーナイフ

恐ろしいほど凝縮された
夜の紫色に白い星が散って
まるで瑠璃に似た
このナイフ

手紙を開けるためのものではなく
言葉を切り裂くためのものではなく

夜を引き裂くためのものでもない


このペーパーナイフは
光を断つためのもの
昼を
清潔なほどに明るい昼を
侵蝕するためのもの

あなたが夜を望むなら
あなたが闇を望むなら

どうぞ
お持ちになるといい


けれど
白い星は一つずつ消えていく
全て無くしてしまったら
それはもう夜ではない

心の闇が溢れ出す前に
胸を裂くしか法は無い

単純なほど簡単なこと

そのナイフは
その夜に潜む紫は

蒼と紅の混ざる色
夜と血潮が溶けた色



24:凝紫(紫ヲ凝ラス)
2006.09.06 Wed l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top
お茶をしよう

こっそり仕事を抜け出して
ちょっぴり授業を抜け出して

お茶をしよう

ほんのり甘いお菓子とともに
ふんわり香る湯気とともに

話をしよう

のんびり時間を手に入れて
ゆったり空間を手に入れて

話をしよう

しんみり積もる想いとともに
じんわり浮かぶ笑顔とともに


たまにはね

お茶とお菓子とそれから話
針がぐるりと回転するまで
2006.09.05 Tue l 花膳 l コメント (4) トラックバック (0) l top
森に消えていく
蒼い蝶を追って
迷い込んだ裸足の
肌が疵付いて濡れる

昏く湿る木々の
囁き声が落ちる
道無き道の森に
蒼い燐粉が光る

いつか夜が忍び
森の闇は重い
針穴の如き隙間に
白い月光が覗く

やがて夜は去りて
尚も蝶は遠い
木々の息吹が白く
行く手を染め上げていく

残像だけを遺す
蒼い蝶を追って
彷徨い込んだ記憶の
殻が疵付いて揺れる



23:残蝶
2006.09.05 Tue l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
あなたの

好きなところを

一つ一つ挙げていく

数え切れない愛情を

一つ一つ挙げていく


見落としそうな些細なことも

見過ごしそうな微細なものも

一つ一つ挙げていく


あなたの

好きなところを



いつか数え尽くすまで



22:数尽(数ヘ尽クス)

2006.09.04 Mon l 花膳 l コメント (3) トラックバック (0) l top
痛いことを
我慢しちゃうのはなぜ
声をあげて泣いた
あの幼子に戻りたい

もうオトナなのよと
言い聞かせるのはなぜ
痛いのを痛いと
言えない必要があるの?

顔が真っ赤になるほど
声が嗄れてしまうほど
泣いてみてもいいの

こらえなくていいの


欲しいものを
諦めちゃうのはなぜ
手足をふんばってごねた
あの幼子に戻りたい

欲しくなんかないわと
取り繕うのはなぜ
欲しいのを欲しいと
言わない理由があるの?

頑是無いと言われるほど
らしくないと笑われるほど
駄々をこねてもいいの

欲しがってもいいの


好きなものを好きだと
幼子のように口にしよう
全身で愛してると
言いたい説明が要るの?

心のままでいいの
感情の求めるままでいいの

我慢しないでいいの
オトナになるって我慢じゃないのよ
素直と我が儘は別だと
知ることがきっとオトナ
2006.09.04 Mon l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
青空に蹴り上げた空き缶は
虚しいほど澄んだ音で消えた
君のために買った花は
あっという間に枯れてしまった

僕だけが時間を止めて
来ないバスを待っている

星空に投げ上げた便箋は
哀しいほど潔く飛んで消えた
君のために書いた言葉は
あっけない間に涸れてしまった

回送バスに乗り込んで
思い出だけが過ぎていく


回想バスの窓越しに
映る僕だけ消えていく
2006.09.03 Sun l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
大好きという気持ちを
どう伝えたらいいのかな

世界中の言葉で
表し尽くしてもまだ足りない
いっぱいに広げた腕で
抱きしめてもまだ足りない

この大好きという想い

世界一の画家になっても
世界一の作家になっても
世界中を駆け巡っても
世界中に響く歌でも

まだ足りない


きみが大好き

きみが大好き

伝えきれなくて

キスをひとつ



                      (2005/08/02)
2006.09.03 Sun l 月々 l コメント (3) トラックバック (0) l top
いつか別の時

巡り逢えていたら

わたしたち

もっといいお友達になれたでしょうね


いつか別の時

知り合えていたなら

わたしたち

きっといい関係を築けたでしょう


だけど

わたしたち

ここでこの時に

出会ってしまったの

こうなるしかなかったのね


いつか別の時

間に合っていたら

わたしたち

ずっとこのままでいられたのでしょうね


だけど

わたしたち

ここでこの時に

溶け合ってしまったの

こうなるしかなかったのよ


後悔はしてないの

甘い甘い思いをしたから

悲嘆などしてないの

軽い明るい想いがあるから


わたしたち

美味しいお菓子になりましょうね



21:他時
2006.09.02 Sat l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
誰とも出会わないで
一人で生きてる人なんて
多分きっと存在しない

どこかの誰かに
厭な思いをさせられちゃったり
どこかの誰かに
浅く深く傷つけられたり

見知らぬ誰かに
よく知る誰かに
与えられちゃう痛みがあるよね

痛いことを我慢して
抱えちゃうのは厭だけど
他の誰かに廻してしまう
そんなことはしたくない

そんな連鎖は厭だよね


その逆だってきっとある
誰も傷つけないなんて人
多分きっと存在しない

どこかの誰かに
厭な思いを味わわせてたり
どこかの誰かを
知らない間に攻撃してたり

見知らぬ誰かを
よく知る誰かを
傷つけちゃってる自分もいるよね

傷つけたのが自分だと
認めちゃうのは怖いけど
他の誰かと生きていくなら
素知らぬ顔はしたくない

悪意の連鎖は厭だから


誰かと繋がるなら
嬉しいことで繋がりたい
誰かに繋げるなら
優しい気持ちを繋げたい

したくないことを
仕方ないよと
してしまうことだけは
したくないよね

厭な思いをしたときも
通り過ぎてく誰かの背中に
唾や飛礫を投げないで
出来れば腕を差し伸べて

そうして好意の輪を
繋げていきたい



(2005/08/01)
2006.09.02 Sat l 月々 l コメント (4) トラックバック (0) l top
驟雨に見舞われたので
逃げるように歩いていると
見知らぬ路地にいた
抜けた先は黄昏れている
世界なんてただ一歩で変わるのさと
誰かが呟いていた



八百屋の店先に
両手でやっとの
大きな桃が売られていた
食べようと皮を剥くと
笑い声とともに蜜が滴り
あっという間に呑み込まれた
疾うに旬は終わっていたらしい



魚屋の店主が
活きの良いトビウオがあるよと言う
見ると水槽に翼を持つ魚がいた
求めて放してやると
薄暗い空に消えていった
白い羽根だけが落ちてきた



神社の境内で一休みしていると
穢れは落とさねばならんと
宮司が言った
手水舎で口を漱ぐと
黒い何かが飛び出した
見極める間もなく
狛犬が食べてしまった



店先の窓を覗いていると
背後に女が映った
ずっとお慕いしていましたと
百年も前の女が言う
待つよりも生まれ変わってくれれば
抱きしめてやれるのにと
哀しく思った



蕎麦屋を見つけたので
入ってみると
店主を挟んで
狐と狸が喧嘩をしている
掛け蕎麦を頼んだが
言い合いに阻まれて
結局店主には通じなかった



花屋の店先で花束を選ぶ女がいた
どれがいいと思いますと
問われたので適当に選んでやった
お礼ですと
一輪の花を貰って暫く行くと
澄んだ音を立てて花が開いた
女に良く似た小さな少女が
お前じゃなかったのにと泣いた
悪いことをした



長い間探していた本を
古書店の店頭で見つけた
手にしようとした瞬間
どれがその本か分からなくなった
まだ暫くかかりそうですな
灰色の猫顔の店主が言った



骨董屋に入ると
顔の見えぬ店主が
銀色の小物入れを示した
開けてみると小指の爪ほどの拳銃がある
欲しいものに向けて引き金を引くらしい
ただし弾丸は己の心の臓の血だと言う
諦めたら銀のナイフをくれた



道の向こうに誰かがいたので
誰何してみると
お前こそ誰だと言う
答えようとしたが
己が誰なのか分からなかった
黄昏の中で
向こうにいるのも己だと
それだけが分かった
2006.09.01 Fri l 黄昏通り l コメント (2) トラックバック (0) l top
帰らない
帰れない
もう
そこには

朝焼けも
夕闇も
いま
過ぎてく

旅立つ孤独を
ポケットのなか
忍ばせて

どこまでも
いつまでも
ただ
歩いてく

心の求めるままに



20:不帰
2006.09.01 Fri l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top