打ち上げ花火に掴まって
月まで飛んでいこう
銀河を渡る船がほら
ぼくらを待って泊まってる
赤い赤い火星に行こうか
それとも不安な冥王星へ
いっそアンドロメダまでも
発着場から船出して
星まで漕いでいこう
星々を繋ぐ汽車がほら
ぼくらを待って停まってる
遠い遠い果てまで行こうか
それとも不思議なホールの中へ
いっそ時空を超えてまで
汽笛を鳴らして汽車が出る
どこまで乗っていこう
星系を跨ぐ夢がほら
ぼくらを待って止まってる
長い長い旅に出ようか
それとも青い故郷の星へ
いっそ気のまま足のまま
名も無い星まで行ってみようか
太陽忘れて行ってみようか
ぼくらを待って留まってる
夢の果てさえ超えてみようか
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雨の日には読書を
曇り空越し
降り注ぐ青い光の中で
雨の日には読書を
窓ガラス越し
水槽の中に潜むように
拡散した雨の光と
灯りをひとつ
雨の日には読書を
ページが指に馴染んで
隔たりがなくなるから
雨の日には読書を
水の中の私と
文字だけの世界が溶け合う
眩暈の青い光と
灯りの中で
19:青灯
ありがとうと
言える人でありたい
エレベータで待っててくれる人
次の人のために扉を支えててくれる人
路地から出てくる車に道を譲ってくれる人
落としたものを一緒に拾ってくれる人
レジでお先にどうぞと言ってくれる人
小さな心がけ一つで
世界は円滑になるから
ありがとうと
言える人でありたい
ありがとうと
言われる人でありたい
君を思って
時折
ビルの谷間で立ち止まる
君を想って
時折
交差点の中 立ち尽くす
君を懐って
時折
溢れる記憶に立ち竦む
日記にも
アルバムも無い
君との日々を
都会の片隅で
君のいたことの無い
この都会の片隅で
想い出持って
時折
忙しい日々を歩いてる
18:懐君(君ヲ懐ッテ)
褒めて
綺麗だと言って
素敵だと言って
可愛いと言って
凄いと言って
優しいと言って
頭良いと言って
格好良いと言って
褒めて
料理が上手だと
イラストが上手だと
お話が上手だと
運転が上手だと
運動が上手だと
話を聞くのが上手だと
人を愛するのが上手だと
褒めてやって
役者を殺すのは
褒め言葉だけど
あたしを生かすのも
褒め言葉なの
嘘でもいいけど
お世辞でもいいけど
自信持てよって
褒めてあげて
詩は魔力だ
ぴったりと符合すれば
誰かの心を捉えられる
泣いたり笑ったり
別の世界に連れて行ける
詩は魅力だ
いくつもの言葉が重なって
美しい調べを織り成す
何度だって心揺さぶる
別の世界を広げられる
詩は無力だ
言葉を限りに尽くしても
誰かの心に届かない
伝えようとすればするほど
詩であることから遠ざかる
詩は目力だ
この目で耳で鼻で肌で
心で感じたことを
誰かの目の前に映し出す
別の世界へ誘い込める
詩はモカだ
たとえばたった一杯の珈琲に似た
人生の休憩の一篇
滴り落ちるドリップに似た
人生の小さな波紋
17:詩魔
ビーズで作った花びらは
甘い香りはしないけど
ビーズで作った水滴は
零れて落ちたりしないけど
私の腕できらきらと
やさしい光を抱くでしょう
私の胸でさらさらと
やさしい歌を歌うでしょう
タオルで作った仔ウサギは
可愛く跳ねたりしないけど
タオルで作った白鳥は
空を飛んだりしないけど
私の腕にふかふかと
やさしい愛を見せるでしょう
私の頬にするすると
やさしい手触りをくれるでしょう
鉛筆で塗った海岸は
波が寄せたりしないけど
鉛筆で塗った青空は
雲が流れはしないけど
私の前でひらひらと
やさしい風にそよぐでしょう
私の指でくるくると
やさしい夢を見るでしょう
ビーズで作った花束は
けして香りはしないけど
タオルで作った動物は
けして鳴いたりしないけど
鉛筆で塗った草原は
けしてそよぎはしないけど
私の中でゆるゆると
やさしいホントになるでしょう
ようこそいらっしゃい
暑さに魂を抜かれた顔で
この通りに迷い込まれましたか
それもまた一興
お似合いの品がございますよ
月下秋花文様茶碗
秋の草花が
月の光の中
人恋しげに揺れております
手重りのするこの茶碗
ぽったりと冷たく
しっとりと馴染む
秋の風のような茶碗ですとも
これで茶を点て飲むならば
たちまちあなたは秋の中
これで酒酌み飲むならば
たちまちあなたは月の下
残暑厳しいこの季節には
なんとも似合いの茶碗でしょう
ただしひとつご注意あれ
これは秋の如き茶碗
独り居住まいの無聊にこそ
似つかわしい秋の野の夢
仙境の如き世界にあって
初めて見ゆる秋の野の夢
夢はいつか覚めるものと
相場が決まっておりましょう
けれど
夢を余所人が侵したならば
覚めるものとて覚めません
秋の野に咲く花の中
囚われてしまわぬよう
楽しむならば孤独のままで
そう
秋は物悲しくあるものですよ
16:如秋(秋ノ如ク)
メモに書いた
大事な言葉が
私の声だ
声に出した
小さな想いが
私の夢だ
夢に見た
不思議な世界が
私の素だ
素材を集めて
綴った話が
私の欠片だ
欠片は輝く
集まって煌めく
煌いて星になると
信じてる
いつかあなたに届く
光を放つと
信じてる
忘れじの海岸
眼下に見下ろすあなたに
谷底の声が
笑顔を誘う
双眸の哀愁
終焉の波音
大人びた願望
呆然と見送った
屈託のない日々
罅割れた記憶の
苦悩だけが残ったが
違えて消えた約束
束縛を厭うた
歌うたいのあなたは
戯言の溜息
生きるものに贈る
狂う夜の波間に
間に合わぬ涙を震わす
(2005/07/26)
生きていりゃ
いいことばかりじゃないし
息してりゃ
いやな匂いも嗅ぐけれど
いつだって
いっしょけんめいに
生きてれば
いずれ良かったと思えるさ
命を賭けるなんて
潔さそうだけど
いいかい
一個しかないんだよ
命を賭してなんて
粋に見えそうだけど
いっそ
いいカッコしいの台詞と思え
生きていりゃ
痛い思いもするけれど
息してりゃ
意外なこともあるけれど
いつだって
生きていたいと思うのさ
いつだって
生きてやろうと思うのさ
好きだといってくれて
ありがとう
素敵だと褒めてくれて
ありがとう
私は私で
小さくてささやかで
それでも誰かに
何かを分けられる
存在だって
気付かせてくれて
ありがとう
分かっていても不安になる
知っていても疑ってしまう
そんな時に
好きだといってくれて
ありがとう
気に入ってくれたりして
ありがとう
私が私で
いてよかったって
思えることにありがとう
思わせてくれてありがとう
ありがとう
私を見つけてくれて
(2005/07/25)
心の収まりが付かないので、文字にしてみることにしました。
私の言い分であり、私の都合であり、私自身を擁護する発言ですので、読み進めるに連れて、お気を悪くされる方もおいでだと思います。
以下に書く文章は、『私が書く作品のスタンス』であり、『私が思う作品の捉え方』です。
ここじゃない場所
きみじゃない人
探すために歩き出す
いまじゃない時
僕じゃない僕
出会うために歩き出す
心地よかった
掌の中の世界
快かった
卵の中のふたり
夢じゃない明日
楽じゃない日々
越えるために歩き出す
羽ばたくために
歩き出す
ゆめを見た
誰もいない
なにもかも
なかった夢
寒い風だけが
あたりを撫で
ただ風だけが
吹いて行った
動じぬ世界には
私などいなくて
どこかへ消えた
あとさえ残さず
たばねられた心は
かがやきを喪って
こわいほど閑かな
満たされぬ夢の音
たしかなものは無く
風の声が掻き消して
聞こえるものも無く
例えば目覚めも遠い
ただ閑かな静かな夢だ
15:閑夢
9歳の夏
あたしはウィルビーと一緒だった
白くて清潔な仔熊
お日様に会いに行くときも
月夜の夢路に行くときも
一緒だった
抱き上げてしまえるほど軽くて
抱きしめてしまえるほど小さい
なのに
抱きとめるかのように頼れるウィルビー
よく晴れた青空に目を細めると
睫毛に溜まった光の粒が見えることや
いきなりの夕立が訪れると
溶けた道路の上に白い雲が出来ることを
よく冷えた麦茶の入ったグラス
浮かび上がる水滴にいくつもの話があること
いきおいよく回る扇風機の羽根に
話し掛ける秘密の呪文があることを
あたしの膝の上で
あたしの腕の中で
教えてくれた
ふわふわの毛並みの
青い瞳のウィルビー
10歳の夏には
ウィルビーはいなかったけど
あたしは冷凍庫の白熊を食べながら
あの仔熊を思い出して探した
今でも覚えている
9歳の夏
あたしはウィルビーと一緒だった
14:九夏
夏が終わっちゃう
海に行かないうちに
肌も焼かないうちに
恋さえもしないまま
このままじゃ
まるで冷蔵庫の中
忘れられたアイスみたいに
スプーン投げ出しちゃうほど
かたくなになってっちゃう
賞味期限はないけれど
美味しく食べるなら
攻撃的な太陽の下で
ああ
夏が終わっちゃう
恋さえもしないまま
このままじゃ
まるでクロゼットの中
隠れたままのワンピースみたい
目を瞠るほど可愛くても
肌寒くなってっちゃう
大事に仕舞っているけれど
可愛く着こなすなら
魅力的な太陽の下で
真夏日が続くうちに
誰かあたしを蕩かして
誰かあたしを連れ去って
どんなに笑っていてもさ
おどけていてもさ
腹の中覗いたら
真っ暗だったりするんだ
どんなに仲が良くても
ふざけていてもさ
瞳の裏覗いたら
真っ黒だったりするんだ
だれだってどこかに
暗闇に通じる場所があるんだ
どんなに怒っていてもさ
まどっていてもさ
胸の中探ってみたら
静かな気持ちがあるんだ
どんなに嘆いていてもさ
ふさいでいてもさ
瞼の裏見つめたら
明るい光があるんだ
だれだってどこかに
青空に通じる道があるんだ
13:暗通(暗ニ通ズ)
お気に入りの曲の中
大好きな人と眠る
夢の中で
はぐれないよう
手をつないだままで
指先を通して
想いが伝わるから
気持ちが循環していく
鮮やかに溢れていく
穏やかな昼下がり
大好きな人と眠る
心の中
分かち合えるよう
額をくっつけあって
囁きを通して
想いが伝わるから
気持ちを交換し合う
緩やかに流れていく
心地よい匂いの中
大好きな人と眠る
二人の仲
邪魔されぬよう
頬を寄せ合って
温もりを通して
想いが伝わるから
気持ちが混ざり合ってく
心音が重なっていく
どこに行ってしまったのかな
迷い続けて今どこに
どこへ向かっているのかな
彷徨うばかりで今どこに
何を欲しがっていたのかな
探していたものは今どこに
何を失ってしまってるのかな
捜しつづけたものは今どこに
立ち止まった時に多分
初めて見える景色があって
探すのをやめたときに
見つかることだってよくある話
だけど
突き動かされてしまう
焦りに
逸りに
希望に
目指している場所はどこに
求めていたものはどこに
壁の見えない迷路に
先の見えない荒野に
放り出されたかのように
心もとないままで
探し続けていたら
自分自身さえも
見失ってしまった
私は誰なんだろう
私はどこなんだろう
君が掬った水の中
僕が放った火花が光る
名残惜しそうに
抗うかのように
目を奪うほどの炎も
燃やし尽くしてしまえば
いつかきっと消えてしまう
君と僕との恋もまた
君が零した涙の中
僕が落とした言葉が揺れる
未練がましいほど
留まるかのように
日を重ねるほどに想いは
もどかしすぎてしまった
いつかきっと持て余してしまう
君と僕の日々もまた
夏の恋はだから
燃え尽きる前にさよなら
胸の奥にくすぶる
熾き火だけを残して
12:残炎
雲の切れ間に
光る星ひとつ
あれは君の住む星
青い蒼い星
雲に紛れて
揺れる星ひとつ
あれは君のいる星
遠い遠い星
雲に隠れて
灯る星ひとつ
あれは君の眠る星
美しい星
11:疎星
白い球を追った
力の限り走った
痛むものをこらえ
滲むものをぬぐった
焼けた肌に光る
汗が落ちて消える
たくさんのものを
吸い込んだ土の匂い
たぎるような血潮
ほえるような熱意
若人は誰も皆
同じようにそこにいた
登りつめたものの
健闘を称えよう
半ばにして消えたものの
健闘を労おう
この夏は終わった
けれどまた
白い球が光る夏は来る
遠い山に日が落ちたころ
黒い森から蝉が鳴く
夕焼け空を見上げては
切ない声で蝉が鳴く
少年もひとり森の前
夕暮れ空を見上げてる
小麦の色した二の腕も
夕暮れ色に染まってく
さよならさよなら
さよなら夏の日
森に手を振りまた明日
10:暮蝉
これからふたり
一緒に歩いていくでしょう
いろんなことがあるでしょう
いろんな人に会うでしょう
いろんな嘘があるでしょう
いろんな誤解もあるでしょう
意見の相違もあるでしょう
異変の脅威もあるでしょう
弱いところも見るでしょう
ずるいところも見るでしょう
隣にいることに慣れるでしょう
待たなくなることに慣れるでしょう
情熱の炎が薄れて
静かな愛になるでしょう
忙しい日常にかまけて
粗略になったりするでしょう
あなたがここにいることを
わたしがここにいることを
当たり前だと思うでしょう
だからふたり
忘れずにいましょう
それは大事なことだってこと
当たり前なんてないってこと
あなたがここにいることを
わたしがここにいることを
かけがえないと思いましょう
これからふたり
一緒に歩いていきましょう
一緒に歩いて生きましょう
(2005/07/21)
何かを始めるなら
青空の月曜日
さよならを告げるなら
虹の出る火曜日に
思い出と向き合うなら
鳥の鳴く水曜日
どこかへ行くなら
曇った木曜日
忘れたいことなら
喧騒の金曜日
帰ってくるなら
晴れ渡る土曜日
ずっと寝てるなら
小雨の日曜日
傍らに
いつでもお茶の香りを乗せて
09:茶香(茶香シ)
頑張ってるんだよって
言われてしまうかもしれないけどさ
どうしても言っておきたいの
頑張れよ
酷い仕打ちを食らっても
結構あんたのこと好きだからさ
どうしても言ってやりたいの
頑張れよ
ずっと二人でやってきたじゃん
なんでも二人でやってきたじゃん
だからさ
あんたじゃなきゃいやなんだよ
頑張れよ
いきなり切れたりせずにさ
頑張れよ
あまり熱くならずにさ
頼むから
頑張ってくれよ
あたしのパソコン
(2005/07/18)
夜空を滑る流星を拾つて
闇の中に線を引かう
パチパチとスパアクする
欠片たちを集めて
道路の上に白墨のやうに
様々の線を引かう
しんとした夜気の温度で
道路が冷えていくだらう
流星のスパアクが
線香花火のやうに
光つているその下で
死人の温度になるだらう
さうしたら私は
線の上に寝そべつて
空に浮かぶ点を見つめ
世界の反転を見届けやう
私の下に描かれてゐるのは
此れは星図に成り損ねた
流星の描く星座なのだ
08:星点(星ハ点ズ)
光る白い貝殻で
光る白い砂浜を掘った
光る白い波が押し寄せ
光る白い想いを埋めた
光る白い夜だった
光る白い月日が流れ
光る白い夜明けが来たら
光る白いあなたはいつか
光る白い電車に乗って
光る白い海辺を目指す
光る白い浜辺に立って
光る白い涙を流す
光る白い雫が落ちて
光る白い砂子を濡らす
光る白い波のよに
光る白い砂粒の中
光る白い芽を出して
光る白い花が咲いたら
光る白い指先で
光る白い想いを摘んだ
光る白い鱗を持った
光る白い小魚が
光る白い歯で語る
光る白い夢想を聞いて
光る白い夜に寝る
吹き荒れる嵐の中
暗い波の底から
声が聞こえる
ここから出して
私を還して
吹き荒ぶ豪雨の中
砕く波の底から
声が聞こえる
ここにいるよ
還っておいで
耳を貸せば引きずり込まれて
洗われた骨ごと砕け散った波になる
足を止めれば抗えぬまま
囚われの魂は翻弄される泡になる
吹き叫ぶ風の中
寄せる波の底から
声が聞こえる
ここにおいで
帰らないで
07:波声