どこにもかえらない

言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。

六月

さよなら六月

紫陽花は色褪せて

大人びた風貌で

陽射しにそよぐ


ばいばい六月

蝉の声遠くから

一粒の水滴も

いつか洪水になれど


おやすみ六月

硝子壜沈む夜

澄み渡る哀しみは

風鈴の音の如く


そしてまた

来る日まで

帰り道

いつも車で通る道を
今日は歩いて帰る
見えなかった景色に
今日は気付いた

街路樹に付けられた札や
花壇に咲く花
大きな屋敷の門の中

こんな道だなんて
知らなかった

たくさんの素敵を見つけた
時にはゆっくり
たまにはのんびり
自分の速度で歩くのもいい

ベイリーズミルク

ベイリーズに
ミルクを入れて

砕いた氷の
グラスに入れた

眠れない夜
眠りたい夜

ミルクの膜に
包まれるように

甘い香りに
いざなわれるように

澄んだ音を立てる氷ごと
飲み干してしまう


とろりとした
やさしい色のお酒が

とろりとした
やわらかく滑るお酒が

私を

夜の中に連れて行く

リクエスト

目の前に白い紙
手に研ぎたての鉛筆
おろしたての消しゴムも用意した
あとは
それを待つだけ

たとえば
神様の降臨
あるいは
天恵の閃き
それとも
天啓の会得

たとえば
珍しい事象
あるいは
日常の疑問
それとも
ただ一句の声

それを待つだけ

でも
そう簡単に行かないこともあるから
そう
足掛かりは存在していないから

待っても来ないこともある

目の前に真っ白の画面
指先にはキーボード
疲れ目用の目薬も傍に
あとは
それを待ってみる

誰か
お題をいかがですか

ふたりの距離

傘のないあたしに
あなたが不機嫌に一言
一緒に入ってく?
差し出す傘に飛び込んだ

体中でどきどきして
雨音がダンスして
火照る頬隠しながら
歩き始める


ぎこちない二人の
あいだは指二本分
滴る雨だれに
二人の肩が濡れていく

近寄りたい 近寄れない
雨音はダンスする
喋らない二人の影
水溜りに映る


通り過ぎた車が
飛沫で足元を濡らして
文句がハモって
思わず笑い出したの

笑いあって 顔あわせて
足取りも軽くなる
少しだけ近づいた
二人の隙間


それじゃここでホントは
まだまだ歩いてたいけど
それじゃあまたねと
あなたは去っていくの

楽しかった 嬉しかった
ありがとうと言い損ねた
後ろ姿見送った
あなたが振り向く


微笑んで 近づいた
どうしたの? なにを言うの?

驚いたあたしに
微笑ったままの顔で
あなたの指が
私の後ろを指した

並んで立つ二人の傍
雨音がダンスする
光る空いっぱいに
大きな虹が見える

それじゃまたね また明日ね
閉じた傘を振った背中に
光る空いっぱいに
大きく手を振ったの

Love painful love

Love painful love
あなたがくれた痛みは
時に甘く
Love painful love
ここから逃げ出すことも
他の誰を愛することも
なにひとつ叶わず
ただ あなた一人だけを
見つめることだけ
紅い月の 氷のような炎を浴びて
眠りにつくのね


Love painful love
風が二人を包んで
隠していく
Love painful love
遠くに見える景色は
戻れない日の街並み
なにひとつ届かず
ただ あなたと二人きりで
抱きしめあうだけ
紅い月が 脆く崩れる舟のように
運んでいくのね

羽を広げ
光を目指す

鱗粉を撒き散らせ
羽ばたきで幻惑し

夜を飛ぶ

眠れる人の瞼に
重さなき身体を休め

出でし悪夢を
蜜のごとく飲み干す

悶えてもなお
光を目指す

その身体ごと
舞い散る夜を

炎の中で焼き尽くせ

ともだちのあなたに

わたしたちは

遠い日に知り合った

ただの友達

ずっと長いこと

ただの友達

たまに遊んだり

旅行に行ったり

お酒を飲んだりするだけの

ただの友達


ときどき

深い話をして

ときどき

悩みを伝え聞いて


わたしたちは

ただの友達


だからこそ

たすけてあげられる


そんなこともあると思うよ

ジューンブライド

ようこそ
いらっしゃい

おや御結婚なさるのですね
それはおめでたい

それで
なにをお求めですか

ほほう
もちろんございますよ

綺麗でしょう
色違いの切子の硝子の瓶


中で揺れるのは
時が滴り落とした雫

不忘薬と忘却薬

恋人にあなたを忘れぬように
あなたが恋人を忘れるように

ただ一滴
口にすればよろしい


ただし
一つお気をつけなさい

この雫は気まぐれで
一瞬ごとに入れ替わる

さて
どちらが忘却へ誘い
どちらが記憶に縛るか

それはもう
この私すら分からぬこと


それではどうぞ
よい未来を


なんとまあ
人というのは因業なもの

私なら
この六月の雨に

混ぜ合わせ溶かして
どちらも流してしまうけどもね

感覚のスイッチ

天気予報はハズレ
目も染まるような青空
輪郭の光る入道雲
通り過ぎる車は
幾つもの太陽で
ぼくを照らして
眠たげな電線たちは
くっきりと影が落とす

感覚のスイッチを切り替えて
纏いつく熱気を愛しもう
羽毛の肌触りに似た
日向の空気を楽しもう


灼熱の太陽に晒されて
いつもより白く見える手
輪郭のはっきりした世界
通り過ぎるぼくは
自らが見えない分
明確に切り離される
眠たげな現実感が
遠いアスファルトで銀色に踊る

感覚のスイッチを切り替えて
灼けつく暑さを愛しもう
火照る肌に滲む汗すら
日影の恩恵を楽しめる

悪戯

これ
何の薬だったのかな
引き出しの奥から
出てきたカプセル

これ
何に効くんだったのかな
数字とアルファベット
素っ気無く書かれて

調べたならば
きっとあっという間に
分かってしまうのだろう

調べたとしても
或いはもしかしたら
分かったりしないかもしれない


これ
何の薬だったのかな
忘れられた素振りを見せぬ
ピンク色のカプセル


分からないまま
こっそりあなたの
お茶の中

十二時過ぎたシンデレラ

12時を過ぎたら
馬車はカボチャに
馬はネズミに
ドレスは襤褸に
なるけれど

簡単なことよ

日付が変わるその前に
脱いでしまえば良いんだわ

こっそり広間を抜け出して
天蓋付きのベッドの中へ

ほら
魔法が解けても
関係ないでしょ

                   (2005/05/26)

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六月と雨の夜

気付けば6月

君のいる町は既に遠くて

君といた時間は既に遠くて

ここでいま

立ち尽くしてる私なぞ

君の目には映るまい


気付けば満月

あの頃の町も月明かりの下

遠い君も私も月明かりの下

そこでいま

君が月を見ているかどうかは

知る由もないけれど


本当は月の細い

雨降る夜に

そんなことを思った


君のもとに

同じ雲は流れるだろうか

夢なら十夜

こんな夢を見た


白い手が夜空からこちらを招いている
応えようとして気付いた
嗚呼
あれは自分の右手だ



真夜中の砂漠に佇んでいると
駱駝を連れた行商人が
何処に行くのかと問う
何処へも行かぬと答えると
水の入った袋をくれた
酷く渇いていたが
持っていた種を蒔いて水を与えると
見る見る伸びて太陽を咲かせた
すっかり乾涸びながら
飲めば良かったと思った
遠くから
駱駝の嘶きが聞こえていた



ラムネを飲んでいたら
壜の中で転がるビー玉が喉を滑った
ああ俺はいま地球を飲んだと
暗い宇宙で思った



河原を掘り返すと
赤い金魚が眠っていた
掌に載せると
牡丹になって
水の中を泳いでいった
そこで自分は
掘り返した穴の中に寝た



埃くさい古書店で
一冊の本を見つけた
開こうとすると
笑い声がして
手には何もなかった
店の主は鴉の顔をしていた



迷ったので
托鉢の僧に道を訊いた
教えてやるから目を返せと
隻眼の僧は私の左眼を刳り貫いた
目的地は目の前にあった



死んでしまった私は
海原を漂っている
繰り返された昼夜の果てに
空に大輪の花火が咲いた
火花が身を焼いて
私は骨になって
沈んでいった



濁った川を
大きな橋の上から見下ろしている
数え切れないほどの子供が流れてきて
夕日の方へと行ってしまった
私は一人
橋の上に取り残された



黒い蝶が
血を流して嘆くので
羽根を毟ってやった
女が有難うと言って
羽ばたいて行った
月夜の晩だった



こんな夢を見た

三十年近く生きてきた女は
ある日呟いた
嗚呼此れも夢だ
途端に
何もかも消えてしま

・・・残るは夢の残滓のみ


                      (2005/05/25)

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きれいずき

綺麗なものが好き
綺麗なものを選びたい

どんなものも
どんなことも

楽しいことも
嬉しいことも

哀しいことも
悔しいことも

出会いも別れも
過去も未来も

恋だって
友情だって

夢も希望も
挫折も罪悪も

美しいことも
汚いことも

憂鬱も
残酷も

なんだって
どれだって

綺麗があるから
綺麗を見たくて

綺麗事だと
絵空事だと

言われても
笑われても

綺麗に書きたい

豪雨と運転

白くけぶる街
雨粒が窓を叩くよ
ハンドル握った手で
リズムを取って走る

もうまるで
この街は沈んだ街
全てを洗い流して
沈んだ街

ワイパーは虚しく
水の幕を一瞬だけ
掻き分ける
舞台は整った
飛沫上げるタイヤが
開演の合図

水底の街
天上は灰色のまま
光だけが何処からか
滲むように射し込む

アクセル踏んで
濡れた道を走る
何処まで行けば
雲の端にたどり着くかな

けれどその前に
夜が来て
終焉の合図
冷えていくエンジンとともに
終演の合図

潤んだように光る
ライトも消えて

あとはもう
雨の音だけ

ポケットに夢を詰めて

口笛吹いて行こう
見渡した空に
一羽の鳥

足取りも軽やかに行こう
見通す限り
真っ直ぐな道を

どこかで
水の音がする

山へ行こうか
深く濃い緑の中へ
白く輝いて落ちる滝を探しに

海へ行こうか
何も遮らぬ波の中へ
蒼く煌めいて揺れる水底を探しに


息を弾ませて行こう
通り過ぎた雨に
ひとすじの虹

心まで軽やかに行こう
先が見えずとも
真っ直ぐな瞳で

どこかで
風の音がする

砂漠へ行こうか
熱く舞う砂塵の中へ
白く輝いて誘う扉を探しに

天に行こうか
何も遮らぬ宙の中へ
蒼く煌めいて廻るこの星を探しに


さあ
探しに行こう

僕たちは
いつでもどこにでも
行けるんだから

守りたいもの

大事なものは
多すぎれば身動きが取れず
少なければ心許ない

ちょうどいい重さで
私の隣にいて

私が知るよりも

本当はもっと
もっともっともっと

大事なものが増えているから

時折そうやって
確かめる


大事なものは
重すぎたら重荷に思う
軽すぎたなら離れてしまう

ちょうどいい距離で
私のそばにいて

私が思うより

本当はきっと
きっともっとずっと

大事なものはたくさんあるから

時折そうやって
確かめる


大事なものに
縛られすぎないように
大事な者に
甘えすぎないように

大事なものを
守れるように

一番短い夜に

私の逡巡が
熱帯夜の薄闇の中で
私の躊躇は
密度の濃い空気の中で

天高く上った
太陽に照らされて
これ以上ないほど小さな
私の影は

歩くたび揺れる
陽炎に包まれて
これ以上ないほど微かな
私の影は

この一番短い夜の中で
立ち尽くすように紛れる

この世界における私という不在

私は誰
此処は何処

此処は
言葉の世界
言葉だけの世界

私も
言葉の存在
言葉だけの存在

私は誰
不詳を目指した
負傷を忌避した

此処で私は
自ら好んで
名前を隠し
性別を暈かし
年齢を消して
姿を持たず

けれど
責任は持って
言葉と対峙した

私という一個人
言葉だけで表す
私という一思想
言葉だけで著す

そして私は

忌避したものを
受けてしまった

そして私は

隠したゆえに
当て嵌められた


私は誰
誰だと思う

此処は何処
何処だと思う


貴方は何故
私を見ない

姿なき者とて
嵌める型が違えば
抗うものを

貴方は何故
誰かと紛う

言葉を尽くして
届かぬことを感じ
戸惑う者を


私は誰
彼には非ず

私は誰
彼女にも非ず


私は私
信じなくとも

私は私
此処に居る

読書する午後

分厚い本を片手に
紅茶を飲みながら
過ごす午後

窓の外には青空
穏やかな風が
吹いていく

今ここにあるのは
一つの風景じゃなくて

今ここにあるのは
数え切れない物語


身を凭せ掛けた椅子が
不満に似て軋む
そんな午後

読みかけのページに
二人連れの旅人
空を見る

今そこにあるのは
ただの文字の配置じゃなくて

今そこにあるのは
止まらないほどの物語


そしてやがて
境界は曖昧になり
いつかやがて
世界は融和していく


今ここにあるのは
本と読む人ではなくて

今個々を隔てぬ
数え切れない物語

可愛らしさ

可愛くなりたい
あなたのために
そして
あたしのために

適度に甘えて
適度にわがまま

笑顔を咲かせ
時には泣いて

だけど
自分の足で立つ

それが可愛いのか
可愛くないのか

あたしには分からない

可愛いなんて
便利な言葉で
どんなものにも
使えるんだって
思ったりするけど


可愛いってなに
分からないけど
だけど
可愛くありたい

意地張ってばかり
我を張ってばかり

大人のフリして
時には耐えて

けして
他人を頼らない

それが可愛くないと
言われることでも

あたしには分からない

可愛いなんて
自由な言葉で
誰も定義を
知らないんだって
思ったりするけど


分からないけど

可愛くなりたい
あなたのために
それより
あたしのために

頑張ってしまうあなたに

何でもできる必要は無いよ
誰の人生だって
一人の肩に一つずつ
何もかも背負うことは無いよ
どんな力持ちも
詰め込みすぎた荷物は持てない

あなたが頑張りやさんなの知ってる
真面目すぎることも
考えすぎちゃうことも

バランス良くできれば良いけど
大丈夫だから周りを見て
あなたがいるのは綱の上じゃないから
落ちたりしないんだから


何でもこなす必要は無いの
誰の一日だって
どう粘っても二十四時間
何もかもできるわけなんて無いよ
どんなに急いだって
詰め込みすぎても消化できない

あなたが頑張りやさんなの知ってる
一生懸命なのも
強くあろうとしてるのも

自分一人でできれば良いけど
大丈夫だから周りを見て
あなたがいるのは無人島じゃない
どこにでも助けがあるから


あなたの人生だから
あたしは肩代わりできない
あなたの生き方だから
あたしは口出しはしない

でも

大丈夫だからあたしを見て

肩代わりできなくても
肩を貸してあげる
口出しはしなくても
耳を貸してあげる


何でも出来る人なんてないよ
たいした力は無いけど
それでも
あたしたち一人じゃないよ

夢の中で泳ぐ

空を溶かした曹達水

煌めく泡に太陽が映り込む

砕けて揺れる光の中で

私は透ける尾鰭で泳ぐ

星の欠片に似た音で

細かな氷が注ぎ込まれて

私は鱗を翻しながら

罅に微かな虹を見つける

水晶の搭にも似た

細く長いグラスの中で

溶けて滲む氷が

空を薄めていくのを見てる

炭酸水の中

私は泡に紛れて吐息を一つ

そして

ゆっくりと夢から浮上する

笑顔の花が咲くよ

切ないこともある
哀しいことだってあるよ
だけれど
笑顔を
忘れちゃきっと駄目なんだ

笑っていようよ
どんな苦しいときも

だって
気持ちはきっと
周りにも伝わってくから

哀しませたくない人が
いるなら笑っていようよ

そして
いつか心から
笑える日が来るよ


楽しいこともあるね
面白いことだってあるね
それから
あなたがいてくれることが幸せ

笑っていようよ
嬉しい時はいつも

だって
気持ちはいつも
誰だって素直でいたいよ

愛してる人たちが
笑っていてくれるように

そして誰かの顔に
笑顔の花が開くよ


時には泣いていいよ
心から怒ってもいいよ

だけど
いつも誰かが
隣にいることを知ってて

そして笑顔がいつか

心から
あふれだす
そんな日が来るから





もう二度と

終わりにしましょう
何もかも
不実なゲームも
不幸な夜も
不誠実な恋人も

知らないふりして
気付かぬふりで
あなたを愛してみたけれど
状況は不利よ
持続は無理よ
終わりにしましょう
何もかも


流してしまうわ
何もかも
卑怯なメールも
悲壮な愛も
必要以上の毎日も

分からぬふりして
別れるふりして
あなたは騙してきたけれど
表情は無理ね
正直で馬鹿ね
終わらせましょうよ
何もかも


やり直しましょう
何もかも
デートの記憶も
出会いのことも
電話で交わしたやりとりも

忘れたつもりで
なかったつもりで
ふたりを他人にしたけれど
時間は積もって
想い出詰まって
それでも終わるの
何もかも


ふたり
ココから
他人になるの

ふたり
もう二度と
戻りはしないの


                    (2005/05/20)

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過去と未来と

今はまだ
遠い日の記憶
いつかまた
取り戻す記憶

見えないものを
探すように

消えないものを
捜すように


それはまだ
遠い日の昨日
いつかまた
めぐりあう昨日

言えないことを
隠すように

癒えないものを
画すように


そしてまた
遠い日の私
いつかまた
重なり合う私

一途な想い

やりたいことがあるんだ
それに向かって走ってるんだ
君だって
きっとそんな時があったでしょ
馬鹿にされたって
反対されたって
この想いを止めてしまうなんてこと
出来るのは自分だけ

逢いたい人がいるんだ
狂おしいほどに願ってるんだ
君だって
きっとそんな人がいたでしょ
そでにされたって
高望みだって
この想いを止めてしまうなんてこと
出来るのは自分だけ

君にだって
あるはずさ
一心に駆けていけるもの
一途に想い焦がれるもの
叶えに行こうよ
今すぐに

出来ないことなんてないさ
そう信じたって大丈夫さ
君だって
きっとそう思ったでしょ
誰が笑ったって
何が邪魔したって
この想いを止めてしまうなんてこと
出来るのは自分だけ

そして僕は
止めるなんてこと
考えたりしないんだ


                    (2005/05/20)

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どうせなら楽しもう

思うようにことが進まなくても

そんなことはあたりまえ

肝心なのは諦めないこと

そして

諦めどきを見極めること


思うようにことがならなくても

そんなことはよくあること

重要なのは投げ出さないこと

そして

僅かでも進み続けること


急速でなくてもいい

休息だってしていい


たとえば一歩

たとえば一文字

たとえば一口

たとえば一ミリ


思うようにことが進まなくても

そんなことはあたりまえ

簡単にことが進んだって

人生つまらないよ


そう思ってみるのもいいよ

今にも顕れる存在

蒼い扉には
異世界の文字
読める者だけに
開かれる

朱い窓には
異形の陰影
名前を知る者に
開かれる

黒い箱には
違和感の疵痕
治癒する者には
開かれる

白い花には
異分子の芳香
嗅ぎ当てる者なら
開かれる

色なき道には
異端子の予感
逡巡せし者にも
開かれる

未練じゃないの

あなたと初めて観た映画
この前テレビでやってたの

あなたの乗ってた車のナンバー
今でも覚えているのよ

あなたの好きだったブランド
雑誌をめくって見つけられる

あなたと一緒に行った場所
地図サイトで辿ることもできる


いいえ

未練があるわけじゃないの


今あなたが
誰とどう過ごしているのか

ちっとも全然分からなくても
面白いくらい平静だけど

それよりも

あんなに大好きだったこと
今でも思い出せるのに

今あなたが
どこでなにをしてるのか

さっぱり皆目分からないことが
不思議で奇妙で可笑しいの

人間関係不和

疲れちゃったの
溜め息も出ない
感情のやり場が無くて
指先が震えてる

呆れちゃったの
言葉さえ出ない
感情の行き場がなくて
胸の中塞いでる

人は違うから
誰も違うから
面白いこの世だけど

人は違うから
誰も違うから
厭気がさすこともあるの


行っちゃって欲しいの
同じとこにいたくない
離れても離れたい
それくらい遠くまで

言って欲しかったの
同じ言葉なのに
通じても通じない
それくらい違うから

人は違うから
誰も違うから
それが面白いのだけど

人は違うから
誰も違うから
拒絶したい人もいるのよ


憑かれちゃったの
大嫌いだと思えばもう
簡単には戻れないよ

相容れないの
無関心すらもはや
簡単には装えないの


人は違うから
誰も違うから

呪文のように
繰り返してる

言葉の欠片を探して

部屋の中迷い込んだ

蜂に刺されて眠るように

それはほんの偶然

決まっていたかのように

誰にも止められない


日々の中誘い込んだ

道に惑った公式のように

それはただの偶然

決まっている解など

誰も求められない


私は一人思い込んで

言葉の欠片を探して綴る

それはいつも偶然

秘めていく想いを

誰かが求めることを


想いながら

たとえるならそれは

先の見えないカードゲームのようなもの
伏せられた山の中
望むカードを引き当てるのは難しい
捨てるべき手札
後で悔やまぬよう見極めるのも難しい

運命に似たカードゲームのようなもの
伏せられた山の中
定まったカードだけだとは限らない
捨てたはずの手札
いつのまにか変化していないとも限らない

まるでカードゲームのようなもの
隠された対面の
勝負の相手が誰かは分からないけど
作るべき役の
勝敗の決め手さえ分からないけど

とにかくもカードゲームのようで
手札を捨て山から一枚
手元を見てさらに一枚

狂える午後のお茶会

欠けてしまったティーカップ
砕けてしまったビスケット
途切れてしまった言葉

お茶が染み込んでいくクロス
生クリームに窒息する時計
足を一本なくしたテーブル

鍵穴のない鍵のかかった扉
行き場をなくした薫り高い湯気
正面を失うあなたの横顔

悲観の悲鳴で刺さる縫い針
立ちどころをなくした裁ち鋏
滴る血潮で開いた茶葉

帽子の中には宇宙の闇が
ポットの中には私の顔が
エプロンドレスのポケットに螺子

離脱する太陽
逃避する月
ランプの中に夜が来る

終了を告げる声は途切れ
時間を告げる時計は埋もれ
終わりがないから終われぬお茶会

渇いた私

こんな暑い日には
良く晴れた日は

重たい熱気掻き分けて
揺れる陽炎追い立てて

水を求めに行こう

青空映した大海原
鋭く冷たい川の淵
陽射しに煌めく噴水だって
鏡に良く似た古井戸だって

ほてった肌を包み込む
うだった頭を冷やしてく

そして私を呼び覚ます


こんな天気の日には
心も身体も浸しに行きたい

試合中

ルールなんて知らないくせに
誰が誰かも自信ないのに
それでもみんな
気になっちゃうのね

仕事そっちのけの人だって
飛んでっちゃってる人だって
いたりするのも
面白いよね

あたしは
釘付け
かじりついて

なんてことないけど

それでもやっぱり
気になったりする

面白いよね

みんながみんなじゃなくても
たくさんの人が
いま
同じこと気にしてる

応援してたりするんだよ

それが未知なる道でも

ぼくは歩いてる
道が続く限り
どこまでも
歩けるだろう

遠い空の下
虹のふもとの街
いつか
たどり着くだろう

そうどんなとこだって
ぼくは歩いていくんだ
誰も止められないんだ

例え困難な道でも
いつか乗り越えるよ

ここからは
どこへだって
歩いていける

ここからは
どこにだって
道があるんだ

行くんだ



足は止まらない
そこに道がある限り
どこまでも
進んでいくんだ

青い海の島
空に浮かぶ城も
どこだって
歩いていく

そうどんなとこだって
ぼくは進んでいくんだ
そこが目指してる場所ならば

どんな大変な道でも
いつか乗り越えるよ

ここからは
どこへだって
歩いていける

ここからは
どこにだって
道があるんだ

行くんだ

日曜の夜と友達と

久しぶりに
会った友達

食べて
話して
喋って
飲んで

ネットや
メールで
やりとりするけど

食べて
話して
喋って
飲んで

深いとこまで
入り込んだり
かなり中まで
話し込んだり

目を見て
顔見て
仕草を見たり

笑って
おどけて
真面目になったり

食べて
話して
喋って
飲んで

久しぶりに
会った友達

それじゃまたね

また遊ぼうね

きみのせなか

風に吹かれたきみの背中が
声をかけるのを拒んでる
行ってしまうんだねと
僕はだから口に出来ない

振り返らないと
一度決めたら
やり遂げてしまう
人だから

僕は伸ばした腕をおろして
きみの姿を焼き付ける


過去を捨て去るきみの背中が
追い縋る腕を拒んでる
戻っておいでよと
僕はだから呼び戻せない

立ち止まらないと
一度決めたら
歩きつづける
人だから

僕は呟く言葉を隠して
きみの背中に手を振った


やるべきことを
一度決めたら
後悔しない
人だから


凛とした後ろ姿に
憧れながら
手を振った


                       (05/05/16)

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時の記念日の黄昏通り

これはようこそ
なにをお探しで

ははあ
時間のない世界へ行きたいと

ものというよりも
それは願いでございますね

いえいえ
もちろん
当店にはないものはございません

これなるミニチュアの扉
この向こうに広がるのは
時は流れど
時間のない世界

日は昇り日は沈み
月は満ち月は欠け

しかし
それはあなたの望むままに
変容し変化する

時は流れど
時間定まらぬ世界

いかがですか

ただし
戻りたいと思うならば
お気を付けあれ

扉を潜りしその時より
二十と四時間の後に
扉は再度開きますが

それを逃せばそれっきり

二度と戻れは致しません

扉の向こうに
広がる世界は
時間のない世界

望むがままに
昼間の続く
思うがままに
月夜の続く
そんな世界

戻らぬ覚悟か
戻れる自信

あるならどうぞ
お求めを

もちろん
そんなものなくても

当店は一向に
構いません

さあ

どうぞ

屍の朝

今日もまた
僕の上に夜明けが来る
明るい陽射しの中で
僕はまた腐敗を進める

冬のようではないから
僕の身体は凍りつかない
夏のようでもないから
僕の身体はすぐには溶けない
ゆるゆると
静かにゆっくり
腐っていく

心はどこにあるんだろう
抉り取られた心臓か
蕩けて流れた脳味噌か
潰れて落ちた眼球か
腐っていく皮膚の下
蟲が湧いて僕を喰べる

五月の風が僕をなぶって
若い木々たちが影を落とす
ここにいるのは
僕の屍

今日もまた
新しい夜明けが来て
僕の身体を照らし始める

憂鬱なる季節

新しい世界の中に
今までの僕では
蘇られず

新しく
生まれ変わるには
腐敗して
腐敗して
腐敗して
腐敗して

心があれば
いつかまた
歩き出す僕に出会うだろう

                     (2005/05/13)

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空と僕

切り取ったような青空の日

どこまでも走っていけるような気がした


むらなく染められた灰色の日

どこまでも行かなければならない気がした


重たく落ちて来る雨雲の日

どこまでも泳いでいきたいと思った


行き着く先は

同じだろうか

公園とわたしと世界

公園の片隅
柔らかな絨毯
シロツメクサに寝転んで
空を見上げた

流れていく雲越し
降り注ぐ太陽
かざした掌の向こうに
光を感じる


土や草の匂いとか
陽射しや風のぬくもり
身体ごと自分を委ねて
わたし
世界の一部になる



遠くから聞こえてくる
子どもたちの歓声
温む午後の空気に
包まれて届く

閉じた瞼の裏
赤色が透けてる
わたしと世界が溶け合う
それを今感じる


梢や風の歌とか
鳥や虫の羽音とか
心ごと自分を放して
わたし
世界の一部になる


人も時間も空気も
今も夢も自分も
在るもの全てを開いて
世界
わたしの一部になる