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いそいでいそいで

十二時の鐘が鳴っちゃうよ

走りに不便な靴なんて

いっそ両方脱ぎ捨てちゃって

いそいでいそいで

扉の鍵が閉まっちゃう

重たい門扉が閉ざされて

帰れる場所が隠れちゃう前に


約束事は守らなきゃ

約束したなら守らなきゃ


いそいでいそいで

壁のカレンダーが変わっちゃう

戻らぬ日付に泣く前に

最後の余力で駆け抜けて


ごめんなさいで許される

土下座したって許されぬ


どんな約束も守らなきゃ

守るつもりなら守らなきゃ


だからほら

いそいでいそいで







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2006.04.30 Sun l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
 眠れない夜は
 眠れない夜は
 ミントキャンディーを噛もう
 がりがりと
 がりがりと
 噛み砕いてしまおう

 言えなかった言葉を飲み込んで
 こらえてしまった嗚咽を飲み込んで

 つかえてしまった涙とともに

  
 眠れない夜は
 眠れない夜は
 暖かいお酒を飲もう
 ごくごくと
 ごくごくと
 流し込んでしまおう

 突き刺してしまった棘を溶かし
 やり場をなくした怒りを溶かし

 錆びついてしまった悲鳴とともに

  
 眠れない夜は
 眠れない夜は
 月の光を塗ろう
 しんしんと
 しんしんと
 冷えるほど浴びよう

 愛されなかった今日を流して
 こびりついた疲れを流して

 歪みきってしまった笑顔とともに

  
 眠れない夜は
 眠れない夜は

 暖かい毛布の中で
 枕を抱えて

 眠れない夜は
 眠れない夜は

 柔らかい音楽とともに
 自分を抱えて

 優しいくすりを



                      (2005/02/26)
2006.04.30 Sun l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
きみとなら
どこへ行ってもいいんだけど

よく晴れた海を見に行こうか

花の咲き乱れる野辺に行こうか

遊園地で並びまくってもいいね


図書館に本を読みに行こうか

気になる映画を見に行こうか

この間話したカフェで一休みもいいね


きみとなら
どこへだって行ってみたい


でもまあ

一日くらい

二人でずっと家の中
くっついて眠っててもさ


まだ先は長い
2006.04.29 Sat l 花膳 l コメント (4) トラックバック (0) l top
強風の吹く昼下り
外出が嫌で人任せ
部下の目線が言っている
お前の秘密を知ってるぞ

ヅラで一体何が悪い
貴様の前歯も差し歯だろ


仕事帰りの居酒屋で
一人肴をつついてる
隣の見知らぬ女性客
上司の秘密を暴いてる

ヅラで一体何が悪い
お前の下着も補整だろ


家に帰れば女房が
無言で酒気を非難する
俺は風呂場に避難して
今日のすべてを脱ぎ落とす

ヅラで一体どこが悪い
お前のメイクと同じだろ


人には見栄があるものさ
人には意地があるものさ

矜持を馬鹿にする奴も
てめぇの我が身は大事だろ


明日も一日武装して
俺は社会で生きていく

これは一つの武器なのさ

これも一つの武器なのさ


                      (2005/02/22)
2006.04.29 Sat l 月々 l コメント (4) トラックバック (0) l top
歌を奏でよう
あなたの心に届くように
遠く遠くまで

青い空の下
夕焼け雲の中
星の降る夜

幾つもの空を越えて
あなたの心に

この音は
けして大きくはないけれど


歌を詠じよう
誰かの想いが届くように
遥か彼方まで

靡く草の波
高いビルの合間
灼ける砂漠の上

幾つもの景色を越え
あなたの心に

この声は
とりたてて美しくないけれど


歌をうたおう
私の心を込めた歌を
いつもいつまでも

誰かの心に届くように

誰かの心に残るように
2006.04.28 Fri l 花膳 l コメント (3) トラックバック (0) l top
僕にはやりたいことがある
大人はきっと笑うだろう
「だいそれた夢」と言うだろう

夢を見るなら大きくと
夢を見るなら何でもと
言ったその顔で笑うだろう


僕にはなりたいものがある
大人は「無理だ」と笑うだろう
「だから子供は」と言うだろう

夢を見るのは自由だと
夢を見るのは大事だと
教えたくせに言うだろう


だから
僕らはこっそりと
未来の野望を胸に秘め

だから
僕らはこっそりと
秘密の船出の準備する

押入れに隠された
旅立ちの準備を

引き出しに隠した
未来への手紙を


確かに彼らも
知っていたのを

今の
僕らは確かに
知っているのに


僕にはやりたいことがある
僕にはなりたいものがある

可能性は無限大

踏み出す道は一歩から

だいそれた夢と言わないで
ダメになるよと決めないで

世界の果ては見えなくても

踏み出していけば辿り着く


僕らは
どこまでも歩ける力がある
どこまでも進む希望がある

大人は
忘れてしまっていても
大人は
なくしてしまっていても

僕らは
この身体いっぱいで
僕らは
夢を見てるんだ

小さな歩幅を笑わないで

それでも確かに進むんだ

止まった大人たちよりも遠くへ


遠くへ


                  (2005/02/21)

2006.04.28 Fri l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
何もかも合わない恋をしてたら

消化不良で胃もたれを起こした

好きなだけじゃ駄目なんだね


どうしても手に入れたかったのに

身体中に毒素が廻った

死に到るような恋だったね


特効薬なんてなくて

切除するしかなくて

僕は恋に蝕まれた


穿たれた傷痕に

涙が沁みて痛いけど

切り捨ててしまった恋は

僕の一部じゃないんだ


だけど時折

もうないはずの僕の一部が

思い出したように痛むんだ


2006.04.27 Thu l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top

甘いものは嫌いなんだ、とあなたが
言い訳のように、言ったので
頷いたきり、俯いて
ええ、知らなかったわ、と偉そうに呟き
美味しい筈のチョコを、美味しくなさそうに自分で食べた


 隠してたことがあるんだ、と彼が
気詰まりな顔して、切り出すのを
苦しくなるほど待ってたら、くたびれてしまった
喧嘩にすらならない、倦怠の日々で
壊れてしまったのは、心とチョコ


 寂しかったんだ、と去り際に
真剣な顔したので、信じてみた
全ての始まりは、スムーズに行くけど
精一杯になりすぎたら、世界が終わってしまう
そうなる前に、そろそろさよならしなくちゃ


たいていのことは、楽しくなれる
チョコレートも、ちょっとしたしあわせ
つまらないなんて、呟いたりしないで
手を伸ばして、手伝ってあげるから
届かない場所を、取り戻しに行こうよ


泣いたりしないで、なんでもないよ
逃げたりしないで、にこやかでいよう
濡れて湿った心を、拭って綺麗に乾かそう
眠りにつく前、猫の仔のように
喉を鳴らして、飲み干したココア


初めての恋は、溌剌としていて
秘めやかな恋を、一人で夢見た
二つめの恋は、不実のままに
平気な顔して、返上したきり
本気の恋を、ホットチョコに想った


 まだ見ぬあなたを、待ってたの
見つからないまま、見ていたの
無駄な足掻きと、無残に告げられ
面倒ごとだけ、目の前に
もう戻らない、燃やした包み


妬けるような想いを、焼いて
許せぬ想いを、夕闇に溶かし
夜の街を二人で、よそ見せずに歩いた


楽したいわけじゃないと、落胆の表情
凛然とした私に、悋気を探したあなた
累月の間に、類似してきた二人
連理を契った言葉と、冷凍庫の中で眠ってる
ロンドン土産のチョコは、篭絡の証し


甘いチョコに託して
哀しい恋も、寂しい恋も、
楽しい恋も、嘆いた恋も、
初めての恋も、真面目な恋も、
優しい想いで、笑えるように    


               (2005/02/11)

2006.04.27 Thu l 月々 l コメント (3) トラックバック (0) l top
時計の針の
刻むリズムが
眠気を誘う
午后3時

窓辺の陽射し
映る陽炎
揺れる二月の
午后3時

指先 爪先
眠りに包まれ
沈む重さの
午后3時

囀る小鳥
見向きもせずに
庭の仔猫の
午后3時

気怠い春風
物憂い時間
揶揄う花の香
午后3時


欠伸を噛みしめ
背伸びをしたら
お茶を淹れよう
午后3時

眠っちゃいけない
午后3時


                  (2005/02/08)

2006.04.26 Wed l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
恋より濃くて
愛より甘い
とろける口どけ
召し上がれ

それが春風スイーツ

咲き乱れる花の香りも
柔らかく温む小川の匂いも
包み込むような陽射しの香りも

世界を湿らすそぼ降る雨も
今朝芽を出した小さな緑も
ほっこり乾いた洗濯物も

こぼれる幸せ
召し上がれ

あなたのために
春風スイーツ
2006.04.26 Wed l 連玉結 l コメント (0) トラックバック (1) l top
カッターナイフで歯を削って
ホチキスで口を塞ごう
消しゴムで言葉を消したら
もう私は電話には出ません

水性のペンで瞳を書いて
修正ペンで虹彩を描いても
涙に滲んで溶けてしまえば
もう私は書類を見ません

定規に背骨を挿げ替え
鋏を両の手に持って
コンパスを足に装備したら
もう私は木偶の坊になる

出鱈目な判子を手当たり次第
歪曲な罫線のノートに押して
スタンプ台に突っ込んで
もう私はメモを取りません

指のあいだを糊付けにして
爪先同士をガムテープで巻き
パンチで心に穴を穿って
もう私は耳を貸しません

計算機がはじき出した
エラーすれすれの時間と
偽りの曜日のあいだ
私は身動きを取りません

だからもう
私をあてにしてはいけないのです



2006.04.25 Tue l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
どんなに輝いていても
どんなに綺麗でも
どんなに素敵でも
どんなに凄くても
心惹かれたとしても
手に入れたくても
大事にすると誓われても
自分と引き換えにすると言われても
売ることは出来ません

わたしの持ち主はわたしだけ


どんなに貶されても
どんなに侮られても
どんなに蔑まれても
どんなに酷くても
心裂かれたとしても
投げ捨てたくても
価値を見出されなくても
誰かと替えてあげるよと言われても
売ることは出来ません

わたしの持ち主はわたしだけ


                  (2005/02/07)
2006.04.25 Tue l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
やらなくちゃならないこと
やりたいこと
やるべきこと
やりたくないこと

たくさんあるのに
やる気が出ない

天気が良くて
週の初めで
ひとりきり

したいことも
するべきことも
したくない

よく晴れた日で
昼下りで
ひとりきり

今あたしがしたいのは
ただひとつ

昼寝だけ

そういうわけにもいかないから
ちょっと濃い目のコーヒー淹れて
腕をぐるぐる回したら
やらなきゃならない
そんなことから
ひとつずつ始めてく
2006.04.24 Mon l 日々の罅 l コメント (4) トラックバック (0) l top
どうしたっていやなことも

どうしたって嫌いな人も

発想の転換ひとつ


私の役に立つと思えば

私の糧になると思えば

なんとなくでも

なんとかなる


くさくさしたままじゃいやだから

とげとげしたままじゃいやだから


せめて自分のことは

守っていられるよう


いやなものはいやなままでも

嫌いな人は嫌いなままでも


発想の転換ひとつ

それでなんとなく

進んでいける
2006.04.24 Mon l 日々の罅 l コメント (0) トラックバック (0) l top
蒼い小瓶に

溜め息を一つ

夜の月の下で

光る雫を受けよう

夜露が哀しみを

まろやかにしていく


蒼い小瓶には

私の想いが一つ

月夜が冷たいお酒に変える



星の欠片を砕き

微笑を一つ

夜の闇の中で

凍る言葉を混ぜよう

気泡が切なさを

包み込んでいく


蒼い小瓶には

優しいお酒が満ちる

だけどこれは誰にもあげない



蒼い小瓶の

甘露を一滴

夜の月の下で

一人きりで飲み干そう

すべては少しだけ

柔らかく変わる



2006.04.23 Sun l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
気付いたんだね
傷ついていたことに
鮮やかな色の
痣を見つけた

時計の螺子が
OKの合図を出して
塞ぎこんだウサギの
跡を追って後を追う

罅割れた日々の
残された痛みを悼み
起こされたキスが瑕を付ける
泣かされた記憶は
流されて今はない
記憶の尾翼だけが
比翼だった記録を遺す

いかれた帽子屋も
諌めた王様も
此処にはいない
個々ではいない
心に浮かんだ鏡の向こう
凍えて浮かんだ葉書の向こう

傷付かずに気付けるかい
孤高の女王に見つからず
ばらばらにされた薔薇の木陰に
潜んだままで挑んだって無駄さ

僕はたわごと
僕はざれごと
終末を迎えた週末には
きみを迎えに来てあげるよ

今はおやすみ
鏡を見ずに

今はおやすみ
穴など見つけず


                      (2005/02/04)
2006.04.23 Sun l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
と、言っても、たいしたことではありません(笑)

気に入ったものを月5篇前後、アップしていってるのですが(注:「月々」とは、今まで書き溜めたブログの詩を、再掲しているカテゴリです)、どうせなら、自分の感想を付け足してみようかな、なんて。
かつての自分を振り返っての行動なので。
物忘れの酷い私のことですから、ひどく曖昧なものにしかなりませんが、その当時の心境辺りを思い出すのもいいかな、と。

とはいえ、詩でも、物語でも、作者が余計な口出しをするのは蛇足ということもあります。読み手が読みたいように読み、感じたいように感じるのが一番で、読ませたいように読まれないのならば、それは単なる力量不足。
作品の内容に関すること、というものはあまり書かないとは思いますが、万が一にも書いちゃわないとは限りません。

だから、隠しておきます(笑)
まあ、まだ、修正し始めたばかりなんですが。
2006.04.23 Sun l 瞑想迷走 l コメント (2) トラックバック (0) l top
眠れないまま
夜が流れるのを見ていた
目を閉じれば
幻の光が
瞼越しに明滅してる

動き出せないまま
じっとしてた

動けばなお
眠りは遠くなる


眠れないまま
夜が漂うのを感じてた
力を抜けば
世界との境は
身体ごと消滅してく

何も出来ないまま
手を離した

意識したなら
眠りは飛んでいく


目に映る
闇の濃淡を
耳に届く
いくつもの音を
自分の鼓動も
身体の重みも
すべてすべて
手放して

意識を拡散してもなお


眠れないまま
夜が消えていくのを知った


朝が来る
2006.04.22 Sat l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
言葉は断片的で

長い文章にならない

ああ

枯渇した井戸には

枯葉が溜まっていく

ああ

井戸の底には

私の死体が埋まっている


言葉は断続的に

不規則なリズムを刻む

ああ

死滅した星には

風の吹きぬける音だけ

ああ

星は燃え尽きて

私の姿も霧散してしまう


言葉は断言出来ず

不可思議な事象を刻む

ああ

磨耗した声音には

軋んだノイズが混じる

ああ

声は届かない

私の想いも掻き消されてく
2006.04.21 Fri l 花膳 l コメント (2) トラックバック (0) l top
風が強いので
埒もないことを考えた

吹けば飛ぶよな
華奢な子だったら
あなた守ってくれたでしょうか

掴まえてないと
飛んでっちゃうよな子なら
あなた抱きしめてくれたでしょうか


だけどあたしは
吹けば飛ぶなら
飛んでいきたい

守られてなんか
いたくもないし
抱かれてばかりも
お断りなのだ

自由気ままに
飛んでいきたい


風が強いので
埒もないことを考えた

けれどやっぱり
飛べはしないので

自力で自転車漕いで
風の中進むのだ
2006.04.21 Fri l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
子どもみたい

我を張るばかりで
言い訳ばかりで
駄々を捏ねては
文句ばかり

自分のことしか
考えなくて
そのくせ自分が
見えていなくて

良い顔したって
構わないけど
自分の状況
分かってないし

強気のつもりを
誤解したのか
喧嘩腰では
話にならない

仲良くばかりは
難しくても
そっぽ向いてちゃ
話にならない


誰かが言うから自分も言うし
誰かがするから自分もするし

お前が言うならこっちも言うし
お前がするならこっちもするし

度を越えすぎて

誰も言わずとも自分は言うし
誰もしないのに自分はするし

他所の子どもに
口出し手出しを
するまえに
自分を鏡で見るべきじゃないの


出来の悪い子どもみたい

可愛くないとは言わないけれど
もすこし躾はしておきたい

いつまでも
子どもの理屈が
通用すると思うなよ
2006.04.20 Thu l 日々の罅 l コメント (4) トラックバック (0) l top
とんでもない人だったわ
ママは言った

太陽のように激しくて
月のように冷ややかで
つむじ風のように行ってしまった人

あたしの髪に
白い指を巻きつけて
ママは吐き捨てるように言う


しょうがない人だったわ
ママは言った

若葉のように艶やかで
清水のように爽やかで
流れ星のように煌めいて行った人

あたしの頬に
長い指を纏いつかせ
ママは夢見るように言う


あなたは似てるのね
ママは言う

柔らかな和毛も
眠たげな瞳も
薄情な唇も同じね

あたしの首に
細い指を絡み付けて
ママは微笑みながら言う


二人とも愛しているわ
ママは言った

二人とも愛していたわ
ママが言う

あたしの唇に
優しいキスを落として

あたしの骸に
優しい愛を残して



                  (2005/01/28)

2006.04.20 Thu l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top
欲望の赴くままに
あなたが欲しいの

あなたの指
あなたの唇
あなたの身体

抱きしめて欲しいの
息も絶えるほど
抱き尽くして欲しいの
身悶えるほど

生きたいの
死にそうなくらい
行きたいの

感じたいの
案じちゃうくらい
感じたいの

構わないで
絡まないで
語らないで

離さないで
放れないで
話さないで

交わさないで
躱さないで
乾かないで

掻き乱して欲しいの
掻き回して欲しいの
掻き出して欲しいの

入り込んで欲しいの
取り込んで欲しいの
染み込んで欲しいの

ただ欲望のままに
あなたが欲しいの

愛じゃないの
恋じゃないの
言葉に意味はないの

愛撫が欲しいの
細部まで欲しいの
内部に欲しいの

あたしの指
あたしの唇
あたしの身体

抱きしめられたいの
息も喘ぐほど
抱き壊されたいの
もう会えぬほど

溶け合わなくていいの
くっついていたいの


そんな日もあるのよ

そんな日があるのよ

2006.04.19 Wed l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
たいしたものじゃなくても
私には宝物だった
あの頃

道で拾った縞模様の石
艶やかに光る紅い木の実
名も知らぬ鳥が落とした白い羽
ラムネ壜に眠る硝子球
四葉のクローバー

とるにたらないものでも
私には大事だった
あの頃

気になるあの子のネームタグ
秘密の手紙の紙飛行機
屋上から線のように見えた水平線
放課後のナイショ話
図書室の片隅

あの頃
ポケットの中に入っていたもの
机の中に入っていたもの
ランドセルの中に入っていたもの
忍び笑いをしていたものたち

今はもう
この手には残ってないけれど

この胸の中で
今もまだ
輝いている


                  (2005/01/26)


2006.04.19 Wed l 月々 l コメント (6) トラックバック (0) l top
目を閉じて
キーボードを打つ
溢れ出した言葉が
今ここに生まれる

弾丸の速さで
あなたの目に留まり

羽毛の軽さで
あなたの胸を射抜く

心の湖ならば
錘のように沈みたい

浮かぶ泡とともに
眠りの中に咲きたい


口を噤んで
指先に声を託す
隠すことのない想いを
今ここで届ける

秒針の速さで
あなたの前を過ぎて

綿毛の軽さで
あなたに根を下ろす

心の洞窟ならば
熾火のように光りたい

爆ぜる火花とともに
照らすものになりたい


あなたには

ただの一瞬の出来事
ささやかな遠い景色

それでも
感じてもらえるならば

紡がれた物語
綴られた言の葉
今ここで始まる
2006.04.18 Tue l 花膳 l コメント (4) トラックバック (0) l top
普通じゃないとか
変わってるとか
他人をどうしてそう言えるの?

普通じゃないとか
変わってるとか
自分をどうしてそう言えるの?

蔑むのもいい加減にして
奢るのもいい加減にして

世界の見方を間違えないで

あなたの見ている世の中が
あなたに聞こえる世の中が
あなたの思う常識が、
あなたの感じる偏見が
あなたの思い込みでないとどうして言えるの

つまらない捉え方はやめなさい
世界を面白くなくするのは止めなさい

常識なんて、と
悲観するのも
論じるのもやめて

気持ちが悪いわ

お前は一人だと
私は一人だと
仲間外れに陶酔しないで

虫唾が走るわ

他人なんて気にする時点で
ただの馬鹿だわ、あなた

世界なんて
あなた次第よ


                  (2005/01/20)

2006.04.18 Tue l 月々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
街中で
あなたに良く似た人を見たの
あなたの顔なんて
もうとっくに忘れているのに

あなたの顔なんて
もうすっかり思い出せないのに

不思議ね


もしかすると
あなたに似た人じゃなかったのかも
あなただったかも
似ても似つかぬ別人だったりしてね

あなたのことなんて
もうさっぱり忘れていたのだもの

可笑しいね


ほんの少し
あなたを好きだった記憶が甦ってきたよ
記憶は断片的なのに
もう綺麗に仕舞い込まれていたのにね

あなたとの恋なんて
もうすっぱり想い出なのに

切ないね


本当のあなたは
どんな顔だったのかなんて
覚えてないのに

本当のあなたが
今どこで何してるかなんて
知る由もないのに

それでちっとも構わないのに


恋してた胸が
少し痛んだよ

あたたかさを連れて
2006.04.17 Mon l 花膳 l コメント (0) トラックバック (0) l top
そんなんじゃダメよ
置いてかれるわ
人並みに歩きたいなんて
言ったのは誰

そんなんじゃダメよ
流されちゃうわ
人波を歩きたいのなら
自分を持ってよ

次の瞬間に
シグナルが変わるわ
飲み込まれたままじゃ
赤も黄色も関係ないよ


そんなんでいいの
騙されちゃうわ
天使の羽に見えたとしても
裏側は悪魔よ

そんなんでいいの
笑わせないで
戦士の剣に消えたとしても
誰も嘆かないわ

次の瞬間に
行き先が決まるわ
取り込まれたままじゃ
右も左も関係ないよ


なにをみて
なにをきいたか

なにをえらび
なにをすてたか

なににわらい
なににないたか

ちゃんと自分で覚えていてよ


次の瞬間に
この歌を唄うわ
放り出されたとしても
誰もなんにも関係ないわ

次の瞬間に
世界が目覚めても

次の瞬間に
すべてが終わっても

自分でいるわ


自分らしく生きるわ


                   (2005/01/14)
2006.04.17 Mon l 月々 l コメント (3) トラックバック (0) l top
わんこと一緒に

春の野道を歩いた


蒲公英が咲いて

蓮華が咲いて

シロツメクサが咲いて

柔らかな草が揺れる


傍らを水が流れて

頭上を雲が流れて

鳥の声と陽射しが降り注ぐ


どこまで行こうか


きみに任せると

帰って来られなくなっちゃうから


あの先の曲がり角まで

とりあえず

歩いてみようね
2006.04.16 Sun l 日々の罅 l コメント (4) トラックバック (0) l top
真っ直ぐに僕を見つめるきみの瞳が
まっさらな僕を見つめるきみの瞳が
とても好きだよ

真っ青な空の下で
二人で世界の果てを目指して
自転車を漕いだね

真っ向から吹く風に
二人で大声で笑いながら
夕日を目指したね

あの頃の僕たちは
永遠を知ってたよね
あの頃の僕たちは
無限に向かってたよね

終わりがあると知って
果てがあると知って
僕は少し大人になった

真っ直ぐに僕を見つめるきみの瞳に
まっさらな僕を見つめるきみの瞳に
あの頃の面影がよぎる

それで僕は思い出すんだ
それで二人は思い出すんだ

永遠の在り処を
無限の存在を

行こう
二人で
真っ青な空の下
真っ赤な夕日の向こう

僕たちは
少年だった

僕たちは
今でも
少年だった

                       (2005/01/12)
2006.04.16 Sun l 月々 l コメント (2) トラックバック (0) l top