というわけで。
新しいカテゴリを作ってみました。
『月々』です。
ブログで詩を書き始めてからこちら、数え切れないほどの(数えるのが面倒(笑))詩を書いてきました。
字数にして二十万字(笑)
当然、始めの頃のものなんて、今以上に人の目に触れません。
それもまた時間の流れの中では仕方のないものなのですが、もったいない(笑)
そう、もったいないのです。
自分の才能を過信しているわけでは断じてありませんが、私は自分スキーです(笑)
過去の自分を振り返るためにも、どんなものを書き、どんなものを好むのかを、知っていただくためにも、便利なのではないかと思うのです。
ここのところ、言葉を綴る余裕がないような気がします。
なんとなく。
非常になんとなくですが。
それもあって、かつての自分たちに会おうかと。
少しずつ増やしていきますので、これも良かったら見てやって下さいましv
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お気に入りの場所
帰り際
立ち寄った
小学校と中学校の上
団地の端
公園というにはお粗末
下生えだけの広場
だけど春には
万朶の桜が咲いている
ひっそりと
ゆったりと
時間が流れてく
あたしは一人
車を降りて
降り注ぐ
光と花を受け止める
秘密にも近い場所
帰りがけ
立ち寄った
知るのはご近所と児童生徒
それから卒業生
声高に教えるには地味目で
知る人ぞ知るような場所
だけど春には
辺りが桜に覆われる
泰然と
悠然と
時間が流れていく
歳月重ねた
老夫婦が座って
穏やかな顔で
夕桜が降るのを見てる
夕暮れの桜の下
キーを廻して
あたしは家路に着く
また来年
あたしは一人
ここに来る
きっと
桜と時間の待つ場所へ
やり残したことはありませんか
し損ねたことはないですか
今日で終わります
週明けはもう新しいのです
慌てないように
困らないように
今のうちに
でもまあ
新年度に入ってからでも
意外となんとかなるものですが
今のうちにやっておけば
それなりに気持ちよく
新たなスタートを切れたりするものです
まとめ損ねはありませんか
片付けることはないですか
これも一つの区切りです
これはこれは
二度とおいでにならないものと
思ってましたが
大抵は二度とおいでになれないもの
よほど
想いがお強いと見える
本日は何をお求めで
ははあなるほど
うってつけのものがございます
綺麗でしょう
桜の精霊ごと漬けたお酒ですよ
こんな黄昏の町でも
光源の乏しい店内でも
ほんのりと淡く光る
そう夜光る桜のように
世知辛い流れの中で
この桜は伐られましたが
このように美しいお酒となって
眠っているのです
貴女のような方を待つために
口に含めば薫り立ち
眼前に花開くでしょう
たちまち虜となり
絡め取られてしまうほどに
だが
飲ませすぎは禁物
これは桜のお酒
飲みすぎれば誘われて
花に埋もれ根に絡まれ
土の中に眠るのは必定
桜の下に眠る屍となるでしょう
それでも良いと仰られるならば
どうぞお持ちなさい
ええ
ちょうど二人分入ってございますよ
風が強いので
春の花たちが
飛ばされていく
そこらじゅうを
軽やかな色と
甘やかな薫りで
埋め尽くして
陶酔するような
花の乱舞に
眩惑されて
あなたの姿も
見えなくなる
風が強いので
春の花たちは
散り散りになる
そこらじゅうを
鮮やかな色と
艶やかな薫りで
満たし尽くして
惑溺するような
花の円舞に
魅了されて
あなたの声も
聴こえなくなる
風があまりに強いので
春の花とあなたは
舞い上がっていく
そこらじゅうを
とりどりの色と
さまざまの薫りで
覆い尽くして
耽溺するような
恋の輪舞に
翻弄されて
わたしの心は
捕らえられた
お花見に行こう
手を繋いで
お弁当とお茶を詰めた
バスケット片手に
桜見に行こう
仲良く並んで
降り頻る花びらを
競って受け止めよう
柔らかな下草の上
寝転んで
花霞越しに
青い空見上げたり
いっぱいに広がる花びら
掬い取って
互いの頭の上
笑いながら降りかけてみたり
お花見に行こう
きみとふたり
静謐な夜が
指の先に沁み込んで
書きかけの手紙の
ペン先に滲む
空を切り裂く
線のような月が
細い窓越しに
言葉を照らす
闇に解けていく
綴った文字列
蒼いインクは
寡黙の涙を流す
星が映り込む
幾つもの爪の先で
途切れたままの
便箋を切り裂き
ざわめきの風に
春雪の如く散らし
夜桜の吹雪と
混じりあうのを追う
静謐の夜は
心に沁み込んで
書かれた手紙は
日の目を見ない
それでもまた
今宵も綴る
夜が引き出した
想いのままを
新しい橋を架ける
繋がる先は誰にも秘密
この大きな河の向こうに
目指す場所があるのだと
それだけ教えてあげよう
新しい橋を架ける
今までの道は遠回り過ぎた
この急流の河の向こうに
行きたい場所があるのだと
それだけ耳打ちしてあげよう
たくさんの私が
遠回りをした
たくさんの私が
濁流に消えた
だから
新しい橋を架ける
あの河の向こうに
たどり着くために
新しい橋を渡る
行き着く先は誰にも内緒
この大きな河の向こうで
会いたいものがあるのだと
それだけ明かしてあげよう
そして
あなたを置いて
私は橋を渡ろう
手にしたものを
二度と離さない
そんなことは
できはしない
何とひきかえにしても
何を犠牲にしても
そんなことは
できはしない
だから
その手を離して
零れ落ちたものならば
拾い集めればいい
砕け散ったものならば
掻き集めればいい
愛する人の手ならば
そばにあると信じて
勝ち取った栄誉ならば
惜しまぬ努力を続けて
手にしたものは
いつか離れていく
どんなものでも
いずれ離してしまう
それを嘆いても
それを悔やんでも
どんなものでも
いつか離してしまう
だから
その手を離して
失くしてしまったものならば
探し出せばいい
忘れてしまったものならば
思い出せばいい
夢見た希望の光なら
目を凝らして見つめて
積み重ねてきた時間なら
連なっていると信じて
そして
その手を離して
新しい何かを
失った何かを
また掴み取っていけばいい
たくさんの人がいて
たくさんの恋があって
一緒に歩んだり
途中で別れたり
あるいは
最初からすれ違うこともある
どんなかたちで
恋が終わったとしても
どんな結末を
二人が選んだとしても
それは
どれだって
当たり前のこと
別れる恋なら
違える道なら
最初から
出会わなければ良かった
なんてこと
ありはしない
どれだって
当たり前のこと
歩き出すための第一歩
踏み出す場所に悩んでも
一度上げた足は
どこかへとおろすもの
今まで起きたことは
もう戻りはしないし
後悔なんて
したところで意味がない
その足で次はどこに向かうか
道標にはなりはしないけど
案内人にはなれないけど
振り上げた足の先に迷うなら
一度座り込んで
他愛ない話をしよう
それだって
よくあること
そしてまた
歩き出せばいい
地球が揺れて
あたしが震えた
心も揺れて
指先が振れた
そんなふうに
この大きな星と
この小さなあたしが
繋がって
等しく揺れる
ひとつの
生命のように
あなたが結婚したって
風の噂で聞いた
酷い人ね
直接言ってくれたなら
裏表も下心も
見せない笑顔で
おめでとうって言ったのに
一番でいたつもりで
本当は遠かったね
恋人じゃなかった
ただの同志でいたから
とてもきれいな人だって
世間話で聞いた
そんなものね
見た目よりも中身だよって
セリフの価値なんて
もちろん中身も
素敵な人かもしれなくても
一度だけキスした
そんなこともあったね
恋人じゃなかった
ただの友達だったね
あなたが結婚したって
風の噂で聞いた
あの頃少し
好きだったんだよって
裏表のない本音を
泣かない笑顔で
私も風に飛ばしてみせたよ
私はあなたの人生のほとんどを知らない
あなたは私のことをほとんど覚えていない
だけど愛しています
私と同じ学校へ通った
その昔は裕福だった
若くして夫と死に別れた
母たちを育ててきた
気の強かったあなた
丸まって眠る
甘いものが好きで
食欲の衰えない
耳も目も自由の利かない
今でも気は強いあなた
違う世界を見ている
違う次元を彷徨う
小さく細いあなた
お誕生日おめでとう
あなたの今日を祝えることを
私はとても嬉しく思う
お誕生日おめでとう
来年の今日も祝えることを
私は心から切に願う
九十六歳の祖母へ
あなたが私を忘れきってしまっても
どうか生きていてください
元気で
あたしがここにいる理由
あなたの隣にいる訳
そんなもの要らないでしょう
あたしがここにいたいだけ
あなたがあたしを求めてるだけ
理由なんて必要ないし
言葉になんて出来ないの
そんなこと大事じゃないの
あたしがここにいたいだけ
あなたをあたしが求めてるだけ
抱きしめてあげる
抱きしめていてよ
優しいキスをあげる
優しく愛撫して
指先を絡め合わせて
舌の先まで溶け合って
もつれ合って絡み合って
解けなくなるほどに
あたしがここにいる理由
あなたの傍らにいる訳
そんなもの要らないでしょう
どんなに蕩け合っても
あたしとあなたは違うから
ただそれだけよ
簡単なこと
遠くで誰かが呼んでる
あたしの名前
可聴音じゃない
心が感じる声で
どこかであなたが呼んでる
あたしの名前
忘れてしまっていても
心で刻んだ声で
遠い誰かも
はるかなあなたも
あたしなんて呼んでない
あたしの心が生み出した
あたしの記憶が呟いた
誰かの声があたしを呼ぶ
求めて欲しいと願っていた
応えて欲しいと祈っていた
あたしの思いがあたしを呼ぶ
呼んでください
あたしの名前を
誰かどこかで
虚言だと言われたって
妄想だと笑われたって
唇に乗せる
言葉にしてしまうの
誰にも見える
言葉にしてしまうの
どんな夢も
どんな恋も
行方も未来も
選びとるため
掴みとるため
声に出してみるの
書き綴ってみるの
なりたいものを
やりたいことを
言葉にして
世界に宣言するの
声高らかに
言葉に力があるように
言葉に力を込めるの
あたしの明日は
あたしの未来は
踏み出す一歩は
あたしが決める
朝
目が覚めて
カーテン越しに
いい天気なのが
分かったら
ぐずぐず寝てないで
出かけよう
仲良しのあの子も
大好きなあなたも
あとからおいで
さあ
新しい一日
庭木が芽吹いて
誘いかけてるのに
気付いたら
大きく伸びをして
出かけよう
薫り高いお茶と
手作りのお菓子で
あとでお茶しよう
春の散歩道
せっかくのお休み
出かけようよ
いいお天気
そこにあるもの
それを夢と言うのなら
私は確かに
夢を見てた
抱かれてる間
感じたぬくもりを
愛と呼ぶのなら
私は確かに
愛を手にしてた
そして
頬を伝うものを
涙と言うならば
私は泣いたりしない
笑って見送ろう
涙を見せなければ
哀しくないのだと言うのなら
この手を振り解こう
ぬくもりがなくても
愛と呼べるものがあるのなら
手に取って見せよう
絵空事もまた
そこにあることでかたちになるなら
世の中は時折
思い出したように
手のひらを返す
素っ気ない冷たさで
春色の服を
濡らしていく
容赦ない表情で
桜色の花を
溶かしていく
空と街の境目がない
花曇りの昼
日常は時折
思い出したように
人を突き放す
味気ない毎日を
銀色の雨で
縫い付けていく
残酷な表情で
桜色の唇を
ほどいていく
夢と現の境目のない
花曇りの昼
誰もいない公園の
桜吹雪の中
きみと笑った
追い掛けても
擦り抜けてく
花びらときみ
気ままに優雅に
僕の心
掻き乱してくんだ
遠くで鶯が囀って
今年最初の春を告げてる
競うように
ブランコ揺らした
花の中の笑顔
傍らの僕と遥かの町
桜色に
染め上げてくんだ
仰ぎ見た青空は
手を伸ばせば触れられるけど
横で笑うきみは
揶揄うようにキスを逃げるね
誰もいない公園で
月夜桜の中
きみと笑った
抱きしめても
擦り抜けてく
花びらときみ
気まぐれで自由な
春の夜を
駆け抜けてくんだ
非常ベルが鳴り響く
防火扉は閉ざされる
階数表示のない階段を
駆け下りていくあたしの足音
踊り場ごとにたたらを踏んで
墜落のように駆け下りて
終わりの気配のない階段を
転げ落ちてくあたしの心音
急かされるように一段降りて
踏み外すようにまた一段
ひたすら続いていく階段を
それでも降りてくあたしの呼吸音
非常ベルが鳴り響く
壁と手すりにこだまして
非常ベルは鳴り響く
あたしの音を掻き消して
それでもあたしは降りていく
出口はないと知りながら
それでもあたしは堕ちていく
行き場はないと知ってても
手の届かない場所に
離れていってしまったものを
諦めきれずにいられるのかな
宇宙の果てにまで
遠ざかってしまったものを
取り戻そうと頑張れるのかな
今ただ言えることは
それでもなお
いとおしい
それだけ
抱きしめておかなかった
朝日が浚った闇夜のように
跡形もなくなったもの
愛しさだけ残して
聳え立つほどの壁に
阻まれて消えてしまったものを
なかったことにしてしまえるかな
底が見えないほどの沼に
引きずり込まれて沈んだものを
見なかった振りしてられるのかな
今ただ想うことは
諦念と悔悟の
くるおしさ
それだけ
握り締めておかなかった
嵐が攫った手紙のように
どこかへ消え去ったもの
哀しみだけ残して
胸に空虚の穴を残して
いってしまったものたちを
届かぬ腕(かいな)を振り上げながら
掴もうと足掻く
諦めきれなかったことを
諦めることなんてできるのかな
悔やんでしまったことを
悔やむことなんてできるのかな
今ただ言えるのは
無様な己すら
愛してる
それだけ
涙が出るほど甘いお菓子を
頬張って咀嚼して
笑い出すほど甘いお菓子を
じっくりゆっくり味わった
そんな恋
痺れるほどに甘いお菓子を
頑張って嚥下して
麻薬のような甘いお菓子を
貪るように味わった
そんな恋
甘くコーティングされたお菓子は
本当は
甘くなかったのだとしても
べたつく甘さのその下に
本当は
苦さや辛さが潜んでいたとしても
蕩けるほどに甘いお菓子を
切望し渇望した
あたしを甘く蕩かすような
あなたを望み求めていた
そんな恋
細かい細かい雨の粒
あたしに降り注ぐ
ダイヤの粉を散りばめたように
水晶の欠片まとったように
あたしも世界もきらきら光る
あなたの優しい手のひらは
もうあたしの髪を撫でない
力強い腕さえももう
あたしの身体を包まない
だからあたしは輝いたまま
吹きっさらしの世界の中を
だからあたしは煌めいたまま
濡れそぼった世界の中を
歩いていける
歩いていくの
細かい細かい雨の粒
あたしに降り注ぐ
家に帰って乾いたタオルで
火傷するほど熱々のお茶で
自分で自分を暖めるまで
あたしはきらきら
菜の花に隠れた
白い蝶を追った
春風が優しく
雲のない青空を
通り過ぎてく
開き始めた桜
枝先で微笑んでた
ひだまりの下には
小さな花々
歩いていこう
どこまでも
きみに春を伝えに
上着なんて脱いで
窓ならば開け放そう
春風がふわりと
眠たげな街並みを
包み込んでた
立ち止まった人が
空を見て微笑んでた
木漏れ日の下には
まどろんだ仔猫
歩いていこう
どこまでも
誰かに春を告げに
空を横切るツバメ
どこかの軒先で鳴く
春風は柔らかに
青を映す田んぼを
揺らしていく
芽吹き始めた草が
鮮やかにに微笑んでた
太陽の下には
幾つもの誕生
歩いていこう
どこまでも
世界に春を歌いに
歩いていこう
どこまでも
全てに優しくなれる
世界に微笑みを
きみがあたためている
そのタマゴ
大事に持って
巣立っていこう
きみはまだ小さな雛鳥
だけどももう
自分の力で
羽ばたいていける
着つづけていた産毛を脱ぎ捨て
守られていた巣箱を去るんだ
夢や希望を抱きつづけて
いつか孵化するその日まで
大事に持って
歩いていこう
きみはまだ小さな雛鳥
だけどもう
目指した場所へ
羽ばたいていける
一緒に過ごした仲間にさよなら
いつかまたどこかの空で
こちらに越してきて、まだひと月足らず。
まだまだ不慣れですが、これからもここで続けていけそうな気がする今日この頃です。
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皆様、お優しいので、ぽちっとぽちっと押してくださるらしく。
FC2の方で、上位に食い込んでます。先日は、短時間ながら首位獲得させていただきました。
我ながら、うっそだぁ、と思っちゃうくらいです(笑)
本当に、ありがとうございます。
皆さんがいてくれるというだけでも励みになりますのに、これはさらに励みになります。
と、こんなことを書くと、押してくれ、と言わんばかりのようですが(いや、もちろん押していただけたら嬉しいですけど)、気に入って下さったらでいいんです。
たとえば、今日の作品はツボだった、とか。
割と、好みかも、とか。
まあ、或いは、こんなところよりもいいところ探してみようかな、という場合の手段としても使えます(笑)
お礼の言葉を一言申し上げたくて、書いてみました。
…でも、なんだかやっぱりあざとい感じがするので、数日載せて、その後削除しようかとも思います(笑)
目が乾いたので
瞳を閉じて
指先をあてた
悲しくもないのに
嬉しくもないのに
溢れ出る涙が
心地よかった
泣けなくなっちゃったね
いつからか
声を殺すつらささえ
忘れちゃうほど
心が渇いたので
瞳を閉じて
胸に手を当てた
なんてことないのに
なにごともないのに
溢れ出る想いが
さざなみを立てた
疲れきってたんだね
いつのまに
漫然と死んでくことに
気付かないほど
自分で
自分のこと
抱きしめたいよ
たまには
泣いていいよ
そう言って
洗い流してくれるから
満たしてくれるから
たまには
泣いてもいいんだよ
誰にも
そう言ってくれる
抱きしめてくれる
そんな誰かがいるといいのに
いつかまた
あの桜を見に行こう
あの時ふたりきりで見た
僕らはふたり
幼くて
互いの手だけが
頼りだったね
僕らはふたり
小さくて
世界はとても
果てしなかったね
そのくせ
溢れんばかりの
好奇心と冒険心で
僕ら
あの山を目指したんだよ
いつかまた
あの桜に会いに行こう
きみとふたりきりで見た
迷い込んだ森
怖かったね
互いの手だけが
味方だった
燃え尽きた夕日
消え去って
世界は急に
膨らんでったね
そのくせ
あたたかさとやわらかさで
世界は
僕らふたりを包んだんだよ
月もない夜に
ふたりきりで見た
あの桜
顔も見えない
ふたりの前に咲く
あの桜
いつかまた
あの桜に会いに行こう
幼い僕らが
あの夜の中
桜の下で
迷子になっているから
いつかまた
あの桜を見に行こう
幼いふたり
大人になった
桜の下で
互いの手を繋ごうよ
世界は
女の子が作る
虹色のシャボンの玉の中
世界は
男の子が積んだ
角砂糖の階段の上
世界は
恋人たちが交わす
虚偽と真実の睦言の狭間
世界は
空から零れ落ちる
一粒の雨
世界は
音を立てて開く
一輪の花
世界は
この指先から
生まれる
世界は
この眼差しから
始まる
世界は
ただ一拍の鼓動から
世界は
ただ一息の吐息から
そして
世界は
いくつも生まれ
いくつも消えて
いくつも始まり
いくつも終わる
この世界の中で
この世界の外で
あるいはどこかで