暖かく柔らかな水の中
優しく響く子守唄
呼びかけるあなたの声が
響いて満ちて包まれる
愛情で守られた水の中
寄せては返す子守唄
撫でていくあなたの愛が
伝わり波打ち満たされる
これが全ての世界だと
信じていられるような
愛が全ての素材だと
迷わず言えるような
暖かく優しい場所
世界がもっと広いと
愛以外のものがあると
知ってもなお
あなたの心音とララバイが
誰かの心音とララバイが
優しい愛を連れてくる
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眠れない夜があるなら
ここへとおいでよ
優しい味のミルクを
温めてあげるよ
一滴ヒミツのお酒も
加えてあげるよ
君が眠れないそのわけを
夜に打ち明けてごらん
夢を囁く声が聞こえてくるよ
それでもまだ眠れないなら
ここへとおいでよ
静かな色の話を
聞かせてあげるよ
一掴みナイショのスパイス
加えた物語を
君が眠りにつくように
夜が語りだすだろう
夢を紡いだ歌を聴かせるだろう
月の揺りかご
夜にたゆたう
星の伽話
夜にさざめく
瞳を閉じて
耳を澄ませて
柔らかな光が瞼越しに
降り注ぎながら
揺れるだろう
優しげな声が耳の傍で
眠りを誘って
歌うだろう
青く光る惑星を抱き
明日の夢を見るように
甘く香る朝焼けを待ち
素敵な夢を見るように
月の揺りかご
夢にたゆたう
星のララバイ
夢にさざめく
超難解な漢字が書けても
超難問な数式が解けても
解らないことばかりだった
どうしてこんなに君が好きなの
大勢の中でも君を見つけて
どんな人でも君に見えてた
どこにいたって君ばかりだった
どうしてこんなに好きなんだろう
グラウンド走る君の背中や
誰かと笑う君の目尻や
そんなことまで追いかけてしまう
どうしてこんなに探しちゃうんだろう
誰も教えてなんかくれない
誰にも教えてなんてやらない
ただ君にだけ耳打ちしようか
どうしてもこんなに君が好きだよ
机の中にこっそりと
招待状が届いたら
それが合図の忍びごと
素知らぬ顔で
秘密の場所へ
ノックは三回
それから一回
それではどうぞ
秘密のお茶会
ビーカーフラスコ試験管
メスシリンダーガスバーナー
天秤ばかりと薬さじと
丸底フラスコ茶を淹れて
漏斗でコーヒー淹れたなら
薬壜出してご覧じろ
ラベルに書かれたKCN
光る結晶どれくらい
20杯ほど貰おうか
それなら私は15グラム
薬さじ乳鉢薬包紙
天秤分銅ピンセット
お次はこちらのスポイトで
誰もが見てないそのうちに
秘密の液体ひと垂らし
小瓶に貼られた髑髏のマーク
口元にやりと笑ってみせる
さあさあどれでも好きなもの
選んで皆でティータイム
今日の餌食は誰かしら
素知らぬ顔でティータイム
全てがそつなく終わったら
洗って綺麗に元通り
専用戸棚に鍵かけて
それでは皆さんさようなら
机の中にこっそりと
招待状が届くまで
毒を盛られたその人が
次の会を開くまで
どこにでもいる一生徒と
どこにでもある理科室の
顔をしながらさようなら
がっかりなんてしたくない
ぎっしり詰まった愛の味
ぐっすり眠ってる横顔に
月光の道を辿ってさ
ごっそり運んでいくからね
ざっくり混ぜて練り上げる
じっくり待って出来上がる
ずっとずっと君を想いつつ
絶対的な愛情込めるの
ぞっこんなのよと開き直るわ
だんだん君が好きになる
じりじりこっそり近付いた
ずんずん進んでいきたいけれど
でもでもだけどもじらしたい
どっきりさせたい恋心
ばっちり可愛くおしゃれして
びっくり顔を見てみたい
ぶっちゃけあたしを食べてもいいわ
別にチョコだってあげるけど
ぼやぼやしてたら盗られるわぱっちり開いた瞳の中に
ぴかぴか笑顔のあの子が見える
ぷぷっと笑って抱き寄せてみた
ぺろりと舐めたチョコとあの子は
ぽかぽか春の味がした
明日なんて見えなくて
生きていることが辛くて
いっそ終わらせてしまおうかと
明日も今日の続きで
生きていくことは苦痛で
いっそ断ち切ってしまおうかと
そう思っては
いけないだろうか
救いなんて見えなくて
孤独に沈むのが怖くて
もはや信じるものなどないと
望みなんて抱けなくて
絶望にまみれるのが不安で
もはや涙も枯れて果てたと
この身を捨てては
いけないだろうか
駄目だと止める者などなくて
やめろと宥める者などなくて
それでも生きては
いけるのだろうか
明日なんて見えないから
もしかしたらなんてこと
いっそ信じてしまおうかと
明日は今日より良くて
生きていくことは歓喜で
そう願ってみようじゃないかと
明日も生きては
いけるのだろうか
生きろと止める者に会うため
笑えと宥める者に会うため
行けるとこまで
生きてみようか
いいお天気ね
呟いた声に
いいお天気ね
笑い声が応える
春の桜も
夏の陽射しも
秋の夜風も
冬の椿も
いい景色よね
微笑んだ声に
いい景色だわ
しみじみと応える
晴れた空にも
雨の音にも
月の光も
雪の白さも
いい眺めよね
楽しげな声に
いい眺めよね
可笑しげに応える
遠い昔の
小さな時分の
想い出を肴に
お茶を飲んで笑う
いい仲間よね
笑い出す声に
いい仲間よね
笑い声が応える
どうしようもなくて
明日の光も見えず
朽ち果てるのを待つ
そんなのはいやだ
縋りようがなくて
誰の腕も見えず
倒れ臥すのを待つ
そんなのはいやだ
世界がずれていると
知ったのはいつだ
スライドする様に
気付いたのはいつだ
信じようがなくて
立ち位置さえも見えず
埋もれていくのを待つ
そんなのはいやだ
手繰りようがなくて
誰の顔も見えず
孤独だけがいや増す
そんなのはいやだ
世界はずれていても
叱咤して進む
世界を取り戻そうと
傷ついても進む
元通りになるまで
お天気のいい日には
秘密の庭で待っているわ
図書室を抜けた温室の先
冬薔薇の小道
小走りで駆けてきて
降り注ぐお日様に
煌めく髪を揺らして微笑うの
ナイショのおしゃべりをしましょう
小鳥達の囀り
それとも少女の笑い声
本の森の中を通り
冬枯れの木立の下を
野放図に乱れる薔薇の間を
こっそりと駆けてきて
お日様の出ない日にも
秘密の庭で待っているわ
図書室を抜けた温室の中
熱いお茶を用意して
手作りの焼き菓子を
頬張りながら微笑うの
ナイショのおしゃべりをしましょう
木枯らしのざわめき
それより少女のさんざめき
本の城の中を通り
枝越しの空の下を
香り立つ鮮やかな薔薇の間を
こっそりと駆け抜けて
図書室の奥の秘密の扉
かけられた呪文を知る少女を
楽しみに待っているわ
ここは秘密の裏庭