落ちるのを踏みとどまれば
きっと何かを落としてしまう
落ちてしまえばきっと
戻るのに苦労してしまう
どこにいればいいんだろう
己の立ち位置を見失う
踏みとどまったつもりのここは
上にまだなお地上があって
落ちてしまったつもりのここは
あるいはまだまだ下がある
そんな場所かもしれないから
己の立ち位置に自信がない
(2009.12.28)
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わけもなく泣きそうになる
泣いてもいいよと
誰かが言ってくれたなら
きっと泣けなくなるけれど
わけもなく泣きたくなる
泣かないでよと
誰かが困ってしまうなら
きっと泣かずにいるけれど
わけもなく泣きたくなる
ただ黙って
誰かが包み込んでくれたなら
きっと泣いてしまうんだろう
わけもなく泣きたくなる
誰もいない夜
暖かなお風呂の中で
きっと静かに泣くんだろう
(2009.12.22)
雨音に照らされて
夜はひっそりと息をする
砕けて濡れた硝子の少女が
愛を求めて歌唄う
道に貼り付く恋文が
雨粒の中で千切れてく
古い街灯が泣きながら
文字を繋いで口ずさむ
私はここよと嘆くのは
少女か手紙か宵夢か
雨音が照らす夜の街
人知れず濡れる恋の歌
(2009.12.10)
一人では生きられないから
誰かと話をしながら生きてる
噛み合わなくても
すれ違っても
いつか
お互いの心にたどり着ける
そんな未来を信じながら
(2009.12.07)
運命の人を見つけた
昨日の夢の中で
すぐに分かった
この人なのだと
なのに私は機会を逃した
もう二度と会えない人なのに
掴んで離しちゃ駄目だったのに
その笑顔もその声も
見つめる瞳も
伸ばされた腕も
すべてを失ってしまった私は
ただ愕然と立ち尽くしていた
消えてく背中をただ見つめてた
運命の人を見つけた
昨日の夢の中で
目覚めたらもう
何も分からなかったけど
(2009.12.04)
僕の指は魔法使いの指
絵の中の花を摘み取って君に上げる
天を舞う鳥を呼ぶこともできる
僕の指は魔法使いの指
満天の星空でネックレスを作ってあげる
指先に光を灯すこともできる
僕の指は魔法使いの指
君が欲しがるものはなんでも上げる
無くした物を指差すこともできる
僕の指は魔法使いの指
でも君の心は掴めない
君の恋心は作れない
僕の指は魔法使いの指
君が泣いてるときには
君を笑わせてあげる
(2009.12.03)
恋をしていた
胸が痛くなって
呼吸が止まるほどの
恋をしていた
まるで死んでしまうほどの
恋をなくした
胸が痛くなって
呼吸が止まるほどに
恋をなくした
もはや死んでしまうほどに
大げさだと笑わないで
(2009.12.01)
会ったことのない
あなたが思い描く
アタシの像は
アタシじゃないよ
アタシはもっと
あけすけで
アタシはきっと
慌てんぼうだよ
会ったことのない
あなたが思う
アタシの顔は
アタシじゃないよ
アタシはもっと
ありふれた顔で
アタシはきっと
落胆させるよ
(2009.11.29)
悩んでみたって
結局は同じこと
いつの間にか始まってる
恋のように
それはいつだって突然で
回避できないんだから
悩んでみたって
結局は変わらない
悪いことではないけれど
時はいつも
前に進んでいくばかりだから
悩む暇がもったいない
それならいっそ
歩きながら考えよう
それならもっと
笑いながら考えよう
悩みの行き着く先なんて
結局は同じ場所
(2009.11.27)
君が大人になったとき
あの星はもうないかもしれない
三つ並んだオリオンや
文字の形のカシオペア
君が大人になったころ
あの星は北極星じゃないかもしれない
ひしゃくを伸ばしたその先の
あそこに見えるあの星さ
そのころ地球はどうなって
僕らはどうしているのかな
たとえば地軸が傾いて
全てが海に沈むかも
たとえば星が落ちてきて
全てが燃えて尽きるかも
君が大人になるまえに
この星はなくなってしまうかもしれない
明日何が起こるのか
ホントのところは誰も知らない
君が大人になるころに
綺麗な世界であるようだといいね
だから僕らは少しでも
綺麗に世界を使うんだ
(2009.11.24)