夜の虹を見た
それ自体が夢であったかもしれぬ
夜の虹を見た
かそけき七色であった
真白き月が皓々と冴え
銀色の滴が静かに糸引き
眠れる森を潤す夜更け
夜の虹を見た
根元が森の入り口にかかり手招くような
夜の虹を見た
天頂へ伸びる半円は空へ誘うような
紺青の闇で星は密かに
月の光に雫と瞬く
夜の散歩をした
月と星と虹の下
夜の景色を見た
夢とも現とも分からぬまま
己の影は目を凝らしても見えぬまま
己の身でさえあるかなきかがあやふやなまま
そしてただ
夜の虹の麓を目指した
これ自体が夢であったとしても
夜の虹の麓を目指した
かそけき七色を追って
私が嫌いなあの子はいつも
自分は正しいと思ってる
自分は善人だと主張する
自分は可哀想だと嘆いてる
そして
誉めて称えて慰めてと
言葉の外側のアピールが煩い
私の嫌いなあの子はいつも
人の意見に流される
人の忠言に言い訳してる
人の苦言から逃げ続けてる
そして
足掻きももがきも見苦し過ぎて
どんな言葉さえ嘘臭くなる
私も嫌いなあの子はいつも
その場しのぎで飾ってる
その時限りで反省してる
それっきりだと忘れてる
そして
同じ過ちを今日も犯して
同じ轍を明日も踏んで
同じなことさえ思い出さない
私の嫌いなあの子はいつも
そうして私に教えてくれる
空気が読めない人の無様を
上辺しかない言葉の無意味を
それでも自分を貫く無敵を
眠れ眠れ
可愛い君よ
おやすみおやすみ
楽しい夢を
君の見る夢
温かくあれ
君の見る夢
優しい夢よ
眠れ眠れ
可愛い坊や
おめめを閉じて
おやすみなさい
明日がくるまで
お布団の中で
夢の世界で
楽しく遊べよ
眠れ眠れ
ねんねをしよう
ママの歌で
今日もおやすみ
目が覚めたら
新しい明日
起きたら遊ぼう
今日はおやすみ
健やかに育てよ
好きな人がいれば
嫌いな人もいる
誰もかもが好きだなんて
嘘っぽくて仕方ない
気が合う人がいれば
馬が合わない人もいる
誰とでもうまくやれる人は
ただ一人の人を持てない
八方美人が悪いわけじゃない
博愛主義も悪くはない
でも
本当にそこにあなたはいるの?
そこに本当のあなたはいるの?
ありえないと言いながら
無邪気に何かを否定する
自分の尺度しか知らない人は
下手に出てもエゴイストだ
正しいこともあれば
間違うこともある
正義を振りかざす人は
結局はただのナルシストだ
ねえ
本当にそんな世界でいいの?
そこに本当の正解はあるの?
夢を見たよ
君がいたよ
笑ってたよ
夢を見たよ
君とともに
歩いてたよ
幸せばかりじゃなかった
満ち足りてなんかなかった
そんな気がしてたけど
夢の中で
答えを知った
幸せだったよ
きっとずっと
私の言葉が誰かの
背中を押すことになるなら
涙をぬぐうことになるなら
笑顔を呼ぶことになるなら
私の言葉が誰かを
元気付けるものであるなら
抱きしめるものであるなら
心躍らせるものであるなら
私の言葉が誰かに
明日を信じさせられるなら
誰かを許させられるなら
自分を誇らせられるなら
そう願ってやまない
空があって雲があって太陽があって
陸があって花が咲いて草がなびいて
人がいて笑って泣いて
鳥はさえずり犬がほえる
月は満ち欠け星は流れ
朝が来ては夜が満ちる
今日があって昨日があって明日があって
私があってあなたがいてだれかがいる
生命は皆生まれて死んで
時が動いて地球はめぐる
愛は満ち欠け涙は流れ
それでも人は誰かと満ちる
夢を見ているときの
心もとない感じに似て
恋にさまよう人は
手応えを求めてる
まるで雲を掴むような
顔を出すのが遅くなった太陽
深い蒼の空に紅色の雲がさす
まだ光を放つ半月の下の
川沿いを一人きり散歩する
水の音を冷やされた風が揺らす
高い空を国を渡る飛行機が光る
まだ眠りに就いたいくつもの窓を
暁の白い月が横切っていく
ぼんやりと光っていた街灯が消えて
雲の向こうから赤い太陽が見える頃
ほんの少し汗ばんだ額を
優しい風が滑っていく朝が来る
そして今日が始まっていく
そして今日も始まっていく