どこにもかえらない
言の葉遣いになりたい。 たくさんの言葉とたくさんの感性で誰かの心の琴線を響かせたい。 そう思って今日もまた、詩を書いてます。
「どこにもかえらない」にお越しくださってありがとうございます。
とりとめもなく詩を書き散らしているブログですが、良かったら見ていってくださいませ。

ちなみに。

9割がたフィクションですので、どうぞ、その旨ご了承いただきますよう。

厭世的だったり、楽観的だったり、純愛だったり、不毛だったり、男性目線だったり、女性目線だったり、色々ですが、基本的にフィクションです。
もちろん、書いている以上ある程度は私の思想も反映されていますが、現実に起こっていることはあまりありません。
小話や歌詞と同じような感じで捉えてくださいませ。

それを踏まえたうえで、楽しんでいただければ幸いです。


この道をどこまで行けば
私に出会えるのだろう
遠くに浮かんだ星の描く
地図の中にも私はいない
どこかにあるはずの答えは
潮騒に似た風の中
届かないまま霞んで消える
手のひらに落ちる月の調べは
時々優しく胸を撫で
しかし行く道を照らすには暗い
ただ暁だけがそこにある
私に出会う旅
今もまだ歩き続ける

綺麗な絵本のように
一頁ずつ魅せたいの
夢なら十夜を繰り返し
百花繚乱のお話で
千もの夜を編みたいの
千変万化の夢の色

数えた十夜が二十五篇
まだまだ足りない夢の森

綺麗な絵本のように
ゆっくりと綴りたい
楽しく明るく恐ろしく
あなたの夢に忍び込む
色とりどりのお話で
あなたの夢を塗っていく

食べられるのを嫌がったクロワッサンが空に逃げて三日月になったが
満月に怒られて食べられてしまった。
ちょっと焦げてたけどなかなか美味かったよ、と昨日の月が言った。



奮発して綺麗なピンクのブラウスを買った。
朝焼けの色だねと太陽が言えば、夕焼けの色だろうと月が言う。
どっちの意見も通ったので、朝晩二度出勤する羽目になった。
勤務時間は短くなったが面倒くさい。
次に買うときは、オーロラ色のシャツにしよう。



ぎゅうぎゅうに押しつぶされて羊の群れの中にいた。
編み棒を取り出して片っ端からセーターや手袋を編んでいった。
裸になった羊は去っていくが、5935匹を越えたところで眠ってしまったので抜け出せなかった。
とりあえずほかほかしている



グレーのカッターシャツにアイロンをかけている。
二代目だというアイロンマスターが来て、それでは皺が取れないという。
私ごとシャツを皺ひとつないようにしてくれた。
折り目正しい人間になった。



オレンジのリゾットを作った。
そんな邪道なものは食えぬと老人が怒る。
お客様、これはオレンジのリゾットではありません。
太陽を絞って作ったお粥です。
それならばと老人はぺろりと平らげた。
ペテン師めと太陽が呆れるので言ってやった。
食わせてしまえばこっちのものだ。
食えないやつだと笑われた。



水晶売りの老人が声をかけてきた。
青月光入りの水晶を買わないかと言う。
思ったよりも高かったが、買うことにした。
水晶を月に透かすと落ちた光の中に蒼い薔薇が咲いている。
芳しい香りの中で星の歌を聴きながら眠った。



目の前にでかい山がそびえている。
登るのも厭で、どうしたものかと考えていると声をかけられた。
こうすればいいんだよと、太陽がジェンガか将棋くずしのように木々や土を抜き取った。
なるほど、と思ったが、かえって時間がかかる。
太陽は沈んでしまって手伝ってくれない。
しまいには、上から落ち込んできたブロックに押しつぶされてしまった。
こんなことなら、北風でも捕まえて飛ばしてもらうのだった。



ピンク色の森にいる。
良かったら一緒に住まないかと森人たちに誘われた。
可愛らしいが目がちかちかするので丁重に断る。
彼らの姿をメモ用紙にスケッチして去ることにした。
森の絵は部屋の片隅で、時折ピンク色に揺れている。
今のところ、全身をピンクで染める勇気はない。



気づいたらロンドンにいた。
見つけたチッピーでフィッシュアンドチップスを食べていると、月がやってきた。
同じものを、と注文して腰掛けるので、仕事はどうしたと訊く。
こんな霧の夜じゃあ、仕事なんてやってられないよ。
お前さんもだろ、ジャック、と月にナイフを指差された。
計画を変更して月の野郎をやってやろうかと思ったがやめておいた。
切り裂かなくても、今宵の月は細すぎた。



古くなったノートを拾った。
中に書かれているのは見覚えのある自分の文字だ。
青臭さに赤面しつつびっしり書かれた黒い文字を追った。
文字を捕まえると、昔の自分が浮かび上がってきて、物語を再生しだした。
恥ずかしすぎたので、急いでページをめくった。
何も書かれていない白いページの上で、今の自分が待ち構えている。
さて、何を書いたものか。

指先から冷えていく
あいまいな私の境界線
夜気と同じ温度になれば
砕けて消える雪になる

涙の筋も凍りつく
不確かな私の輪郭線
月に照らされ闇に臥したら
明けても目覚めぬ夢になる

震えさえ消え落ちた
うやむやな私の境目を
熱で溶かして解いてくれたら
夜と別った私になる

緩やかに消えていく
体温のような
記憶のような

緩やかに止まっていく
鼓動のような
時間のような

すり抜けていくものを
抱きしめて離したくない

このままずっと
ともにいられたら

人種性別年齢
そんなものは
関係のない

宗教信条言語
そんなことが
瑣末になる

世界に必要なものは



ただそれだけなのだろう


(2008/11/05)

キャンディ
タルト
プリンにパイ

林檎に
葡萄
それから南瓜

美味しいお菓子を頂戴と
シーツのオバケが跳ね回る
小悪魔天使が駆け回る

クッキー
クリーム
チョコレート

バニラに
カラメル
定番苺

美味しいお菓子を頂戴と
可愛い魔女が駄々こねる
ヴァンピールたちが甘えてる


くれなきゃイタズラしちゃうぞと
小さなオバケが押し寄せる

それはもちろんあげるけど
明日のおやつに食べるのよ


そうしてオバケは夢の中


(2008/10/31)

苦しいよ
もうだめ
入らないよ

ご飯も
スイーツも
恋愛も
友情も

腹八分くらいがちょうどいい

たまには
胸いっぱいになっても良いけど

言葉が伝わらないとき
右腕の空気が冷たいとき
通話ボタンを押せないとき
とっさに誰もつかまらないとき

ただわけもなく胸がふさぐ日
夢で誰かに恋をしてた日
コトバの暴力を受けてしまった日
世界にたった一人きりの気分の日

ただなんとなく
もうわけもなく

さみしさが胸に押し寄せる夜